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選挙に行きたくなる社会保険の授業を中高生に

こんちは!副業社労士まさゆきです。本年もよろしくお願いいたします。

中高校の出前授業で社会保険を扱うと生徒さんの反応が非常に良く戸惑います。「今まで知らなかった事を知られてよかった」「病気等で働けなくなった時国が助けてくれ安心だ」年金に対するSNS等の否定的反応と真逆です。

社労士の出前授業ではセーフティネットとしての社会保険の給付内容を説明します。
「年金保険料は損」は誤解、自己負担保険料と同額国が負担するので、長生きすれば支払保険料を大幅に超える年金を受け取れます。障害年金は障害で働けない時の補償、保険料は払うべきです。
病気で健康保険を使えば自己負担3割で治療を受けられる、介護保険にも触れます。
会社の仕事が原因の病気怪我ならば労災保険で自己負担無し、労災保険料は会社が全額負担します。
雇用保険は、失業時再就職までの生活費補填だけでなく、育児休業や介護休業間の生活費も補填します。

学校では社会保険の給付内容を詳しく教えないようです。厚労省「高校生向け社会保障教育指導者用マニュアル」を読むと「年金の賦課方式」「健康保険の国民皆保険の意義」を重点的に教えています。

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年金の説明では「世代間助け合いの賦課方式、少子高齢化が進む中制度をどう維持していくか」に重点を置いています。ただ、生徒さんは「年金を維持するのは大変、私たちは貰えない」と考えかねない。老齢年金給付額や、リスクヘッジとしての障害年金や遺族年金の意義を強調すべきです。

国民皆保険は他国との比較が大切です。私はアメリカの医療制度と比較します。
アメリカの公的医療制度は高齢者や障害者、低所得者だけが対象、一般の人には民間医療保険しかなく治療費が払えず病院に行けない人がいます。「日本の国民皆保険とアメリカの医療制度どちらがいいですか?」(教育指導者用マニュアルではアメリカの制度は参考扱い)。世界最高水準の制度を説明しないのは勿体ない。

労災保険、雇用保険に至っては「名称だけ憶えて」の扱いです。何故社会保険の給付内容を詳しく教えないのでしょう?「大人になるのが怖い」「自分に仕事が出来るのか」と考える生徒さんが、セーフティネットたる社会保険の給付内容を知る事で不安を和らげられます。

社会保険勉強のもう一つの意義は若者が選挙に行く動機となる点です

12月30日、日経朝刊「選挙結果Z世代が左右」によると「最近の衆議院選の20~30歳代投票率は30~40%と低い(全世代は60%弱)。投票率の低さが現役世代向けの社会保障支出比率の低さに繋がっている(GNP比2%程度、欧米は3~4%)、SNSがZ世代の投票率向上に繋がれば」。
ただ私は、中高校で社会保険を教えず“選挙に行く意義を理解していない”点が原因だと思います。

選挙とは「社会保障をどの世代にどの程度の額を割り振るか」投票で決める事です。
例えば国民皆保険、世界最高水準の給付には相応の自己負担(租税・社会保障負担)が必要です。
アメリカ選挙民は「国民皆保険は不要、自己責任で民間保険に入り負担は少ない方がいい」選択をしました。日本選挙民は「国民皆保険のための自己負担は止むなし」と考えました。給付が大きければ自己負担も大きい、自己負担を減らせば将来への備えは自己責任、そのバランスを決めるのが選挙です

「社会保障は自分の投票で決めるので選挙に行かなければいけない」と若い人たちは自覚している?「投票しなければ自分たちの利益は実現しない」と知っている?「政治も商売、低投票率世代に配慮は不要」と政治家が考えている事を知っている?

選挙に行きたくなる社会保険の授業を中高生に…ではまた次回


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