銀座のぶりしゃぶが美味すぎる
なんか友達三人が全員10月で50歳になったから誕生会をするというので、まだ50歳はもう少し先な俺も呼ばれて行ってきた。
彼らは高校の同級生で、生徒会長と副会長、放送委員とパソコン部という感じの人たちだ。彼らとはもうかれこれ四半世紀近い付き合いになる。
鍋がいいとか、酒以外のものが飲める場所がいいとか、あーだこーだ好き放題言った結果、前回「伝串 新時代」をチョイスした堕落グルマン、橋本が探し当てたのは、銀座のぶりしゃぶ。
「俺も初めてなんだよ」と語る橋本。通称デブ。
しかし、デブは伊達に太っているわけではない。
香りからトリュフを探し当てるメス豚の如く、グルメ雑誌編集者時代に培った嗅覚でうまそうな店を探し当てたはずだ。
ちなみに俺は橋本の嫁にマークされているので、橋本が来るときは必ず「清水と飲む」とは言わないようにしているらしい。スパイか!
とりあえず四人なのでぶりしゃぶ三人前と、アンキモ、刺身などを頼む
アンコウの肝、通称アンキモといえば、美味しんぼの「フォアグラよりうまい」というエピソードが思い出されるが、実際にフォアグラよりうまいアンキモなんか、フォアグラより高いのである。山岡士郎もわざわざアンコウ釣りに出かけていたしな。
レストランで恒常的に提供される冷凍物のフォアグラと、釣りたてのあん肝を比べたんじゃいくらなんでも勝負になるわけがない。所詮はマンガの話だ。
ちなみに、フォアグラはパリで食べても東京で食べても大した差はない。
差があるのはフォアグラの産地である南フランスで食べた場合だ。これは釣りたてのあん肝に匹敵するくらい美味い。
モツなんか産地で食わないと美味くないのは当たり前だ。
東京でも同じことが言えて、美味い肉、美味い魚、美味い貝類というのは、常に老舗が一番美味い。
それは仕入れの問題で、ちゃんと市場で仕入れている場合はお金よりも人間関係がものをいう。100年も付き合いのある老舗と、ぽっと出の金持ちじゃ、老舗が常に勝つ。だから焼肉屋の新規参入は難しいし、寿司屋は修行をして市場の人と人間関係を構築してからやるべきなのである。
まあこの店のアンキモは、いわゆる普通のアンキモであってフォアグラと戦えるようなものではなかった。
都内でフォアグラ戦えるアンキモが出てくる店はとても少ない。2店舗くらいしか知らない。しかもどちらも予約不能な店だ。俺は予約できない。
なんか勢いで生牡蠣も頼んでしまった。生牡蠣も美味いよね。この季節は。
さてお楽しみはこれから!
いよいよぶりしゃぶの登場だ!
まずは野菜をじっくり煮込む
この野菜がしんなりし始めたところでブリが登場!
このブリは、白い脂身が多いところと血合いの多いところへとグラデーションになっている。
脂身の多いところはとろけるような脂が美味しくて、赤みがかったところは凝縮された旨味が美味しい。だんだんと味を変えながら楽しんでいける。
これをどの程度温めるかでも味が変わる。
これが美味い。
意味不明に美味い。
アンキモがどうとかそういうレベルじゃなくて美味い。
世界よ、これがぶりしゃぶだ。
パリにゃこんな美味い鍋はない。
素材の味を純粋に楽しむ。
自分で好みを調整しながら食べる。
刺身を極めた国だからこそ、鍋が美味い。
日本に住んでいてよかった。
しかもゴマだれが美味い。
この店のゴマだれは意味不明に美味い。
ゴマだれだけ買って帰りたいと思ったほど。
ポン酢だれとゴマだれで変わりばんこに食べるのがまた至福。
美味い。美味すぎる。
締めはラーメン。
これももちろん出汁が染みて美味い。
銀座までわざわざ来た甲斐があった。