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#860 自由意思と運命
自分が自由意思に基づいて行動していると考える一方で、運命の存在も信じている人たちだった。この二つの考え方は一見すると相矛盾するように思えるが、調査対象者の四人に三人がこのように考えていたのだ。こうした不可解な考え方をする人たちをどのように呼べばいいのだろうか。私はそれをしばらく考えてみた。そして、慎重な検討の末にたどり着いた呼び名は……「人間」である。
人間の心理は柔軟である。
私たちは、ある瞬間では自分の選択が
自由であると感じ、
別の瞬間では「こうなる運命だった」と納得する。
人生の不確実性や困難にこのように対処している。
自己決定感と宿命論の間を揺れ動く存在。
これが人間らしさの表れだとおもう。
自由意思と運命の両方を信じる。
矛盾を抱えながらも受け入れる。
人間はなんとも面白い存在だ。