未経験からキャリアチェンジした3年目ライターが語る、それぞれのライティング【Sherpa特別イベントレポート】
こんなお悩みを持っている方は、少しだけ先の道を歩いている“先輩”の話を聞いてみるのはいかがでしょうか?
2023年3月23日、Sherpa of Writersでは代表ひのりほとほぼ同時期にライターの道を歩みはじめた仲奈々さん、安心院彩さんをゲストに迎え「3年目ライターが語るそれぞれのライティング」と題した特別イベントを開催。
それぞれ異なる分野で活躍するライターの3人が、これまでの道のりを振り返りながら、挫折・失敗談や初心者ライターさんから寄せられたお悩みに回答しました。プライベートでも仲良しという3人ならではの、ここでしか聞けない超リアルな本音やエピソードが語られました。
本記事では、イベントの模様を余すことなくお届け。時間内に取り上げられなかったご質問にもお答えしていますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね✍️✨
何一つ無駄な経験はない!未経験からライターへ、三者三様の道のり
今回は大きく分けて3つのトークテーマを用意し、パネルディスカッション形式でお話ししました。1つ目のテーマは「3人のこれまでの道のり」についてです。
Q.現在のキャリアにたどり着くまで
主にメディアで著名人などのインタビュー記事を執筆してきた仲さん・安心院さんと、企業向けの広報ライターとして活動してきたひのりほ。
異なる領域で活動の幅を広げる3人ですが、共通するのは全員未経験からライターとしてキャリアチェンジしてきたこと。今のキャリアに至るまで、それぞれどのような道のりを歩んできたのでしょうか。
仲奈々さん(以下、仲)「スタートアップ企業で働きながら副業でライターを始めて、1年半後くらいに独立しました。最初の半年くらいはクラウドソーシングなどでSEOライティングの案件を引き受けていましたが、ライターとしてのキャリアを模索する中で、少しずつインタビューの案件に方向転換していきました。今はいただくお仕事のほぼすべてがインタビュー記事ですね。
お取引先の割合は、企業とメディアからのご依頼が半分ずつくらい。企業では経営者・社員インタビューや広報関連の記事、メディアでは著名人やインフルエンサー、タレントさんへの取材記事を執筆する機会が多いです。なので『何系のライターなんですか?』と聞かれると困ってしまうんですが(笑)、幅広いジャンルのお仕事をお引き受けしています」
安心院 彩さん(以下、安心院)「秘書の仕事をしながらキャリアスクールでライティングの勉強を始めて。『どうせやるなら背水の陣で!』と3〜4ヶ月後に思い切って仕事を辞め、開業届を出しました。実績もコネクションも何もない状態からのスタートだったので、最初はとにかく必死でしたね。皆さんにはこのやり方はおすすめしません(笑)。
当時は、スクールの課題で書いた記事や自主企画のインタビュー記事をnoteに載せたポートフォリオを作り、メディアなどに直接営業して、少しずつお仕事をいただけるようになりました。
今もメディアで著名人や経営者の方へのインタビュー記事を執筆することが多いですね。企画も好きなので人選からご提案することも多いですし、最近はディレクションや広報支援などの活動も始めました」
ひのりほ(以下、ひの)「私はライターを始めた当初から、企業向けのライティングを中心に活動していました。というのも、駆け出しの頃はつながりを作りたくて、よく異業種交流会などに足を運んでいたんです。
せっかく素晴らしい事業やサービスをしているのに発信ができておらず、取り組みが世の中に伝わらない。そんな企業の経営者の方と出会う中で、広報・PRライティングの機会をいただくように。『ことば』を使った企業の支援に強くやりがいを感じ、“ことばの伴走者”という現在の働き方にたどり着きました」
Q.1ヶ月あたりの稼働時間
忙しく見える3人ですが、実際の働き方はどのようなものなのでしょうか?「稼働時間は時期によって波があるよね」と答えるひのの言葉に、安心院さん・仲さんも大きく頷きます。
安心院「月初の時点で稼働時間や繁忙期がなかなか読めなくて、月や日によって稼働時間はバラバラ。毎日のように取材や締め切りがあって1日中執筆している時期もあれば、リサーチや企画出しをして“未来への種まき”に充てている時期もあります」
仲「私も働き方としては同じ感じですね。1ヶ月の稼働時間だと会社員時代とあまり変わらないかもしれないけど、自分のペースで好きな時間に仕事ができるようになったのはありがたいです」
Q.ライターとしてのやりがい
著名人やインフルエンサー、タレントさんのキャリアや生き方にフォーカスしたインタビュー記事を多く執筆する仲さんや安心院さんは、どんなところにライターとしてのやりがいを感じているのでしょうか。インタビューライターに軸足を移した経緯からお話を聞きました。
仲「実は、私自身がインタビュー記事に勇気をもらった原体験があって。保守的な家庭で育ったこともあり、良い大学や企業に入って、正社員として定年まで勤め上げるのが幸せ……そんな固定観念があったんです。でもスタートアップ企業へ転職したり、インタビュー記事を読んだりした経験から、少しずつ視野が広がって、『もっと自分のやりたいことを仕事にしていいんだ』と思えるようになりました。
過去の私のような人に向けて、インタビュー記事を通して人生の選択肢を広げられたら、と思いながら仕事をしています。私自身もインタビューをしながら視野が広がっていく感覚があって、とても楽しいですね」
安心院「私も経験としてはすごく似ています。視野が狭くて苦しかった時に、インタビュー記事を読んで世界が広がって楽になりました。それに社会的に成功していてキラキラ眩しく見える人も、実は挫折や苦難を乗り越えていたと知れて、『私も頑張ろう』と勇気をもらえたんです」
2人の言葉に大きく共感しながらも、企業向けに「ことば」を使って価値提供を行うひのは「クライアントさんの反応がダイレクトに伝わってくるのがやりがい」と続けます。
ひの「私は企業と直接コミュニケーションを取るので、良いコンテンツを提供できるとクライアントさんから感謝の言葉をいただけるんです。自分が価値を提供できている実感を持ちながら仕事ができていますね」
Q.ライター人生の中での挫折・失敗・苦労談
このテーマに話題が移ると、「あまりにもたくさんあって、何から話せばいいのか……」と笑い合う3人。ライターとして活動を始めた当初の挫折や失敗談を明かしてくれました。
仲「最初の頃は、Wantedlyなどで見つけた案件に応募しても全然通らなくて。50件くらい応募して、1〜2件しかお返事が来ないなんてこともありました。どうすれば自分が目指すようなライターになれるんだろう……と悩んだ時期はありましたね」
安心院「私は編集者さんからの大量の赤入れ(原稿への修正指示)や忌憚ないフィードバックの言葉に、『ライターに向いていないのかな』と自信をなくしてしまって。電話を切ってから一人で号泣したことがあります(笑)」
ひの「駆け出しの頃はお仕事をいただけるだけでありがたくて、先方に言われるがままに低単価の案件を引き受けてしまったこともありましたね。業界の料金相場もよく分かっていなかったし、『最初はこういうものなんだろうな』と思ってしまっていたんです」
「たくさん“負傷”してきたよね」と笑いながら振り返る3人の赤裸々なトークに、イベント参加者からは「そんな時期があったなんて意外です……!」「私なら立ち直れないかも……」など、驚きのコメントが寄せられました。こうした困難を、一体どう乗り越えてきたのでしょうか。
安心院「赤入れの件に関しては、ある編集者さんから『編集もライターも良いコンテンツを一緒に作るチームだから、ライターさんだけが責任を背負おうとしなくていいんですよ』という言葉をいただいて、すごく楽になりましたね。そもそも『原稿への赤入れ=ライター本人の人格否定』ではないし、クライアントさんによって“良い原稿”の基準も異なるはず。だからもし赤入れが多くてもそこまで深刻に受け止めなくて大丈夫だよ、と伝えたいです」
仲「今となっては全ての経験が無駄になっていないと感じます。もちろんライターとして“成長するための痛み”と捉えることもできるけど、なるべくなら傷は浅い方がいいですよね(笑)。未経験からのスタートだとなおさら『このやり方で合ってるのかな……』と迷うことも多いと思うので、身近に相談できる存在がいたら心強いですよね」
ひの「駆け出しの頃は、一緒にお仕事をするクライアントさんの判断も難しいですよね。Sherpa of Writersでは、ひのがお取り引きする企業とお仕事をする機会もご用意しているので、安心してファーストステップを踏んでいただけると思います」
一歩、踏み出すために。理想のキャリア、ライター像を描いてみよう
続いてのテーマは「初心者ライターさんからの質問」。イベントの申込みアンケートに寄せられた切実なキャリアのお悩みの数々に、3人が実体験を交えながら回答していきました。
Q.ライターへの一歩が踏み出せません……。
「ライティングを学び始めたけど、どうしたらライターの仕事につなげられるか分からない」——そんなお悩みに対し、満場一致で「まずはポートフォリオ作成が一番大切!」と断言する3人。
安心院さんは「一般的な転職活動で職務経歴書を用意するのと同じように、まずは『自分が何者で、どんな文章が書けるのか』を伝えられるよう、ポートフォリオを整えることから始めてみて」と続けます。
安心院「実案件の実績がなくても、キャリアスクールなどの課題で書いた記事や自主企画のインタビュー記事、あとはエッセイなどを載せるのも良いでしょう。
私は『こんなメディアで書きたい』と思うメディアのトンマナ(文の調子や言葉の表記の仕方)にできる限り近づけた文章を自主企画で載せていました。第三者の手が入っていない“ありのままの文章”がわかるので、それを読んで声をかけてくださる編集者さんも多いです」
▼安心院さんのポートフォリオ
仲「まずは勇気を出して、どんどん応募してみてほしいです!もしそのときご縁がなかったとしても、先方の予算やタイミングなどやむを得ない事情の場合も多いと思っていて。実際、しばらく時間が経ってからお声をかけていただくこともありますよ」
▼仲さんのポートフォリオ
Q.会社が副業NGなので、実績が積めずに悩んでいます
仲「副業NGであっても、ブログやnoteなどで自主企画の記事を作って実績を作ることはできると思っていて。同じ初心者ライターさんからの応募でも、『実績はないけど、とにかくやる気はあります!』という人と『自主企画で50人にインタビューしたことがあります!』という人であれば、どちらにお願いしてみたいと思うでしょうか?『今の自分にできること』から、少しずつチャレンジしてみるのもいいかもしれません」
▼仲さんの自主企画インタビュー。この記事をきっかけにお仕事が広がっていったそう。
安心院「違う観点でお答えすると、勤めている会社に交渉してみるのも選択肢の一つかなと。副業NGの理由が『前例がないから』というだけだった、という話や、実際に人事に相談してみたらあっさり副業の許可が下りたという知人もいます。
それでも許可が降りなければ、プロボノ(※)など収入が発生しない方法を検討してみてもいいかもしれません。もちろん自分が納得感を持ってできるなら、という前提ではありますが」
(※プロボノ:スキルや経験を活かして取り組む社会貢献活動)
Q.ポートフォリオ掲載NGの案件で経験を積んでいますが、このフェーズを抜け出すタイミングが分かりません…
仲「クレジットやポートフォリオへの掲載はできなくても、特定のクライアントさんへの公開はOK、という例もあるので、まずは今のクライアントさんに確認してみてもいいかも。あとはポートフォリオ掲載可の案件が他にないか聞いてみるなど、既存のつながりを活かしながら次のステップに進むのもおすすめです」
ひの「こうしたお悩みを聞いていて強く思うのは、『今、何を重視したい時期なのかを考えるのが大切』だということ。収入を安定させたいのか、経験や実績を積みたいのか。それによって次にとるべきアクションは変わってくるかなと思っていて。
その判断軸を見つけるためにも、まずは『自分がどんなライターになりたいか』『どんなキャリア、人生を歩みたいか』を考えてみてください。一人で向き合うのが難しければ、Sherpa of Writersで一緒に考えていきましょう!」
ライターとして長くお仕事を続けるための心がけ
最後のテーマは、お仕事をする上での「日々の心がけ」。「ことば」を扱うプロとして、3人はどのようなことを意識しているのでしょうか?
Q.お仕事獲得/継続のための心がけ
現在は3人とも、既存のクライアントさんやライター仲間、編集者さんからの「紹介」でのお仕事がほとんどとのこと。ご縁をつないでいただくための心がけや工夫とは?
安心院「取材帰りなど編集者さんとお話しできるタイミングで企画の提案をして、次のお仕事につなげられるようにしていますね。あとは関心が高いテーマについて日頃からSNSで発信して、『このテーマは安心院さんにお願いしたい!』と思い出してもらえるようにしています」
また、「コミュニティを活用するなど、フリーランスやライター同士の横のつながりは大切!」という仲さんの言葉にひのも大きく共感。
ひの「編集者、ライターさん、今のクライアントさんからの紹介でご縁がつながることはよくありますね。信頼関係を構築して、インタビュー記事・メルマガ・マーケティングなど、お任せいただくお仕事の範囲が広がっていったことも。人となりが分かっているので、安心してお任せいただけるのだと思います」
イベント当日にお話しした内容はここまで。時間の関係でイベント中にお答えできなかった質問について、後日3人に回答してもらいました。
Q.単価交渉の方法とタイミングは?
ひの「クライアントさんへ新しいご提案をするタイミングで、テキストではなくZoomか対面でお話ししています」
仲「受注後は単価交渉の難易度が高い気がします。なので交渉のタイミングは受注時が多いですね。まずはこちらから希望の金額を提示して、そこからメディアやクライアントさんの予算に合わせて交渉していきます」
安心院「受注後はクライアントさんと信頼関係が構築できたと感じたタイミングで、PV数などの定量的な貢献度合いや、実際に請け負っている仕事の範囲などを提示してご相談してみることはありますね」
Q.クライアントさんとのコミュニケーションにおいて大切にしていることは?
ひの「可能であれば、30分以上のオンラインMTGを週1回程度行い、コミュニケーションの機会を積極的につくるようにしていますね。また、『〇〇について悩んでいるので相談したい』『表現に迷っているのでご意見を聞かせてください』など、双方向のこまめな情報共有も大切だと思います」
安心院「迅速で丁寧、誠実なレスポンスを心がけています。また、“指示待ち”ではなく、『〇〇はこちらで対応しましょうか?』と一言添えるなど、能動的な姿勢も大切。あとは自分のリソースの空き状況は定期的にお伝えしておくことで、何かあったときに思い出してもらえるようにしています」
仲「私からは原稿のやりとりで気をつけていることをお話ししますね。執筆中に悩んだことや困ったことはうやむやにせずクライアントさんへ伝えるのも大切。そうすることで、編集時にそのポイントを重点的に見ていただけますし、先方からしても編集すべきポイントが分かりやすいのではないかと思います」
参加者から寄せられた感想
平日夜遅くの開催にもかかわらず、20名以上の方にご参加いただき、盛況のうちに終了した今回の特別イベント。3人の等身大で超リアルなエピソードの数々に、Zoomのチャット欄は共感や驚きのコメントで大いに盛り上がりました✨
イベントの熱量そのままに、SNSでも「前向きな気持ちになれた!」「明日から頑張ろうと思えた!」などなど、たくさんの感想が寄せられました。
アンケートにも好評のお声を多くいただきました。一部をご紹介します👇
ライターのキャリアに「正解」はない!まずは「今できること」から、挑戦してみて
ライターの道を選んでから、壁に直面するたび互いに励まし支え合いながら乗り越えてきた3人。そのリアルなエピソードの一つひとつは、一歩踏み出し、挑戦を重ねてきたからこそのものなのでしょう。
同時期にライターのキャリアを歩み始めた3人ですが、その道のりは三者三様です。「正解」がないからこそ、理想の人生やキャリアはどんなものか?ライターとしてどんな価値を提供していきたいのか?自分自身の内面と対話し続ける必要があるのだと感じました。本イベントが、“はじめの一歩”を踏み出すきっかけとなれば嬉しく思います。
Sherpa of Writersでは、代表ひのはもちろん、イベント登壇者の仲さん・安心院さんも講師としてバックアップ。一歩踏み出した方が自分らしいキャリアにたどり着けるよう、マンツーマンで伴走していきます🏔!
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Text:Erina Hashimoto
Design:Saki Matsumoto
Edit:Aya Ajimi
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