ニューカルマ 新庄耕 読書感想 ややネタバレ有
この作者の作品は2冊目。
非常に読み進めやすい文体、内容なので好きかもしれない。
内容としては、マルチにハマった主人公の浮き沈みや葛藤を描く物語。
今現在の仕事での収入や発展性・将来性を考えた時、
また自分が何者でもない20歳前後の時に、どこかから声が掛かるアレ。
マルチレベルマーケティング(以下、MLM)なんて横文字を使って格好付けちゃいるが、中身はねずみ講・無限連鎖講。
過去にはマーク・パンサーのマルチ騒動もあったね。
まぁ、マークの話は置いといて本題へ。
主人公は大会社の子会社に勤める人間で不景気からくるリストラを
目の当たりにし自分の将来に不安を感じ、大学時代の
そこまで仲良くなかった友人に誘われたマルチに引っかかってしまう。
会員になったは良いが、何をしても誰も話を聞いてくれず
人間関係を銭に変える行為なので地元の友人を失くしたり
会社から注意処分を受けたり、自腹買いで在庫が溜まってしまい
借金が増えたりと上手くいかない所を、上役の人間から
紹介してもらった訳ありっぽい女を自分の子会員にした事で、
お金も人間関係も上手く回り、浮かれ始める。
が、しかし。
人から掴んだコネというものは自分の手から離れやすい性質なんだよね。
それまでの信頼関係や時間が構築出来てないから、信用されず利用されるだけになってしまい、ソコから更に転げ落ちる。
人間、勢いと金がある時ほど落ち着いて冷静になって、
次の手を考えておかないといけないんだよね。
この作者の作品は今作で2冊目だけど、主人公が必ず裏切られるんだよね。
失敗から学ぶ者は同じ轍は踏まないけど、この主人公はまた踏んでしまう。
それなりに信用され、良いポジションを用意してもらったにも関わらず
とある疑念がよぎった時に、そのまま見過ごせば、放置すれば良かったのに
結果的に転げ落ちてしまうきっかけになってしまった。
最後に取った主人公の行動とは?
それこそが彼のカルマだったのかもしれない。
こういったビジネス(果たして、ビジネスと呼んで良いのか不明だが)では
頭や胴元が儲かるシステムになっていて、末端は食い物になるだけなので
搾取される側よりも、搾取する側・仕掛ける側、上の立場にならないと
ダメだよね、と思いながら、今夜も妻が毎月届く契約をしてる
どこの物か不明なサプリを飲む。
これを飲んでからEDが治りかけて、頭髪も増えた気がするんだよね。
肌ツヤも良くなった気がするし。皆もどう?