生理は恥ずかしいことなのかという話。
僕は昔から、生理が恥ずかしいとか、そういうことを思ったことがない。
生理は恥ずかしいものではありません!もっと生理に対してオープンに!多くの人に理解を!といった感じの流れを見かけて、どうやら多くの人が、当事者も含めて生理に対して非常にナイーブで消極的であるようだ、と感じている。
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生理が来た日のことを覚えているだろうか?
僕はなんとなく覚えていて、小学校5年生くらいの頃に母親が、そろそろ生理がくると思うから、とナプキンの付け方を教えてくれた。
教えてくれてすぐに生理が始まった記憶がある。
我が家も例に漏れずばぁちゃんがお祝いに赤飯を炊いてくれたのだが、どうやら生理が来たのを親族皆が知っていて赤飯を炊かれるという行為に傷付いた、という人も多いようでビックリした。
言われてみれば色んな人が勝手に自分の体の変化を知っていたら、確かに傷付くかもな、と思う。
しかし僕の中の生理に対する認識は当時、大人の身体になるための大事な過程であったり、赤ちゃんを産むためにそういう構造になっている、というものだったため、なにかショックを受ける要素は特に何もなくて、「そういうものなのだ」という感じであった。
当時本当にさして何も感じなかったので、どう思ったか、少しも記憶がないレベルだ。
周りの人間は自分が成長したことに喜んでいる、くらいの認識だったと思う。
強いて言うなら僕はばあちゃんの赤飯が大好きだったので、きっと当時モリモリ食べたと思う。
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僕は幼い時からそうなのだが、例えば注射を打たなくてはいけないとなったとき、「病気の予防のためなので致し方ない」「病気を治すためには致し方ない」と考えて、すとん、と諦めがつくタイプなのだ。
別に注射が好きなわけでもなんでもないし、痛いのは普通に嫌だけれど、そういうものだから仕方ない。
薬を飲めと言われたら飲まないと治らないので普通に飲む。
初めて産婦人科に行ってあの強制的に下半身を医者の前に晒さなくてはいけない椅子に座ってトラウマになる人間も大勢居るようだが(気持ちはよく分かる)、僕は初めて産婦人科に行ってあの椅子に座った時も、「診察と治療のためなので致し方ない」と、すとん、と気持ちを落とすことが出来た。
今も別に好きではないし、普通に嫌だけど、必要とあらばトラウマ椅子に僕は躊躇なく座る。
小学校6年生の頃に脊柱側湾症(背骨がS字に曲がってしまう病気)を治すために1日に20時間、胸の上から足の付け根まであるコルセットを着けていた時も、「治療のためだから致し方ない」と思っていてそこまで苦ではなかったし、むしろ周りの大人の方が、可哀想だ、と落ち込んでいた。
僕にとって生理もまた、「そういうもの」でしかなかったのだ。
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生理についての悩みを恥ずかしくて誰にも話せない、というようなことも特になかった。
生理は女性の身体に産まれれば誰にでもくるもので、別に病気でもなんでもない、自然な現象なのだ。なにが恥ずかしいのだろう、と。
もちろん、それはご飯を食べたら誰しもうんこが出るというのと一緒で、病気でもなくごく当たり前のことだけれどわざわざ人前で話すような内容ではないというくらいの感覚はある。
僕の友人らはうんこが出るとメッセージグループで、「うんこ出たぜ!!💩💩」と報告し、「うんこおめでとう㊗️🎉🎊」と皆で祝福するアホみたいな習慣があるけれど、当たり前だが彼女らも僕もわざわざ公の場や会社などで「うんこ!!」などと高らかに叫んだりはしない。
比較的頭がおかしいと思われる人間達の集まりだけれど、僕らにもマナーとモラル、そして社会性というものがあるのだ。
ただ、その秩序が要らない世界では大きな声でうんこと叫ぶ楽しさを噛み締めているだけで。
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うんこの話はいい。
ただ僕は、生理についても同様に扱っているのだ。
ありがたいことに母親と昔から仲が良かったのもあり困れば母親に相談したし、姉も居たので身近な比較対象もあったし、友人らとも普通に生理の話をした。
僕はそもそもシモの話に関して人よりかなりオープンであり、自身の性事情などに関しても深く考察して付き合い続けてきたタイプなので、感覚が少々ズレている、というのはある。
こうした感覚のずれは昔から人に指摘もされてきたし、ある程度自覚がある。
しかし、生理というのは本当に自然な身体の現象でしかないので、恥ずかしい、という感覚を持って、他人に悩みを打ち明けることも出来ず、辛い思いをし続けている人が多く居るのだとしたら、なんてことだ、と思うのだ。
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世の中ではなんとなく生理について触れるのがタブー視されていて、男性の無理解は勿論、女性自身もまたそのタブーにより正しい知識を得られないまま過ごし、悪いサイクルがグルグルとしている。
その中でも色んな人が、これではダメだ!と頑張ってくれた結果、ナプキンのCMが当たり前にテレビで流れて、「生理は恥ずかしいことじゃありませんよ」「男女問わず正しい知識と理解を持ちましょう」という記事が各所で目に付くようになってきたのだ。
例えば僕もちょっとズレたこの感覚を持っていなかったら、母親と良好な関係でなかったら、姉が居なかったら、話せる友人が居なかったら、周りにからかってくるような人が居たら、生理に関して恥ずかしいと思ったかもしれない。
股から血が出ているんです、なんて、大声で言えるような話ではないのだから。
世の中は少しずつ生理と向き合い始めていて、きっとこうした流れが世の悩み苦しむ人々の支えになっているのだろう。
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このまま世の中が進んでいって、人々が生理に関してもっと楽に生きれたらいいなぁ。
そんなことを薄っすら思うのでした。
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