10/9 寿司回転タイム、開始__
10月9日。
アルバイトを終えて、家に向かう途中で私はふと回転寿司に行きたいという衝動に駆られた。近くの回転寿司はなんと24時までやっているというではないか。なんという僥倖!
私は愛車であるビーエービーワイ号を寿司チェーンに止め、飢えた人々を横目に順番を待った。
そしてついに席に案内され、目の前に広がるのは、ええ、皆さん、お分かりかと思います、ですが言わせてください、
Dancing 魚介類__。
踊るぽんぽこりんなど、なんのその。魚がもうそれはビチビチと真っ白な海を泳いでいる。
私はもはや魚類であった。水を得た魚、否、魚を得た魚。
海老、海老天、玉子、稲荷と子供の味覚に基づき無邪気に注文する。そして某声優の声で、「商品が間も無く到着します」。
恐るべきスピード。回転寿司を考案した人はなぜ回転させようと思ったのか、その先を想像していた瞬間、サンダーバードも驚く超特急でテーブルへと着地するDancing魚介類たち。
夜に食べる寿司は最高だ。ああ、でも魚以外に、デザートにも手を伸ばしちゃうか〜?と悪魔の囁きに取り込まれてしまった私は、デザートセット、大学芋とバニラアイスという罠に自ら嵌って行く。
ああ知らなかった。回転寿司屋ではデザートまでもが踊るのだ。まさにDancing デザート。おまえそれ言いたいだけだろ。うるせぇ!
デザートスプーンを手にしようと立ち上がり、手に取って着席するその瞬間、空に舞う大学芋、アイス、真っ白な皿。世界は残酷だった。だが悪はここにいない。最後の最後、一か八か、反射的に伸ばした手は大学芋とバニラアイスをがっちり掴んでいた。アイスはドロっと悲鳴をあげていたが。
バイトの疲れにも関わらず手にした勝利は、美味かった。もしキャッチに失敗していれば、私は失意のうちに全く異なるテイストの文章を書いていたに違いない。