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目標管理は社員の昇給のため
こんちは!副業社労士まさゆきです。
とある会社の人事制度に「目標管理」制度を使う予定です。今までは「目標管理を書く側」「部下を評価する側」、「面倒くさい」と思っていましたが、今回制度を作る側になり「制度は社員の給与を上げるためにある」と感じました。
【目標管理は人事評価のスタンダード】
今更ですが、目標管理のおさらいです
1)年初に「今年の目標」「目標達成に必要な行動」を上司と相談し目標管理
シートを作成
2)年度終了後に結果を記入し上司と面接
3)結果を来年の目標設定や、人事評価に反映する
結果を報酬にどこまで反映するかは会社によります。単に社員のスキルアップなどのために使う会社もあれば、人事評価に連結する会社もあります。私が関わっている会社では、
①目標管理シートに「目標達成度評価(A)」と「他者を助けた行動評価(B)」を
記載
②結果を5段階評価、上層部・人事部で全社員の評価を相対的ランク付け
③給与と賞与は上記(A)で評価
④昇格昇給は(A)と(B)を総合評価して決定
とする予定です。
目標管理を導入している会社は2010年で7割に達します。
【目標管理と他の人事評価の比較】
目標管理は何故ここまで浸透したのか?人事評価は何を評価するかで3つに分かれます。
業績評価:業務や目的の達成度、プロセス(行動)を評価(目標管理も業績
評価の1つです)
能力評価:業務を通じて身につけた能力、業務に有用な保有資格を評価する
情意評価:勤務態度や仕事への意欲を評価する
情意評価は評価者の主観に依存します。評価者の数情意評価があります。小企業(評価者が社長1人)の人事評価と言えるでしょう。
能力評価の課題の1つは「その能力は業務に生きるか」です。経理担当が税理士ならその能力(資格)は評価対象ですが、営業担当の税理士資格は評価できません。
もう1つの課題は「その能力は客観的に評価できるか」です。資格は客観的に評価できますが「組織を束ねる」能力など抽象的能力は客観的に評価できません。「組織を束ねた具体的行動を評価する」なら目標管理制度の行動評価の範疇です。
ジョブ型雇用は、その仕事に必要な職務能力に一定の報酬を払う「能力評価」の面と、仕事の結果に報酬を払う「業績評価」の両面を持ちますが、企業が求める結果を「仕事の結果=業績」で評価した方がいい。こうしてみると「客観的な成果」や「成果を生んだ具体的行動」を目標管理で評価ことが客観性で優れています。
【会社は客観的に人事評価をしたいので目標管理を使う】
業績評価の中で目標管理が浸透している理由は?人事評価の目的から考えてみましょう。
人事評価の目的は①適切な人材配置と待遇の決定②効率的な人材育成③組織の経営ビジョンの促進です。「経営ビジョンを達成する為人材を配置育成するならば、企業目標に則った目標を指標に評価」する目標管理が適切です。
そして、目標管理の客観性は適切な報酬の基準となる利点があります。
人事評価の目的である「適切な人材配置と待遇を決定」するには社員が「会社は平等な評価をしている」が感じることが必要です。目標管理は指標として適切です。
「そう言っても目標管理で正当に評価されている実感がない」会社の人件費に限りがある以上、最終的には相対評価となり完全に客観的でないは事実、ただ、現在考え得る中では最も客観的です。
【目標管理制度があるから昇給昇格がある】
会社は人件費に余裕があるなら社員に報酬を払って働くモチベーションを上げて欲しいと思っています。ただ、人件費には限りがあり「出来る社員には報酬を、そうでない社員はそれなりに」差を付けたい。その差に客観性がなければ社員を昇格昇給できないため、目標管理を根拠にします。言い方を変えれば「客観的基準がなければ会社は昇格昇給できないから目標管理を使う」のです。
目標管理がない場合を考えてみましょう。一般社員、主任、課長と3つの職務があった場合、給与は3水準となります。一般社員が全員同じ給与…新入社員と中堅社員の給与が同じでは、中堅社員は納得しないでしょう。目標管理制度が客観的基準になるから一般社員間に差を付けらるのです。
「目標管理を書いて上司にPRしても昇格出来ないから書く意味がない」誰もが一度は思います。その時は「目標管理があるから昇格昇給がある」と考えて下さい。
評価される側、評価する側、そして制度を作る側、3つの立場に立って見えるものがあります。
ではまた次回