生理用品の無料提供・減税に反対
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緒言
近年、世界的なフェミニズムの盛り上がりから、生理用品の無料提供や減税が盛んに叫ばれている。"リベラル"で"先進的な"国家では、すでに減税が行われており、本日スコットランドで生理用品の無料提供法案が可決されたというニュースが可決されたというニュースが流れてきた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/038fbf07eb182205c129e578489918b528aadcdf
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5fbdaae7c5b61d04bfa50d36?utm_hp_ref=jp-homepage
こちらはニュージーランドでのニュースである。
日本でも、現状で成立した法案はなく、それに近い自治体の試みも行われてとは聞かないが、以下に示すリンクのように生理用品の減税を求める声は多くある。
私はフェミニストから見れば、性差別主義者に他ならないのだろうが、私はこうした生理に関する減税や無料提供に平等の観点から反対する。私にとっては、生理用品の減税が極めて差別的な政策に感じられる。本稿では私がなぜ反対するかについて記述する。
生理用品の負担は性差別的か?
生理用品の減税が現在これほどまでに支持される理由は、生理用品は女性のみが必要とするため性差別的であるということである。上述の署名運動にも「子宮を持って生まれただけでより多くの負担を強いられる社会は不平等」との記述がある。生理用品に関する政策支持の理由はこの一点につきると考えている。他に理由があるなら教えていただきたい。
確かに、生理用品だけを考えると女性にとって不利があることは間違いない。しかし、私はこの生理用品の負担の是正を差別的で不要であると考える。なぜならば、女性が不利になる場面だけを切り取っており、男性が不利になる場面は絶対に触れないからである。最も顕著なものは食費の差であろう。男性は女性よりも平均として体格がよく、生きるのに多くのエネルギーを要する。生理用品もなくては健康を害する可能性があるが、食料は足りなければ、餓死に直結する。餓死しないためには男性のほうが多くの負担をしないといけないわけである。生理用品の負担を女性差別的であるという人は、男性のほうが生きるのに金がかかるのだから、男性に食費の補助が必要と言われ納得できるのであろうか?片側の負担だけを取り上げるのは差別的な態度ではないだろうか。
どちらが損しているか額を試算しよう。生理用品は月に1000円程度の出費であろう。以前twitterで生理用品はもっとお金がかかるんだという声が上がっていたが、下に示すアンケートや、生理用品の市場規模(市場規模年1000億、生理がある女性2000万人として一人当たり5000円/年程度)から妥当、もしくは少し大きく評価した金額であろう。1か月あたりに負担する税金は軽減税率なしでも100円程度でしかない。
https://news.nicovideo.jp/watch/nw2218028
https://www.syogyo.jp/news/2020/09/post_028752
一方の食費は、男性は女性の1.3倍必要とすると仮定する。食費を月2.5万円とする。(ちなみに、今日twitterでは月5万の食費は当然だという声が多々見られた。)この仮定のもとでは、男性は女性よりも5000円以上月に払う必要がある。5000円のうち、税金は8%であるから、400円である。男性は平均すると女性よりも月に300円多く税金を払う必要がある。年4000円、一生では30万近くだろうか。こうした、不平等には一切触れずに、自分が利益がある場合のみ声をあげる。これが平等のための運動だろうか。
想定される反論
この主張に私が考えられる反論は、以下の3つである。
1.男性は男性で権利を主張すればいい。
2.男性に食費の補助を与えるのが望ましい。
3.女性でも大食いはいる。個人差があるが考慮していない。
である。
1.男性は男性で権利を主張すればいい。に対してはある種の平等ではある。しかし、このような方法をとった場合、男女などの例ではいいかもしれないが、もっと少数派が関与する事象に関しては少数派は意見を通すことができなくなる。そして、こうした主張は各自が自分の利益を考えて主張をすればよいと述べているに他ならない。このような状況で平等な政策が実現するとは考え難い。また、生理のない私にとっては当然、生理用品の負担に関する運動を反対するインセンティブとなる。
2.男性に食費の補助を与えるのが望ましい。に関しては、そもそもフェミニスト(=女性主義者)は主張しないだろうが、平等を追い求めると余りにコストがかかりすぎる。このように生理と食費だけ考えれば十分実行可能だろうが、現実は様々な差異がある。それらの差を埋めるためには非常に煩雑な手続きを踏まなければならない。また、現物支給の共産主義的で平等を求めるために結果として貧しくなるという結末が想定される。理想ではよいが実現しえないだろう。
3.女性でも大食いはいる。個人差があるが考慮していない。に関してはその通りである。しかし、じゃあ体格・消費エネルギーにあった補助を入れます。とすると、結果として平均的には男性に多く補助が必要となるので、それを受け入れられるかどうかという本質には影響しない。また、例外的な個別の事象を扱うなら、一部のスポーツ選手や疾患などで生理のない女性もいるため、女性差別でないと結論付けられてしまう。
貧困層は生理用品を買えない。
男性との比較以外に貧困層が生理用品を買えないというのがある。だからと言って、生理用品を特別扱いするのは非常に筋悪だろう。貧困層が生理用品が買えないなら貧困層向けの政策をするべきである。具体的には生活保護の拡充である。生理用品が買えない貧困層は食うにも困っているであろう。生活保護を拡充し包括的に保護するほうが望ましい。貧困層向けの政策の多くの受益者が貧困層でない女性というのは全くおかしな話だと思わないのだろうか。
生活保護では生理用品にまわらないというなら、生活保護を現物支給にしたほうがよい。そのような状況ではおそらく貧困層が手にしていないものは生理用品だけでない。
全世帯に生理用品を配ったところで得られるのは生理用品だけである。生活保護者に生理用品だけを届けるために、全世帯に生理用品を配り社会のリソースを割くのが全く得策とは思えない。
生理用品は贅沢品ではない
その通りであるが、だから何だという感じである。私はそもそもすべての軽減税率に反対であるので、生理用品に関しても軽減税率を認めるべきではない。贅沢品だから税金をかけてよいというのが差別的である。なぜか。
贅沢品というのは要するに買わなくても良いものである。贅沢品、価格弾力性が高いものは、価格が高くなったところで買わなければ良いだけなのだから、贅沢品の消費者は全く困らない。では困るのは誰か。売る側である。売る側は、店が損してでも価格を安くしなければ売れなくなってしまう。贅沢品への課税はブルジョアに対して再分配を課しているように見えて、実際は、ただの贅沢品を売る労働者だけを狙ったいじめでしかない。外食は自炊と比べて値段が高く贅沢である。軽減税率も適用されない。では、外食産業はブルジョアか?違う。ある外食企業はブラック企業の代名詞ではなかったか。「生活必需品には課税するな。贅沢品には課税してよい。」という人は短絡的で平等といいつつ、自分の都合の良いことしか主張していないことに気付いてほしい。
生理用品への補助を正当化する主張とは
ここまでで、代表的な生理用品の負担補助が平等の観点から正当性のないという私の意見を述べた。生理用品への補助を正当化する主張は次のようなものであろう。
女性が得をするのは良い政策。男は貢げ。
まったく平等ではないが、これを主張の根拠に置けば筋は通るだろう。フェミニズム(=女性主義)の名にもよく合致している。見せかけの平等で取り繕わずに正直になったらどうだろうか。賛成はしないが。
結言
以上の理由から私は、平等の観点からは、生理用品のみにフォーカスした政策に反対である。私のことを差別主義者だと感じるかもしれないが、私はフェアである政策を求めるのみである。自分に近しい事象から平等を叫ぶことが本当に社会を平等にするか考えていただきたい。本当に平等な社会はあなたにとって得にならないかもしれないが、それでも受け入れられるだろうか。自分に不都合な部分にも着目してほしい。自分に近い立場の者と同じ意見を表明するのは共感でも何でもない。自分が対立する、利益が相反する立場の者を慮ることが共感であろう。
最後までお読みいただきありがとうございます。ぜひ意見を聞かせていただきたく思います。特に私と反対意見の人に意見を聞きたい。
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