東京新聞・望月衣塑子記者がモデルの「i新聞記者ドキュメント」
映画「新聞記者」のことを先週少し書いたけど。wowowでは「i新聞記者ドキュメント」をセットで放映していた。ドキュメントの新聞記者とは東京新聞の望月衣塑子記者だということも、映画新聞記者の原案がこの望月記者の著作「新聞記者」だということも、今回初めて知った。
で、「I 新聞記者ドキュメント」もそのあと見たわけだけれど、複雑な思いが残った。
ジャーナリストの伊藤詩織氏が、著名なテレビ記者だった山口敬之氏に強姦されたとして損害賠償を求めた訴訟の取材は完全に賛同できる。伊藤さんの戦いを取材報道の意義は大きい。
モリカケ問題など様々な問題で、菅官房長官に官邸記者会見で食い下がる場面も良い。記者クラブ制度の批判はまさに正論だ。
でも、権力への批判は良いが、近視眼的にモノをみて、問題の本質を捉えてない。
たとえば、先ずは辺野古土砂投入の追求について。
この赤土投入はたぶん望月記者の睨んだ通りだろう。でもこれは普天間基地移設問題の経緯の中で考えるべきで、たんに赤土土砂投入だけを問題視するのはいただけない。
守屋元防衛次官が「普天間交渉秘録」で明らかにしたとおり、今日の混乱と行きづまりが、沖縄県側のポピュリズム政治でもたらされた経緯をきちんと踏まえなければ、問題は進展しない。
それから前川喜平前文科省事務次官を肯定的に扱っていたが、文科省が前川事務次官時代に言語道断な天下りを実施していたこと、出会い系バーに通っていたことは、ぼくには許しがたいことだ。籠池夫妻の友好的な扱いも信じがたい。
確かに菅官房長官の答弁には不満だらけだろう、各省庁の不作為、隠蔽体質には怒り浸透だろう。それはわかる。ぼくも同じだ。
でも必ずしも問題の本質を捉えていない、木を見て森をみていない、と。
もと左側から今や保守の立ち位置となったぼくには思えるし、それが残念。
とはいえ、記者クラブの中で権力と蜜月な御用記者が大半ななか、望月記者は貴重なジャーナリストだと思う。ガッツにエールを送ります。