不思議な組み合わせ　すいとんとトンカツ

街では味わえない、郊外ならではの食文化というものが韓国にはあるのではと思うようになったのは、ドライブして郊外の自然を楽しむついでに美味しい物を食べようという週末の過ごし方があることを知ったから。

例えば닭 먹으러 산장에 가자~というオンニの一声。この提案で週末に6家族が集まり산장식당で地鶏を食べたことがある。この「닭 먹으러 산장에 간다(鶏食べに山荘へ行く)」というのは全羅道では定番のコースとのこと。ここでいう山荘って日本のとはちょっと違って山の麓にある食堂って意味みたい。これで言うと、夏になるとよく聞く「닭볶음탕を食べに渓谷に行こう」も同じジャンルと思われる。山と鶏は切っても切れぬ一種のエンタメともいえる。

自然がたっぷりあるヨスに住んでいても車を走らせてまたちょっと違う自然を感じにいきたくなる。ここには海と山はあるので、ないのは河だと河沿いをドライブすればそこの沿いにならぶ食堂に気づく。名前はそれぞれだが最後に가든(ガーデン)と付く店が多い。淡水魚のコース料理が多く、焼いたもの揚げたもの最後に매운탕メウンタン(辛いスープ)で〆る。河に行ってガーデンで美味しい物食べようと、という声は聞いたことないがこれも一種の郊外的食文化なのではないだろうか。

さて前置きが長くなったが、この韓国の郊外的食文化(?)の中で我が家が推しているもの、それちょっと廃れた国道沿いにあるすいとんとトンカツを出すお店である。

すいとんを韓国語にすると수제비という。小麦粉で作られ庶民的なメニューであることは日本のと変わらない。私が最後に日本ですいとんを食べたのは確か小学生の時で実家の母が作ってくれた記憶があるが、汁は味噌ベースだったと思う。ちなみに母は東北出身。韓国のは地域によって差はあるとは思うが、こちらで食べることができるのは海鮮ベース。あさりがどっさり入っている。そしてスープは赤くないけれど辛い。輪切りにされた青唐辛子が入っているから。

このすいとんとセットで注文されるのがトンカツである。というのもこのように郊外ですいとん屋を営む店(私は2件しか知らないが)はメニューがすいとんの他にトンカツしかないのである。なぜこの二つがセットなのか、歴史的もしくは地域的な背景があるのだろうかしばらく調べたり考えてみたがよく分からない。そこで夫に何気なく聞いてみたところ”すいとんが辛いから、辛いのが苦手な子供たちでも食べられるメニューを準備したんじゃないの”とのこと。とても現実的な回答ではあったが納得。というのも子供が苦手そうなメニューが中心のお店には必ずトンカツが準備されてあるからだ。例えばウナギ屋とかがそうである。

このような背景からトンカツが置かれたとすると準メニューなので適当なものが出てくるんでしょう、と思われるかもしれないが違う。しっかりと美味しい。日本のとは違いカツは薄くて大きい。そこにデミグラスソースのような韓国の昔の洋食屋で食べられるような(勝手なイメージ)優しい味付けのソースがたっぷりとかけられている。そこに添えられているキャベツのサラダにはコーンのドレッシング。さつまいも、ごはん。とても美味しい。

この日はもちろんすいとんとトンカツをセットで頼んだ。すいとんは夫と私で半分こ、子どもはトンカツで食べ切れなかったら私と夫という感じで。ここのお店も美味しいが私はまた別のお店の方が好みかも。ということでお店の住所は二店舗載せておきます。

상사이야기
전남 순천시 상사면 상사호길 267 1층
061-742-8845

もう一つ
송치마을
전남 순천시 월등면 송치안길88 
061-755-4150