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迷路の入口

前回はこちらから↓

きつめの声色で発した言葉にA氏は少し驚いた様子で、私の顔を直視できない状況に陥っている様でした。
何を言い始めるのか・・・。この後何をする気なのか・・・。
そんなことを考えながら何とも言えない沈黙の後、A氏が口を開きました。

「お金を回収したのは僕です。メールしたのも僕です。隠したのは部下がお願いされていたことを僕がやったとなると彼が怒られるんじゃと思って・・・。お金は盗ったんじゃありません。本日両替するために、一旦レジから「預かった」だけです。報告忘れていました。すみません・・・。」

到底納得できる言い訳ではありませんでしたが、両替されたであろう
お金をカバンから取り出し渡してきました。
自分自身、どう処理すべきかすごく悩みました。これを報告しても結果的に
「管理不足」となってしまうのも目に見えていましたし、今後A氏にお金を触らせないようにできればいいと考えました。


「今回の件は私の中で飲み込んでおきます。が、二度と勝手に両替金と称し社外に準備金を持ち出すことは禁止します。万が一両替が必要になった場合は私に報告してください。私が休みの日でも連絡してください。こちらで指示します。」

このように伝え、私は席を立ちました。現金を釣銭機に戻し、部下へは両替のために持ち出していたそうだと笑って伝えることで不信感を払拭しようとしましたが、少し困惑した様子でもありました。
私は業務に戻りましたが、今朝の事が頭から離れず彼の様子ばかり気にしていました。そんな中、お昼休憩が全員終わった矢先、部下が私に「あとはやっときますので、帰ってください^^」と言われました。きっと気を使ってくれたのでしょう。私も今朝の事で仕事に身が入っていないのは確かでしたし、何より頭の中を整理したかったので、お言葉に甘え帰路につきました。

その間にエリア長に連絡をし、早上がりするを報告するとともに今朝の事を相談しておくことにしました。

エリア長は驚く様子もなく、「大事な時期だから気を付けておけ。妬みは怖い。何をして来るかわからないからな。」と言われました。

私はそこで初めて「お金の為ではなく、私を陥れるため」なのかもしれないと思いました。確かに違和感はずっとありました。
お金に困っていることは確かではあるものの、使うわけでもなく手元に置いている。普通はそこまでやる人間であれば手元に置くのではなく、何かの返済にすぐ使ったり、ギャンブルに使ったりと使うはずです。
A氏はそれがなかったのです。何を妬んでいるのか。誰かに頼まれているのか。何がそんなに気に入らないのだろうか。頭の中でグルグルと思考が巡らされていきました。

まさに出口のない迷路に迷い込んだかのよう。すべての人を疑ってかかってしまうような。優しい言葉も、厳しい言葉も、何か裏があるのではと疑心暗鬼になってしまうのが自分自身で分かりました。



普通の会社ではそんなことないとは思うのですが、当時の社内では正直政治じみたことが多くありました。
○○派だとか、ハニートラップだとか、リークだとか。
いつも出世がちらつくとそんな言葉が耳に入ってくる、そんな会社でした。

エリア長が出世するタイミングでもそのようなことがあったそうで、
その電話で「今後のためだ」といろいろと教えていただきました。

当時エリア長が体験したことは「ハニートラップ」だったそうです。
事が起きたわけではないので確実に誰が差し向けたのかも、ハニートラップだったかも確定できないが、と初めに補足したのちに教えてくれました。


その話を聞いた後でも、やはりわからないことがたくさんありました。
お金で私を陥れるとしても、自分が盗ったとなると本人は一発で
「懲戒解雇」となるはずです。情状酌量の余地もなく。
そんなリスクを持ってまで、私を陥れるとするならば何をそんなに恨んでいるのか。何がそこまで妬ましいのか。本当に意味が分かりませんでした。

帰宅後、どうしても頭からそんなことが離れないため、久しぶりに自宅で晩酌をすることにしました。
私は喫煙も飲酒もする人間でしたが、自宅ではその両方を21歳の時から禁止していました。理由は子供の為であり、自分自身が飲酒と喫煙を始めた理由が「母親がしていたから」という事は否めないからです。
できるだけお酒とたばこから子供を遠ざけたかったということです。

お酒を飲み、大好きなYOUTUBEを見て寝ようと思ったのですが、
布団に入ると今朝の事が頭をよぎり寝ることが出来ませんでした。

結局不眠状態で翌日出社したのですが、今思うとこの頃からがうつ病の始まりだったのかもしれません。疑心暗鬼・不眠・気怠さ。
当時は考えないようにしていましたし、「うつ病」は精神力の弱さと思っていましたから、人に相談することもできませんでした。

それから一か月ほど過ぎ、エリア長監査も終えた直後、部下から個人携帯に
連絡がありました。

「相談したいことがあるのですが・・・。」

いつもの元気な声ではなく、暗い様子で何か困っているような・・・。
私はすぐに気が付きました。「お金を貸してほしい」

私の頭の中で誰かがつぶやきました。


「部下君、お前もか・・・?」


昨日は家族行事の為、お休みさせて頂きました💦
また、沢山の方が読んでいたでいている様でとてもうれしいです!
もしよろしければ「スキ」や「フォロー」して頂ければとても励みになります!過去を思い出すことで私も再発しないとも限りませんが、読んでいただいていると感じることで、調整することが出来ます。
本当にありがとうございます!

また、昨日初めてご相談にメールしていただいた方がおります。
少しでも心に寄り添い、解決できるように尽力していきたいと思います。
同じように鬱だと信じたくないが、そうかもしれないと思っている方を
救いたい。相談する、認めることで少し気持ちが楽になることが多いです。
私も診断されたのちの行動でここまで来ました。一人じゃありません。

本当にお金に困っている方を救いたい。
金利の高い消費者金融やリボ払いなどに頼らず。
どこからも借りられないから闇金・個人融資掲示板などに相談せず。
まずは匿名で構いませんので、私にご相談ください。

きっとお力になれるはずです。
ご相談、お待ちしております。
mail: akae12250808@ymail.ne.jp

SHARMAN

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