藤井聡太さんとAIのちょうど良い関係
こんちは!副業社労士まさゆきです。
藤井聡太さんが史上初の8冠を達成するか将棋が注目されています。藤井さんの強みはAIを使った戦法(振り飛車など)研究の緻密さだと言われます。ある戦法が生まれると皆がその戦法を研究しますが、AIを上手く使いこなす事でより深く研究できるそうです。
最近AIと将棋に関する2つのNHKの番組を見ました。私には両者がちょうど良い関係を築こうとしているよう思えます。AIとの付き合い方の参考になるのでは…
1)将棋トーナメント(毎週日曜昼)
子供の頃将棋をやった時期があり「将棋トーナメント」を見たことがありますが、つまらなかったです。駒の動かし方が少し判るレベルでは、どっちが優勢なのか判かりません。対局の解説も知識がないと理解できません。
久し振りに見ると変わっていました。2人の解説者が予想する点は同じですが、画面に「AIが推奨する最善の指し手」と「今どちらが有利かを表す評価値(90:10で先手が優勢、など)」が表示され面白くなりました。
評価値でどちらが今優勢か判ります。一手毎に評価値が動き臨場感があります。対局者が打ち手を誤り評価値が下がると(50:50⇒90:10になるなど)「あー、やっちゃったのね(すみません、素人が偉そうに)」と思ったりし将棋が判らなくても楽しめます。
「AI推奨指し手」を中心に解説者は番組を進めると思いきや、解説者はAIを無視して自分の考えを主張します。「次の指し手は○○で、後手が××と対応するので先手有利ですね…えっ、AIは9五角ですか。なるほど」と言いつつ主張は変えません。対局者の指し手がAIとも解説者とも違ったりすると、先は読めない。次はどうなる?AIと解説者、どちらが正しい?…なかなかスリリングです。
番組はAIを崇めるでもなく無視するでもなく、程よい距離感で進行します。これが興味深いです。
2)NHKスペシャル「羽生善治 52歳の格闘~藤井聡太との7番勝負」(4/15放送)
番組の本題は「王将戦で羽生さんが藤井さんに如何に挑んだか」ですが、私はAIを棋士がどう捉えているか興味深かった。
羽生さん以前、棋士は紙に記録された先輩の棋譜を取り寄せ勉強しました。
羽生さんの時代はコンピューターに記憶された棋譜を利用して研究し、それが今AIに変わりました。そして、AIも進化します。「1年前のバージョンは今のバージョンに7割~8割負ける(それだけ1年で進歩する)」ので、最先端の戦法情報を常にAIで検証することが必要だそうです。
こう書くと“AIに棋士は支配されている”よう思えますが、違います。強くなるには「自分の棋風や能力とAIを擦り合わせて一番マッチするところを見つけられるか」だと中村八段がコメントしていました。羽生さんは「AIに頼りすぎると創造性・多様性・遊びの部分が失われて危険な兆候だと思う」と話していました。棋士にとってAIは使いこなす道具なのだと思います。
2勝2敗で迎えた王将戦の第5局、AIが藤井さんの最善手を「2八歩」と予想しました。対局後の羽生さんは「2八歩は誘いで、次の手で勝負の積りだった」とコメントしました。長考後、藤井さんは2八歩を指しませんでした。羽生さんの意図に気付いていたそうです。
藤井さんもAIは手段なのだと感じました。
AIと社会がどう付き合うかが話題ですが、AIのリスクに重きを置きすぎている気がします。AIのリスクを考慮しつつ、将棋界のようにちょうど良い関係を模索することが必要ではないかと思います。
ではまた次回