多数決より公平な「ボルダルール」とは?
学校で働いていると、クラスのみんなで何かを決めることが多くあります。
そして、みんなで納得できるように、「多数決」を使うことが多いですよね。
しかし、みんなで納得して決めたはずのことでも、後から
「本当は、○○がよかった。」
「僕が選んだわけじゃない。」
などと文句を言われた経験がある人も多いのではないでしょうか。
せっかくみんなで決めたのに、揉め事のきっかけになってしまったり、生徒のやる気を損なう結果になってしまったりすることは、残念でなりません。
そんなトラブルを回避するために、今回は「ボルダルール」という決め方について紹介します。
「みんなで何かを決める=多数決」というイメージがありますが、実はそうではありません。
多数決以外にも、有効な決め方があるのです。
◆ボルダルールとは
「ボルダルール」とは、18世紀後半に、フランス海軍の科学者「ジャン=シャアルル・ド・ボルダ」が考案した、選挙方式です。
投票者が、全ての候補者に対して、よいと思う順に高い点数をつけ、総得点が高い順番に、順位をつけます。
ボルダルールの特徴は、なんと言っても、投票者が2位以下も選択できることです。
◆多数決とボルダルールを比べてみよう
ボルダルールの魅力は、多数決と比較することで明確になります。
学校でありそうな場面を例に考えてみましょう。
★文化祭の出し物をクラスで決めよう★
選択肢は3つある。(ダンス・クレープ屋・空き缶アート)
出し物は1つしか選べない。
クラスには36人いる。
▼多数決で決めた場合
多数決では、投票者がそれぞれ「1位」だと思ったものに投票します。
このような投票の場合、1番人数の多い「ダンス」が、クラス全員で決めたものとして、認められます。
後述する「ボルダルール」との比較として考えるならば
多数決の場合、1位に100点、2位以下に0点というような配点になります。
▼ボルダルールで決めた場合
ボルダルールの場合は、1位以外にも順位をつけ、それに応じて点数をつけます。
今回は、以下のように点数を設定します。
今回のボルダルールの配点
1位・・・3点
2位・・・2点
3位・・・1点
そして、以下のような投票結果になったとします。
※36人それぞれが1位に選んだものは、多数決の時と同じです。
これを、今回の配点に合わせて、計算します。
そうすると、合計得点で「空き缶アート」が1位となり、クラス全員で決めたものとして、認められます。
▼比べて気づくこと
多数決の場合、16人の意見しか反映されていない。
多数決で決めた場合、1位のダンスを選んだ16人の意見しか反映されません。
つまり、それ以外を選んだ20人の意見が無視されていることになります。
これで、「クラスのみんなで決めた」と言えるのでしょうか。
※ダンスが過半数の支持を集めていないので、
「ダンス」と「クレープ屋」で、決選投票をする方法もあります。
多数決で1位のダンスは、実は1番人気がない。
多数決で「ダンス」と決まると、「みんなダンスがやりたい」ように思われますが、実はそうではありません。
先ほどの表をみると、ダンスを3位(1番嫌だ)に選んでいる人が、20人もいます。
半分以上の人が「1番嫌だ」と思っているものが、選ばれるなんて
そんなに悲しいことはありません。
ボルダルールで選ぶものは、みんなが「納得」できるもの
今回、ボルダルールで選ばれた「空き缶アート」は
28人もの人が「2位」に選んでいます。
2位ということは、悪く言っても「嫌じゃない」レベルです。
また、空き缶アートを3位(1番嫌だ)に選んだ人はいません。
ボルダルールで決まった「空き缶アート」は
多くの生徒にとって「1番やりたい」ものではないかもしれませんが
1番納得できる結果なのではないでしょうか。
◆まとめ
今回は、多数決に替わるボルダルールという決め方を紹介しました。
ボルダルールの特徴
より多くの意見を反映できる。
多くの人にとって、「よりよい選択」ができる。
学校では、生徒全員で何かを決めることが多くありますが、そのほとんどの場面で「多数決」を採用しています。昔から、複数の意見がある時は「多数決」で決めることが染みついているからです。
しかし、今回例に挙げたように、多数決よりもボルダルールの方が優れている点が多くあります。
「みんなで何かを決める=多数決」ではなく、その場面に応じて
どんな決め方がいいのか、考えることが必要です。
生徒にボルダルールを紹介して、
生徒自身が、「多数決」か「ボルダルール」かを決めてもいいのではないでしょうか。
もちろん、それ以外の決め方を考える機会があってもいいかもしれません。
今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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