【年間100曲】2日で1曲完成させる作曲家の作業内訳【ゼロから納品まで】
フリーランス作曲家のシエシ度です。
僕は仕事で年間100曲作っています。
他にも仕事をしているため、1曲にかけられる時間は2日間(約16~20時間)です。
もちろん曲によってはもっと時間がかかったりかからなかったりするのですが、基本的にはこの時間内に完成させられるよう進めています。
この記事では、僕が1曲完成させるまでの作業内容やかかる時間の内訳を紹介いたします。
▼参考までに、仕事で制作した曲を1つ置いておきます
①要望の確認・インプット:0.5h(0.5h)
仕事での制作の場合は、どんな曲が良いかといったご要望を予めヒアリングしています。
ヒアリングした日から着手日までは1~2週間空いてしまうため、着手直前には改めてヒアリングした内容や、参考となる曲の聴き込みを行って自分の中でイメージを膨らませていきます。
とはいえ、着手日までの間にイメージが固まっていることが多いので、軽く要望を確認するだけに留めることもあります。
②作曲(歌メロ・コード・ハモリ)・リズム楽器:2.5h(3.0h)
歌メロ・コード・ドラムなどのリズム楽器を並行して作っていきます。
大体コード→メロ→リズム→ハモリという順番で作りますが、
順番はまちまちで、例えばメロから思いついたときはメロを打ち込んでからコードを付けます。
思いついたセクションから作りますが、可能な限りサビから作るようにしています。
理由としましては、最初に作ったセクションは以降何度も聴くことになるので試行錯誤する機会が自ずと多くなるのですが、サビは曲の中でも一番大事なセクションで、一番拘るべきだからです。
また、歌メロがあるセクション(前奏・間奏・後奏以外)はこの時点で全て作り切ってしまいます。
理由としましては、この後ギターなどのウワモノ楽器を作る際、コードに沿いつつも歌メロを優先したフレーズにするためです。
作詞も必要な場合、メロを作りながら思いついたフレーズは都度メモしておきます。
③ワンコーラスのコード楽器・ベース・作曲直し:1.5h(4.5h)
まずはワンコーラス(前奏から1番終わりまで)を作り込みます。
2番以降、1番をコピペしてから着手できるようにするためです。
僕の場合コード楽器は大体ギターかピアノですので、ろくに弾けないのですがなるべく実際の楽器を触りながら作っていきます。
ここで拘ると終わりが見えなくなるので、細かい部分や音作り等は一旦気にせず、大まかに作ります。
ベースも並行して作りますが、ベースをメインにしたい場合はベースから作ることもあります。
実際に楽器を付けるうちに②で作ったコードやメロに違和感が発生したり、もっと良いものが見つかった場合はどんどん変更・改善していきます。
また、この時点で本腰は入れませんが、リード楽器(ギター・シンセ等)や味付けのパートを思いついたら、それもメモ程度に打ち込んでおきます。
リフ・サビ前フック・歌メロと歌メロの間に挟むフレーズ等、ここで沢山思いつけばつくほどいい曲になりますし、完成までの時間がぐんと短くなります。
直感で思いついたものが結果的に一番気持ち良いことが多いんですよね。
④ワンコーラスのリード楽器・フレーズ楽器などの味付け:2.5h(7.0h)
ワンコーラス(前奏から1番終わりまで)を完成させるため、全てのパートを作成します。
ギター・シンセ・パーカッション・効果音・歌のコーラスやセリフなど、曲に彩りを与えられるような楽器やフレーズを、思いつく限り盛っていきます。
僕の場合思いつきすぎてごちゃごちゃすることが多いので、ある程度出来たら全体を聴きながら引き算していくことが多いです。
⑤ここまで付けた楽器の音作り・ミックス:1.5h(8.5h)
ここまでで進捗としては50%程度です。
しょぼい音をずっと聴いているとそれで耳が慣れてしまい、ラストの音作りの時には耳がやられてしまっているかもしれないので、この折り返しのタイミングで音作りやミックス等をほぼ確定させてそれを防ぎます。
また、EDM系やメタルなど、音圧ゴリゴリで聴かないとイメージと合うかどうか分からない曲の場合、この時点で仮マスタリングをしてしまうこともあります。
⑥休憩→ここまで作ったワンコーラスの最終確認:0.5h(9.0h)
10分ほど休むか日をまたぐことで一度耳と頭をリセットしたのち、ワンコーラス曲として完成させるつもりで一度全体を見直し、フレーズや音作りなどを確定させていきます。
この後コピペして2番以降を作っていくので、後から修正すると二度手間になってしまうためです。
⑦1番をコピペして作れる部分の制作:1.5h(10.5h)
2番以降は1番をコピペしてから、要所要所に細かい変化を加えて飽きないようにします。
静かになるような落ちサビや、転調しただけのラスサビや後奏は比較的手っ取り早く作れるので、このタイミングで作り切ります。
⑧1番をコピペして作れない部分の制作:2.5h(13.0h)
ギターソロやCメロ等、1番のコピペで作れない部分を作ります。
パートが増えた場合は、その都度音作りやミックスを並行していきます。
⑨全体の確認・その他:0.5h(13.5h)
フレーズ・展開など、最後の確認と修正を行います。
途中で何度も確認しているのでここで大規模な修正が生じることは少ないのですが、「サビ前の逆再生シンバルの音量が大きい」など、細かな修正が生じることは結構あります。
⑩ボカロによる「ららら」歌唱音源作成:0.5h(14.0h)
仮のボーカルとしてボカロ(大体鏡音リン・レン)にらららと歌わせたものをミックスするため、この時点でボーカルエディット(ここでは音量とピッチの補正のみ)します。
ピアノ等を歌メロのガイドに使ってしまうと、ボーカルが入ることを想定したミックス・マスタリングが出来なくなってしまうためです。
残念ながらボカロは音程を正確に歌ってくれるわけではありませんし、音程による音量差も激しいですし、思った音の長さで歌ってくれるとは限りませんので、違和感なく聴けるよう、調声というほどではありませんが、実際の人間のボーカルデータと同様にエディットしていきます。
作詞が必要な場合、どうせボカロにはこの後歌詞を歌わせるのでこの工程は不要なように思えるかもしれませんが、作詞中は可能な限り完成形に近い音質で聴いていたいため、いずれにしても一旦仮でボーカルデータを作ってしまいます。
⑪ミックス・マスタリング:1.5h(15.5h)
⑩で作ったボカロデータも含めてミックスし、マスタリングして完成です。
作詞が不要の場合は⑫~⑭を飛ばします。
⑫(要作詞の場合)作詞:2.0h(17.5h)
本・辞書・Webサイトなどを活用しながら一気に書き上げます。
経験上、時間をかければかけるほどテーマが伝わりにくい歌詞になり、お客様のご希望と合わなくなってしまうため、必要最小限の時間を心掛けます。
独り部屋に閉じこもって自分の世界に入り、テーマに沿って感情移入しながら作ります。
⑬(要作詞の場合)ボカロ打ち込み・エディット:1.0h(18.5h)
ボカロに歌詞を打ち込み、⑩と同様にボーカルエディット(ここでは音量とピッチの補正のみ)します。
あくまで仮歌なので調声に時間はかけませんが、歌詞が聞き取れて、かつミックスにも影響がない範囲でボーカルデータを作り込みます。
⑭(要作詞の場合)ミックス・マスタリング:1h(19.5h)
ボカロが歌詞を歌うようになったことでボーカルミックスが全てやり直しとなり、それに伴いマスタリングもやり直しとなります。
正直作った本人以外には違いが分からないレベルかもしれませんが、納得いくまで拘って作り込みます。
⑮データ出力・連絡0.5h(20.0h)
マスター音源やオフボーカル音源、歌詞のテキストファイル等、必要なデータを出力・作成し、納品して完了です。
修正ご希望があった場合は対応しますが、殆どのご依頼では修正が無いことが多いです。
いかがでしたでしょうか。
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また次の記事でお会いしましょう。