風邪のひき始めにはナジュコンタン
私が住んでいる韓国には熱いものを食べること=健康になる!みたいな方程式があります。夏の暑気払いには熱々のサムゲタンとか、産褥期に冷たい物を食べようとしたならば義母に頬をひっぱたかれる勢いで怒られるだろうし、冬の気配が深まったとある朝を散歩すれば首元にカーゼのハンカチがきゅっと結ばれる小さい子供たちを見ることになるでしょう。体を温めたり、温かい食べ物を食べることには風邪をひかず健やかに日々を送りたいとの願いが込められています。
家族三人、基本的に健康な人間ですが子どもが集団生活をしているので季節の変わり目にはコンディションが風邪っぽく雲行きが怪しくなります。軽い咳と鼻水が出始めたら方程式に従い熱い物を食べ身体温めなくてはいけません。こんな時はナジュコンタン一択。
ナジュコンタンをご存じない方に簡単に説明してみると…ナジュコンタンのナジュとは地名、コンタンは料理名。ナジュは全羅南道にある羅州のこと。(ちょっと話はそれますが全羅の全は全州の全、全羅の羅は羅州の羅)
ではコンタンとは。お肉や骨を長時間煮込むことを韓国語で고다といい、この名詞形の곰とスープを表す湯の탕がくっついてコンタン、つまり肉と骨でとった出汁がメインのスープ料理となります。ちなみに似たような料理でソルロンタンってありますよね。この二つの料理の違いは主にスープの色になります。ソルロンタンは白くて濁っている一方でコンタンは割と透明、特にナジュコンタンは透き通ったスープが有名だと言われています。この差がどこから来るのかというと、スープの材料。ソルロンタンは骨が多め、コンタンは肉が多め。ナジュコンタンは肉のみで양지と사태という部位が使われているということです。前者はともバラ。後者はスネになります。
と、説明はここまでにして肝心のナジュコンタン!実際にナジュまで行って食べに行く日もあるけれど(車で往復3時間ぐらいなのでドライブがてら!)我が家のお気に入りは隣町のスンチョン市にある나주곰탕 명품관(ナジュコンタン 名品館)というお店。
ここのナジュコンタンは何が良いって味が美味しいのはもちろん、토렴が上手なんです。토렴とはコンタンみたいにスープにご飯が入った국밥などを熱々過ぎず美味しく食べられるように行われる配膳の方法。器にはあらかじめご飯が入っており注文を受けると大きな鍋の中にあるスープをその器の中に入れて冷めたご飯をかき混ぜながら温めるという動作を何度か繰り返しながらスープの温度を75度ぐらいにして提供するのです。なので出てきた瞬間から熱々過ぎない美味しいコンタンが食べられる。
このお店ではサイドディッシュで육전を食べることができます。육전とはお肉のジョンのことで牛肉に小麦粉を薄くつけて卵を衣にして焼いた料理です(パジョンはネギのジョン)お店で食べると値段もそこそこするんだけど、ここはランチだと맛보기육전(味見ユッジョン)といってお得にたべることができます。一緒に出てくるお醤油ベースのタレにつけて食べると箸が止まらぬ美味しさ。
子どももナジュコンタンが大好き。1人前をぺろりと食べスープまで飲み干します。幼稚園児時代からこの店に通っていたけれど、実は幼児には無料でナジュコンタンを提供してくれていたんです。量は大人1人前よりは少なめだけどちゃんとお肉も入っていて。そこで胃袋をがしっと掴まれた子どもは学校に行くお兄さんになったのだからと無料で提供されるお子様用ではなくきちんと一人分のお金を払う大人用を食べたいと言い出したのです。これこそがお店への恩返し。この日は家族で風邪気味だったけれど温かいコンタンを食べて身体も温まり元気になりました。ありがとうナジュコンタン。健康になりたいときにまた食べに行かねば。
순천나주곰탕 명품관
전남 순천시 장선배기2길 13
061-724-9995