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【洋画】イヴの総て(1950)

監督:ジョセフ・L・マンキーウィッツ
出演:ベティ・デイヴィス、アン・バクスター、ジョージ・サンダース、ゲイリー・メリル、セレステ・ホルムなど
上映時間:2時間18分

「イヴの総て」鑑賞しました。以前「サンセット大通り」を見た後に、同じ年に公開されたこの映画がアカデミー賞の6部門を占めたと知って驚きました。「サンセット大通り」も相当素晴らしい映画だったので。

田舎から出てきた女優志望のイヴ(アン・バクスター)は、尊敬する大女優のマーゴ(ベティ・デイヴィス)のショーを全公演観に行っていた。彼女と楽屋入口で会った劇作家ロイドの妻カレン(セレステ・ホルム)は、熱心で謙虚な彼女を気に入り、楽屋にいるマーゴに紹介する。マーゴは彼女の身の上話に感動し、自分の秘書として彼女を雇うことに。しかし彼女は徐々にその野心と狡猾さを露わにし、手段を選ばずに自分の目標への道を突き進んでいく。

タイトルこそ「ALL ABOUT EVE(イヴの総て)」と、キャメロン・ディアスの「There's something about Mary(メリーに首ったけ)」みたいでかわいらしいですが、内容は全然かわいらしくありませんでした。最初はかわいいと思ったんですけどねぇ。

イヴはモラルを犠牲にし、役者としてスターになることに全振りしています。人間がもつ時間は平等であり、その限られた時間の中では、多くのことを犠牲にする(諦める)ことが目標達成への一番の近道です。そして人間が犠牲にできるものの最後が「モラル」です。なのでモラルを捨てれる人は最強で、どの業界でもトップに上り詰めていきます。この映画を観ればそのことは明白です。

しかしこれは1950年の映画。現代では「モラルを捨てた人が勝つ」という時代は終わりつつあります。なぜなら今や世界は完全にコンプライアンス重視で、モラルの欠如やスキャンダルが明るみに出たら、ネットなどで広くバッシングを受け、二度と社会復帰できません。日本の芸能界でも、スターたちがスキャンダルによって淘汰されていくのは、この流れによるもの。芸能界はもともと「モラルを捨てた人が勝つ」という世界だったから、ある種酷ではあります。

しかし前述の「サンセット大通り」も然り、同じ年に映画・演劇界を皮肉ったような作品が出て、その両作でアカデミー賞を取り合うというのがまた皮肉です。この年の審査員はどういう気持ちで選んでいたのでしょう(笑)

イヴを演じたはアン・バクスターは、我々も騙されるほどに見事な二面性を演じています。マーゴ役のベティ・デイヴィスも貫禄満点で、説得力のある演技。アカデミー賞で助演男優賞を受賞したジョージ・サンダースも、最後のイヴとのシーンが迫力あって良かったです!

「イヴの総て」は1950年当時の演劇界・芸能界を描いた作品。すごくリアルに描かれているが、イヴのような女優がのし上がっていく世界というのは、現代では終わりつつあるのかなとも感じました。そして役者陣の好演が光っています。

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