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【インド旅行記】ダラムサラ(4日目)

前回は2日目まで書いたのですが、3日目はホステルでダラダラしてただけなので省略。

4日目はついにダライ・ラマ法王の法話会!今回の旅のメインイベントです。朝8時スタートなのですが、ものすごい数の人が集まるとのうわさで、席を確保するために早めに行くことに。
起床は朝5時。そして前日購入したチベットの袈裟に着替えます。しかしこれを着るのがまあ難しいこと。前日店員さんに着方を教えてもらい、覚えてはいたのですが、実際一人で着るのは至難の業。常に誰かもう一人が服のどこかを持ちながら、みたいにやらないとうまく着れません。着物の着付けみたいな感じですね。

チベットの袈裟

30分かけたが雑な着こなしのまま。しかし時間もないのでとりあえず会場のダライ・ラマ寺に向かいます。朝の5時半で外は真っ暗。そしてダライ・ラマ寺までは歩いて約1時間の道のり。ホテルまで来た時の記憶を頼りになんとか6時半にダライ・ラマ寺到着。法話開始の1時間半前です。

しかし行ってみると既にかなりの人が。そして今回は台湾の人達のリクエストによって開催された法話らしく、殆どの席は台湾人用に確保されていて、それ以外もすべての場所が特定のグループ用に仕切られており、どのグループにも属していない我々外国人はその辺の床に座ることに。

7時を過ぎる頃には徐々に床のスペースも無くなっていきます。早めに来て正解でした。7時半になるとお経が始まります。重低音のお経がダライ・ラマ登場に向けてモチベーションを高めます。
8時になると会場内のスクリーン上に多数の警備に囲まれて、ダライ・ラマがゆっくりと会場に歩いてくる姿が映りました。そして会場内の全員が起立します。

ついに、憧れのダライ・ラマ大法皇が僕の目の前に!!!
・・・と思いきや、よく見ると全然知らないおじいちゃんです。
調べたところによるとダライ・ラマ法王は風邪をひいてしまい、ドクターストップがかかり、法話会を欠席せざるを得なくなったとのこと。
非常に残念ではありますが、こればかりは仕方がありません。法王は現在88歳。チベット民族ないしは全人類のために長生きしてほしいので、ここは早い回復のため安静にしてもらうのが最良です。ほかの参加者も全員同じ気持ちだったと思います。

法話会が始まると大勢の僧侶たちが一斉にパンとバター茶を配り始めます。これがなんと完全無料。パンは何枚とってもいいですし、バター茶も紙コップまで用意してあります。
さっきまで長時間待ち&教授の登場で緊張した空気が一変して、リビングのようにリラックスした雰囲気に。

ここにチベット仏教&ダライ・ラマの教えの真髄が見られます。ダライ・ラマ法王は本当に謙虚で、他者への思いやりが凄いんですよね。
法王も自身のことを「自分は地球上の人口70億人のひとりであり、普通の人間である」と述べています。いやこれ凄いことですよ!
ダライ・ラマは540万人のチベット民族のトップであり、なおかつノーベル平和賞を受賞する世界的な大偉人でもあります。そんな人が周りの賞賛にもおごらず、自分は普通の人間だと言い張るって、それはもう普通の人間ではありません(笑)
絶対僕だったらソッコーで浮かれて偉ぶることでしょう。

そしてダライ・ラマが何よりも大切にしているのが「思いやり」。この「思いやり」に関するダライ・ラマの言葉が好きすぎるので、こちらに掲載させてください!英語版ではありますが。

「思いやり」by ダライ・ラマ14世

要約すると、思いやりとは
「友達や愛する人などの近しい人に対してそう感じるように、相手の幸せを心から願うこと」。
この「近しい人に対して感じる思いやりの気持ち」を全人類という範囲に伸ばしていこうというのがダライ・ラマの考え方です。

そして僕が好きな部分は
「思いやりは同情とは違う。同情は相手を下に見ているときに出る感情であり、本物の思いやりとは相手に対する尊敬の念から生まれるものである」
というところ。

これは本当に金言すぎる。僕もそうですし、ここは全員が混同しがちなところじゃないでしょうか。確かにお布施などの「相手をかわいそうに思ってする手助け」って、されたほうもあまり嬉しい気持ちにはなりませんよね。
それはズバリ「同情=相手を下に見ている証」だからです。

でもダライ・ラマが言う「本当の思いやり」って、相手を心から尊敬しているときに生まれますし、その気持ちを受け取った人は、同情とは違いとても嬉しい気持ちになります。

長くなってしまいましたが、この「思いやりの精神」がパンとバター茶なんです。つまり主催者側が待っている人の気持ちを思いやった結果、みんなにパンとバター茶を配って、せめて法話中はリラックスしてもらおうと考えたわけです。
実際に参加者は全員笑顔で、時には周りの人と雑談を交わしながら、楽しく法話を聴いていました。

この「思いやりの精神」に基づいた法話会は本当に素敵ですし、実はとても理にかなっていると思います。
例えばこの法話会の雰囲気の対極にあるのが、学校の朝礼での校長先生の話です。あの圧迫感があって無駄に長いスピーチ。特に聞きたくもないのに(笑)。あのスピーチの内容を覚えている人なんていないと思います。
それはまず第一に「校長先生は僕らより偉い」という固定観念を押し付けられ、必然的に自分が下にみられているからです。学生時代の僕は特にレジスタントだったので、なんでこんな偉ぶってるだけの奴の話聞かなあかんねんと思っていました(クソガキ)。

そしてあの緊張感のある空気感では話は入ってきません。なぜなら「ちゃんと聞かなければいけない」みたいな固い空気に感情を抑制され、心が動きにくい状態にあるのです。
しかしこの法話会はとても和やかで、僧侶も笑いを交えながら楽しく進行していきます。このような空間だからこそ、話に対して心をオープンにして聴くことができるのです。だから心を動かされるわけです。

ということで今回ダライ・ラマ法王に変わって、法話を行ってくださったガデン・トリ・リンポシェ先生、本当にありがとうございました!
そしてダライ・ラマ法王の回復を心から願っています。

ダライ・ラマ14世

法話会に大満足した後はマクロードガンジで美味しいモモを食べて、ホテルに戻ったのでした。
このモモも最終日でもう一度食べるので、次の記事で紹介します!

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