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シンガポールのおすすめファインダイニング

アジアの中でも、国際色豊かな国として、独自の魅力を放つシンガポール。さまざまな文化、民族が交錯するこの国では、マレーや中華系のローカルフードだけでなく、和食、フレンチ、イタリアン、インドなど、多様な国の食をベースにしたファインダイニングの人気も年々高まってきている。シンガポールには3万人以上の日本人が住んでおり、最近ではファインダイニングに興味のある方も多くなっているが、どのお店に行けば良いか、なかなか日本語での情報が少ないのが、このファインダイニングの世界。もっとこの魅力を知ってほしいと思い、独自視点から、おすすめのファインダイニングを紹介する。

筆者紹介

シンガポールにて、日本の工芸ギャラリーを運営。一般のお客様だけでなく、さまざまなファインダイニングにも器を納品していることから、いつの間にかファインダイニング通となっている。


一度は行っておきたい、おすすめレストラン

Meta

2023年:ミシュラン★、アジアベストレストラン17位
価格:$$
場所:Mohamed Sultan

韓国人シェフのSun Kimさん率いる「Meta」。いつでも柔らかな笑顔を見せてくれるKimさんは、韓国料理を基本としながらも、辛さ控えめで、創作性の高い料理を提供してくれる。Marina Bay Sandsにある日本食の名店「Waku Ghin」で働いていたことから、日本の食材知識も豊富で、その多様な表現力は、まさにシンガポールらしいファインダイニングと言える。2023年には、ワールドベストレストラン100にも選ばれ、アジアを代表する世界的なレストランへと成長している。

Esora

2023年:ミシュラン★
価格:$$
場所:Mohamed Sultan

シンガポールで「高級和食といえば鮨」という概念を大きく変えた、和食の革命店と言える「Esora」。鮨を出すことなく、出汁や日本各地の食材を美しいテーブルウェアとともに表現。徹底したブランディングや華やかな盛り付けのプレゼンテーションは、オープン後に多くのフォロワーを生み出した。現在は、日本の名店「龍吟」での修行経験を持つ荒木さんがヘッドシェフを務める。日本の美意識の詰まったお店として、日本人なら一度は経験しておきたいお店。個性的なティーペアリングも用意されている。

Euphoria

2023年:ミシュラン★、アジアベストレストラン25位
価格:$$
場所:Tanjong Pagar

シンガポール人シェフとして最も有名なシェフの一人であるJason Tan。Botanic Gardenの人気レストラン「Corner House」のシェフとしてその名を世界に広めたJasonがオーナーシェフとして新たに作ったお店がこの「Euphoria」。玉ねぎに並々ならぬこだわりを持ち、さまざまな料理に玉ねぎの旨みを取り入れている。アジアベストレストラン50の常連シェフであり、料理の味は群を抜いており、中でもデザートは格別。

Seroja

2023年:ミシュラン★
価格:$$
場所:Bugis

パンデミック中に、彗星の如く現れた新店である「Seroja」。若きマレーシア人シェフであるKevinは、上述の「Meta」のヘッドシェフとして活躍し、国際コンペティションにも参加経験のある実力派のシェフ。東南アジアならではの創作料理が食べたいという場合には、まずはこのSerojaがおすすめ。マレー料理らしいスパイスの効いた料理や、冷製ヌードルは絶品。白を基調とした広々とした店内は、女性のみでも快適に寛げる。

Fleurette

価格:$$
場所:Farrer Park

日本での修行経験も持つ若き日系クオーターであるTariqさんがオーナーシェフを務める「Fleurette」。隠れ家のような佇まいで、徐々に知名度を高めてきている。オープンキッチンスタイルで、炭火での調理を眺めることができ、視覚的にも楽しいお店。日本料理をベースにしながらも、多くの食文化の要素が混ざっており、上品なフュージョン料理に仕上がっている。コースの後半に出てくる、特製の土鍋で炊かれたご飯がおすすめ。

ビジネスランチ・ディナーにおすすめのレストラン

Whitegrass

2023年:ミシュラン★
価格:$$
場所:City Hall

Chijmesにあるフレンチ。現在の料理人は、フランス料理の山下さんと中華料理の縄田さん。同じ料理学校で学んだという友人関係である二人が、フランス料理をベースに、中華を組み合わせた独自の料理を提供している。シェフたちの温かな性格を映し出すかのように、味、量ともに食べやすい。研究熱心なお二人で、常に新たな料理を追求しており、定期的に訪れてみたいお店。ゆったりとした店内で、個室も完備され、仕事関係での利用も可能。

Odette

2023年:ミシュラン★★★、アジアベストレストラン6位
価格:$$$
場所:City Hall

National Gallery内にある三ツ星のフレンチ「Odette」は、シンガポールにいるうちに、一度は訪れておきたい名店。アート好きなフランス人シェフのJulienは、店内のデザインにもアートを散りばめ、表現力の高い食事体験を演出してくれる。フランス料理らしく、お肉は鳩料理となっており、デザート後にはチーズが出てくる。アジアを代表するレストランの一つであり、大切なお客様との食事の際に訪れるのも良し。

Restaurant Takayama

価格:$$
場所:Tanjong Pagar

Esora、Ichigo Ichieとともに、鮨を出さない和食の高級店として、市場を切り開いたお店の一つである「Takayama」。公邸料理人でもあった高山シェフの料理は、王道でありながら、細かな工夫が施されており、日本料理として、常に選択肢に入れておきたいお店。旬の刺身を豊富にいただくことができ、料理と日本酒との相性は抜群。個室も遮音性がしっかりとした作りとなっており、ビジネスでの利用もおすすめ。

@takayama

特別な日におすすめのレストラン

Terra Tokyo Italian

2023年:ミシュラン★
価格:$$
場所:Tanjong Pagar

日系イタリアンレストラン。シンガポールでは、高級イタリアンは希少な存在で、日本人のファンも多い。日本人シェフの中原セイタさんが創業し、現在はシンガポールのシェフが引き継いでいる。日本の旬の食材を豊富に使っており、シンガポールにいながら、日本の四季を感じる料理が楽しめる。自家製パスタが絶品。昼はビジネス使いの人もいて賑わっているが、夜の店内の雰囲気は心地よく、特別な日の食事にもおすすめ。

@terratokyoitalian

Sushi Kimura

2023年:ミシュラン★、価格:$$
場所:Orchard

数ある高級鮨店の中でも、本格的な鮨を味わえるのが、この「鮨 来村」。オーナーシェフである木村さんの食材へのこだわりが素晴らしく、鮨を握る姿までも美しい。半個室も用意されているが、木村さんの巧みなお話を聞きながらカウンターでいただくのがおすすめ。上品な茶碗蒸しや鮑の酒蒸しなど、鮨以外の料理も充実しており、コース全体で木村さんの世界観を堪能できる。

@sushikimura

Born

2023年:ミシュラン★、アジアベストレストラン36位
価格:$$
場所:Tanjong Pagar

アジアの伝説的なシェフであるAndré Chiangを師とするマレーシア出身のZor Tanがオープンした創作系ファインダイニング。店内は天井高く広々とした美しい空間であり、一つ一つの料理からも師匠譲りの哲学を感じさせてくれる。料理は中華の食材とフランス料理とを掛け合わせた洗練されたフュージョン料理となっている。ワインショップである「1855」が初めて開いたファインダイニングでもあり、ワインメニューも充実している。

友人同士の食事会におすすめのレストラン

Labyrinth

2023年:ミシュラン★、アジアベストレストラン11位
価格:$$
場所:Esplanade

シンガポールのローカルフードをベースに、個性豊かな料理を提供している「Labyrinth」。元銀行員という異色の経歴を持つHanさんであるが、2023年には、アジアベストレストラン50にも選ばれ、シンガポールを代表するレストランに成長している。サテーやバクテーなど、一通りのローカルフードを食べ尽くしたあとに行くと、その創作性に驚きを感じるはず。友人同士で楽しみながら食事をしたい人におすすめ。

Ichigo Ichie

価格・夜:$$$
場所:Robertson Quay

シンガポールで純粋な割烹料理を楽しめるのが、江野茜さんがシェフを務める「一期一江」。店内には、シェフ好みの工芸品も展示されている。明るい性格の茜さんの人柄が映し出された料理で、前菜から、お造り、炭火のお肉、土鍋で炊いたご飯と、全体を通じて、味のしっかりとした和食を堪能できる。女性シェフということもあり、店内には地元のご夫婦客も多く、女性でも安心して寛げる。

@ichigoichie

ファインダイニングの心得

メニュー

ファインダイニングは、ほぼすべてのお店は、おまかせコースのみが提供されており、単品料理の注文はできません。文中に出てくる料理も、季節や時期によっては提供されていないことがあるため、細かなメニュー内容が気になる際には、事前にレストランに確認しましょう。また、お子様連れは、入店が難しいことが多いので、こちらも事前に確認が必要です。

予約

ウェブサイトからの予約が基本ですが、予約数を制限しているお店も多く、ウェブサイトでの予約が難しかった場合は、電話で直接問い合わせをしてみましょう。電話はランチやディナーで忙しい時間は控え、11時/14時/17時頃の問い合わせがおすすめです。

服装

シンガポールのファインダイニングは、スマートカジュアルが基本ですが、お店によっては、カジュアルな服装のお客さんも見かけるため、過度に着飾った服装だと、逆に店内の雰囲気と合わないことがあるかもしれません。事前にSNSなどで店内の雰囲気を確認しておきましょう。また、空調が強いことが多いため、ジャケットもしくはカーディガンを用意しておくと良いでしょう。

最後に

私たちは、シンガポールで日本の工芸ギャラリーを運営しており、日本食だけでなく、和洋さまざまなレストランで、日本の器を使っていただいています。海外のファインダイニングで、こうして日本の手仕事の器が使われているのはとても嬉しく誇らしいことであり、これからもシンガポールのファインダイニングのシェフたちを応援し続けたいと思います。


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