埃とフィルターがかかった恋愛の思い出#1

「恋愛している自分」がなんだか気味悪くて、振り返らずに21歳まで来たけど。
マッチングアプリで出会う人とのトピックにおいて「過去の恋愛話」は必ず通る道で。
私自身、整理して前に進みたいので、ここに飾って置いていくことにする。

1、初恋、なんと実ってしまった。

2010年秋。小学5年生だった。
水曜日は嫌いなピアノ教室から帰ってきたら「ヘキサゴン」と「はねるのトビラ」を。
金曜日は塾の後に「ドラえもん」と「クレヨンしんちゃん」を。
日曜日は家族で外食した帰りに車の中のテレビで「ちびまる子ちゃん」と「サザエさん」を見てた時代。

4歳の時から6年間続けてきたバレエ生活に幕を下ろし、ロングから一気にボブまで髪を切った。
皆に「めっちゃいい!」と言われてすごく嬉しく登校したのを覚えてる。

そんな最中、一人の男の子と調理実習の班が一緒になった。
その子は、全然話したこともない子だった。
ただ、髪がロングだった時代に一回すごい長い時間目が合ってしまったことがあって、なんか印象に残っていた。

調理実習は散々だった。犯人は私だ。
砂糖と塩を間違えたことに途中で気付き、味付けを隠そうとなぜか胡椒を大量に投入し、甘辛いなんともいえない野菜炒めが完成してしまった。
残してはダメだと先生は言うので。

「あ~ほんとごめん、私全部食べるわ!任せろ!」

本当はピーマン苦手だし。おいしくないし。
班員には申し訳ないし、泣きそう。

『大丈夫?俺も食べるから。』

彼が箸を持って登場。ヒーローにしか見えなかった。
ボロボロの野菜炒め、苦手なピーマンもたくさん頑張って食べてくれた。
同じお皿で食べてたから間接キスじゃん、と気づいて恥ずかしくなったけど、他の男子ならきっと「いい!!!」って突っぱねてたけど。

なんか、その子には包容力みたいなのがあって、まあいいかな、と2人でまずい野菜炒めをだいぶ食べ進めた。(最後は確か限界がきて残した)

その日から、なんだかお互い、ちょっと意識するようになったんだと思う。
やたらと目が合うし、授業中は振り返って私の方を見て笑ってくれるし。
そのたびに心臓は止まるんじゃないかと錯覚するほど跳ねるし。
これが初恋だったんだと思う。
毎日が本当カラフルでキラキラだった。

周りも「あそこ両想いだよね」とざわつき始めてくれたあたりで奇跡は起こる。

学生の一番の運の使いどころ、席替え。

教室だけではない、理科室や音楽室、家庭科室。それぞれで席替えは存在するが。

全て隣の席になった。

そんなことがあるものか。
そこから楽しい楽しい両片思い期間が1か月くらいあった。

音楽の授業中、突然「好き。」と言われた。

心臓のBPMは人生最高記録を更新したと思う。

「え、…何が好きって…?」
『Shibaのこと。』

チャイムが鳴った瞬間、恥ずかしすぎて音楽室からダッシュで逃げた。
しばらくして彼を体育館倉庫に呼び出した。
私からも思いを告げて付き合うことになった。
小5で。小5で。

その日は水曜日で大っ嫌いなピアノ教室だったけど、ずっと告白の瞬間をプレイバックしてしまいデレデレ。
先生にも「ルンルンだね、何かあったの!?」と言われるくらい笑顔だった。まさか小学五年生の生徒に彼氏ができたなんて思ってないでしょう。

秋口に付き合い始めて、毎日手をつないで帰った。
帰り道は金木犀がたくさん咲いていた。
その香りをかぐと、センチメンタルな時は少し初恋を思い出したり。

交換ノートをしたり、2人だけで放送委員の当番だったときは放送室の中で朝からドキドキしたり、当時は携帯を持ってなかったから家に電話を掛けたら彼の祖母が出てパニックになったり。

第二次性徴以前の恋。今ではもうできない恋愛の形。
世間体とか、収入とか、駆け引きとかそんなのじゃなくて。
もっと単純な恋愛で。
彼は「調理実習のおっちょこちょい具合が、かわいくて好きになった」って言ってくれてた気がする。
私は愛情表現が豊かで優しかったことと、とにかく匂いが好きだった。

中学進学と共に私が引っ越してしまい、自然消滅。


しかしこの前、10年ぶりに小学校付近のスーパーでそっくりな人を見かけた。たくさん目が合った気がした。覚えてるのかな、私のこと。
隣には女性がいた。元気そうで良かった。

当時、照れて「好き」って全然言えなくてごめんね。
出会ってくれてありがとう。さようなら!

ただ、素敵な思い出として心のアルバムにしまってはいるけれど小5だから元カレの人数としてカウントするのは恥ずかしくてノーカンにしている。

2、中学進学。片思いシーズン。

中1、中2では半年スパンで3~4人に片思いをしていた。
とにかく中学時代の私は典型的な「友達どまり」ポジションだった。
「女芸人枠」「いじられキャラ」だったため男子から恋バナなんてまず振られもしないのだ。嘘告白のターゲットにされたこともあったっけ。

普通に過ごしているつもりなのに笑いながら「お前はないわ」と恋愛対象にされないのは悲しかった。

学生の恋愛ってすごく独特で、
「A組の美人の〇〇とアイツが付き合い出したらしい」
「え、アイツすげーな!!!」
みたいに彼女のステータスが彼氏のスペックに反映されがちだ。逆もしかり。

モテる人は本当にモテるし、モテない人は本当にモテない。
それを突き付けられた片思い期間だった。

とどめを刺されたのは中2の頃、すごく勇気を振り絞って告白したのだがあっけなく振られた。

「好きです」
『あっそ』

会話終了。嘘じゃん。そのあと、彼は私の親友と付き合いだした。
人間不信になりそうだった。

この経験を通じて私から恋愛に対する自信は消滅。
傷ついたことがあるからこそ、追う恋愛も避けようと思った。

つづく

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