にじいろガーデン(小川糸)
_にじいろガーデン(小川糸)
心がざわざわする時は、この方の本を読む。
荒れ狂う波のようだった気持ちが、気づくとさざ波のように穏やかになっている。
「事実は、時に間違うこともあると思うんだ。でも真実は、どんなに世の中が変わっても、普遍的なんだよ。大事にしなくちゃいけないのは、真実の方だと思うんだ」
事実と真実は違う_
近い使い方をされている言葉について、ニュアンスの違いを素通りすることは多いと思う。
そんなこと考えなくてもいいのかもしれない。
けれど、
その言葉の持つ微妙な空気感をできればきちんと感じたい。
そしてその上で、発する言葉と気持ちの誤差を極力減らしたいと思っている。
これが"綺麗すぎる"と言われ、"冷たい"と言われる所以なのかもしれない。
それでも私は、出てきた言葉をありのままさらけ出すことはできない。
それがいまは"修正"という形をとってしまっているのだとわかる。
だから、"ありのまま出て来る言葉"と"ニュアンスを選んだ言葉"が一致するようにと意識するようになった。
意識し始めて1年ほど経っても、
まだまだその擦り合わせの旅の途中。
好きと言ってくれる人がいるということは、
当然嫌いと思う人もいる_
嫌いとわざわざ言ってくれなくてもいいのに
と思ってしまう私としては、複雑な気持ちだけれど。
それでも言葉を、言葉の持つ微妙なニュアンスを、私は素通りせずに生きていきたい。
きっと矛盾もあれば、抜け漏れもある
それを指摘されることもある
そんな時は、人間だものと笑えたらいい。
ただ私は綺麗な言葉が好きなだけだから_
「いくら隣の花の色がきれいだなぁ、って羨んでも、自分に与えられた色を、自分の好きなように変えることはできないもの。その色で、精一杯生きるしかないでしょう?」
はじっこだからこそ見えてくる景色もあるのかもしれない。
それは、夕暮れの空のような、おいしいご馳走を食べた後の余韻のような、儚くもかけがえのない時間だった。