解雇規制の緩和(メモ)


本日9月16日の記者会見でも
詳しく語っておられますこちら。↓


派遣法の緩和に関しては、小泉内閣が最初でもなくて、
1993年の年次改革要望書(ビル・クリントン政権)以降の
橋本内閣、小渕内閣でも改定があったんですが、
いちばん有名なのが小泉内閣の時の製造業の解禁ということで、
これによって派遣会社にだまされて人生を積んでしまった人たちを
助けてあげようということなら、話はわかると思うんですが、
年齢的な問題もあり、中々そういうわけには行かないみたいなんですね。

それで、いま話題になっている解雇規制の緩和についてなんですが、
海外での赴任経験のある証券マンの方のご意見によると、
海外と日本とでは、全然違っているらしいんですね。↓


緩和に賛成の人たちがよく使っている
「解雇しやすい国ほど、収入が高くなる傾向にある」
というグラフがあるんですが、
国ごとに事情が全く異なるということから単純比較はできなくて、
相関しているとは言えない、ということみたいなんですね。

もう一つ、この動画で言及されているのが、
日本の場合は、総合職の人が基本で、
専門職の人があまりいないということで、
それも切りにくいというか、辞めにくくしている
原因の一つらしいんですね。↓

"なぜ、日本が 解雇しにくいというイメージなのかというと、
雇用するにあたって 業務を特定しない雇用契約が一般的だからです。

欧米型の企業のように 業務を特定するジョブ型雇用であれば、
不採算部門をなくすことが決まれば、
自ずとその部門で働く社員は解雇となります"

https://oshima-sr.com/2022/11/22/7620/

海外のように、必要に応じて専門職の人を入れ替えていく方式だと、
労働組合として、まとまりづらいと思うんですけどね。

で、日本の労組なんですが、
実は、中小企業にはあまりないというか、
代わりにあるのが、いわゆる「名ばかり労組」というもので、
これはオリエンタルランド労組だとかが有名ですが、
創価学会とか、宗教の人が多いみたいなんですね。

一応、日本には、
労働基準法とか、労働基準監督署はあるんですが、
上役からイジメを受けたり、不当解雇されそうになっても、
実際問題として、この名ばかり労組や、労働者個人では
抵抗できないらしいんですね。↓

"大企業では確かに解雇が難しいのかもしれませんが、
中小企業では比較的容易に解雇が行われているのを
当事者としても見てきました。

20名程度の会社で、 数年の間に
従業員がほぼ総入れ替えになった会社も
珍しくはありません。"

https://agora-web.jp/archives/230908234257.html

"労働組合の場合も
組合会費などの形で 一定の金銭を支払うことが多いですが、
一般的には弁護士に支払う費用よりも 安価と考えられます。

労働組合に加入しなければ、
安価に解決できないリスクがあります。"

https://www.union-law.jp/qa/union/qa3/

"そもそも民法では
会社は2週間前に申し出れば 正社員を自由に解雇できるが、
戦後の1960~70年代にかけて
民法を封じる法理が形づくられた。"

https://career.nikkei.com/nikkei-pickup/002067/

とはいえ、現実には
中小企業のほとんどには労働組合がありません。

この現状を放置したままでは
労働組合の存在感が問われる事態になると危惧しています。

つまり、かつて「連合評価委員会報告」が指摘したように、
大企業の労働組合が現状維持に必死になり、
中小企業で起きている問題は「自分の家の窓の外」、
自分の「家の中」は暖かいから、
「窓の外」にさえ出なければよいという感覚になってしまえば、
労働組合の言うことを誰も聞かなくなるということです。

大企業を中心とした今の労働組合が、
その外側に労働組合をつくる努力をしなければ、
労働組合の存在意義はなくなってしまうと思います。

http://ictj-report.joho.or.jp/2404/sp09.html

"確かに、 不払い残業のような明らかな法律違反であれば、
個人の出来事であっても 労働基準監督署が対応してくれるかもしれません。

しかし、ハラスメントや人事評価、 その他の制度に関することなど、
現実には 労働基準監督署では 解決できないことばかりです。"

http://ictj-report.joho.or.jp/2404/sp09.html

で、アメリカって労組がすごく強いんですが、
雇用とか解雇に関する規制というのが
ほとんどないみたいなんですね。↓

実力主義の側面が非常に強く、
優秀な人材は高いポストにつくことができます。
しかし、解雇に対する規制がなく、
使えない人材と判断されれば、即日解雇になるなど、
ドライな側面もあります。
https://times.mazrica.com/news/work-environemet-japan-and-othere-countries/

派遣法なんかも無いというか、
間接雇用に対する規制がないみたいなんですね。↓

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/06/dl/s0628-17a.pdf

そのわりには、組合運動がものすごく強いんですが、
その理由についてネットで検索してみても、
なんだかよくわからないんですね。↓

アメリカの労働運動が長らく抱えてきた問題の一つは、
いわゆる「ボス支配」です。

つまり労働組合の意思決定が
ごく少数のボスによって支配されてきた問題です。

労働組合の規模が大きくなれば、
その運動がある程度まで幹部請負的になるのは仕方ありません。

アメリカの場合、
特にエージェントと呼ばれる専門職が
労働組合活動を運営していたこともあり、
それが「ボス支配」の問題にもつながってきました。

http://ictj-report.joho.or.jp/2401-02/sp08.html

アメリカに限定して考えると、
こんな事情もありそうなんですけどねぇ。↓



で、話を戻して、日本の正社員が解雇しにくいというのは、
労働契約法の16条があるからで、常識的に正当な理由がないと
解雇できないという事になっているみたいなんですね。↓

解雇は、
使用者がいつでも自由に行えるというものではなく、
解雇が客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上相当と認められない場合は、
労働者をやめさせることはできません(労働契約法第16条)。

解雇するには、
社会の常識に照らして
納得できる理由が必要です。

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudouseisaku/chushoukigyou/keiyakushuryo_rule.html

厚生労働省

で、「立証責任が会社側にある」というのは、これのことですね。↓

③ 会社側に主張立証責任がある! 

ところが,解雇権濫用法理の場合,
労働者保護の見地から,
解雇権を行使する使用者側に主張立証責任が転換されているため
(これを意識して条文の文言が定められています。),
会社が①②の証拠をしっかり示せないかぎり,
解雇無効=労働者勝訴となるのです。

https://www.mitsunaga-roudou.jp/category/1891328.html

光永法律事務所

要するに、「なまけていたから解雇する」
と会社側が主張している場合は、
会社側がその様子を撮影した監視カメラの映像だとかを
証拠品として提出しないといけないんですよ。

ちなみに、こういう民事裁判の場合は、
同意を得ていない盗撮であったとしても、
証拠採用されるんですね。↓

盗撮した写真や動画に証拠能力は認められるのか?

民事裁判では、刑事裁判と異なり、
違法収集証拠であっても
一律に証拠能力が否定されるわけではありません。

https://dime.jp/genre/1399331/

2022年6月5日「@DIME」

整理解雇についてはこちら。↓

 企業側の都合による「整理解雇」は

(1)人員削減の必要性
(2)解雇回避の努力
(3)対象者選定の合理性
(4)手続きの妥当性

―の4要件を考慮しなければならない。

小泉氏は、大企業にリスキリング(学び直し)や
再就職支援などを課すことで、
4要件を満たさなくても解雇しやすくする考えだ。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/354078

2024年9月14日 東京新聞


あと、公明党の伊佐進一と、投資家の山本一郎が
火消しに躍起になっているんですが、
TBSの記事を読んでも、小泉さん本人が
範囲を狭めるようなことを話していたようには
書かれていないんですね。↓

2024年10月5日追記



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