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コモンズの再発明

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様々な領域や産業において共創型コミュニティを作り出し、プレイフルに社会のありようをシフトさせていくにはどうしたらいいのだろうか。その鍵になりえる「コモンズ」「共」についての調査や…
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#ShareVillage

村づくり民主化宣言──「村」の再発明からはじめるポスト資本主義の実践

「村があるから村民がいるのではなく、村民がいるから村ができる」 「シェアビレッジ(Share Village)」は、2015年に秋田県の辺境から始まった「村」の概念をひっくり返すプロジェクトでした。 2020年、シェアビレッジはコミュニティづくりの民主化を進めるプラットフォームを運営する母体として生まれ変わります。みんなで資源を持ち寄って育む、「共創型コミュニティ=ビレッジ(村)」づくりを進めていきます。 なぜ、コミュニティの民主化を目指すのか。現代における「村」にどの

プレイフルなコミュニティの運営に大事なことは?「シェアビレッジ」の家守が語る村づくりの心得

はじめまして、共創型コミュニティづくりをすすめるプラットフォーム「シェアビレッジ」でCommunity Organizerを務める半田理人です。 2015年に秋田県五城目町でスタートした、シェアビレッジ。私は、シェアビレッジ町村の家守として、オンラインとオフラインを混ぜたコミュニティを運営してきました。 この5年で経験してきたことを振り返りながら、コミュニティ運営におけるヒントを共有できたらと思います。 地域にダイブして全力でコミュニティを運営シェアビレッジが始まった2

感謝経済がインストールされた共同体「ネオ集落」をつくる──中村真広と丑田俊輔対談

現代にあった「村」を再発明しようと立ち上がった新生シェアビレッジ。そのシェアビレッジを運営する協同組合型の株式会社では、議決権を有する普通株式(一人一票)と、議決権を有しない優先株式の二種類の株式を発行することで、参加する一人ひとりのオーナーシップを基盤としたプラットフォームの育成を実践しています。 シェアビレッジが目指す、「村」の再発明とはどのようなものなのか。シェアビレッジの代表取締役・丑田俊輔と、各分野の最前線で活躍するシェアビレッジのパートナーとで語り合いながら、コ

見返りを求めずに弱さに寄り添う。村のような集合住宅「青豆ハウス」に学ぶ自導型コミュニティ運営

現代にあった「村」を再発明しようと立ち上がった新生シェアビレッジ。シェアビレッジが目指す、「村」の再発明とはどのようなものなのか。シェアビレッジの代表取締役・丑田俊輔と、各分野の最前線で活躍するシェアビレッジのパートナーとで語り合いながら、コミュニティの未来を考えていく対談をお送りします。 第二回は、出資者の一人でもある株式会社まめくらし、株式会社nest、株式会社都電家守舎などで代表取締役を務める青木純さんが登場。住人が当事者として主体的に関わるコミュニティを運営してきた

民主的なプラットフォーム運営のあり方「プラットフォーム・コーポラティズム」とはなにか?

コミュニティづくりの民主化のためのプラットフォーム『シェアビレッジ』は、「プラットフォーム・コーポラティズム」と呼ばれる概念に基づいて運営しています。 この概念は、これからの社会にとって重要なものになると私たちは考えています。ですが、プラットフォーム・コーポラティズムとはなにか?については、まだまだ日本語の情報が少ない状態。 今回は、プラットフォーム・コーポラティズムの潮流に触れながら、その可能性について紹介していきたいと思います。 巨大プラットフォームがもたらす不公平

「コモンズ」ってわかりづらい

もともと、Share Villageは、2015年に秋田の茅葺古民家を舞台にした村づくりからはじまった、いわば「茅葺古民家をコモンズとした新たな共同体」だった。 現在はこのコミュニティは発展的解消し、そのDNAはShare Villageのプラットフォームづくりへと受け継がれている。 Share Villageを立ち上げ、プラットフォームの運営をするようになってから、「コモンズ」について語り合う機会が増えてきた。コモンズについて考えていることを継続してまとめていきたいと思

暮らしはどこまでコモンズ化できるか?

「コモンズ」についての考えを綴っていくシリーズ。今回は「コモンズ」や「共」という概念を、暮らしの中に取り入れていくには?という問いかけについて考えてみたい。 執筆:丑田俊輔(シェアビレッジ代表) コモンズについては前の記事もご覧ください。 日本にもともと存在していたコモンズ まずは自分から!ということで、暮らしている秋田・五城目町の日々から具体的に眺めてみる。 日本の田舎町には、もともと色んな「共」がある。 引っ越してから、町内会の活動や集落のお祭りなどに関わるよう

「村をつくる」はリアルなあつ森?!コモンズとテクノロジーの関係

コモンズ(共有資源)は、共有地や入会地といったアナログな世界から観察されてきたこともあり、一見テクノロジー(特にデジタル技術)とは距離がありそうに見える。 でも、実は結構絡み合っているのだ。今回は、コモンズとテクノロジーの関係について考えてみたい。 執筆:丑田俊輔(シェアビレッジ代表) 前の記事はこちら。 複数の視点から見えてくる未来のコミュニティの姿 数年前に巷で話題になった『限界費用ゼロ社会』(ジェレミー・リフキン著)という本がある。テクノロジーが加速度的に進化し

コミュニティを「つくる」と「つくらない」の間

「村つくろう」と言いまくっていたり、Share Villageのトップに「コミュニティをつくる」ボタンを設置している立場ではあるが、今回は「つくる」という言葉の中に潜むバイアス(偏り)に切り込んでみたい。 執筆:丑田俊輔(シェアビレッジ代表) 前回の記事はこちら。 そもそも、「コミュニティ」とはなにか 「コミュニティ」というと、どんなイメージを持つだろうか?同じ価値観や目的で集まる、とか、特定のメンバーシップで、とか。「地域コミュニティ」として土地に根ざした共同体(自治

コモンズは誰のものか?

コモンズ(共有資源)はみんなで共有していくものだとした時、果たしてそれは誰のものなのか?コモンズを考えていく上で、このテーマは避けては通れない。今回は、「コモンズは誰のものか」をお題に考えてみたい。 執筆:丑田俊輔(シェアビレッジ代表) 前回の記事はこちら。 「共有」の3分類法律上、「共有」にはいくつかの分類がある。 一つ目は、「狭義の共有」。 所有権を複数人で分割して持ち、その持ち分はそれぞれが自由に処分できる。よくあるシェアの形がこれだ。不動産を複数人で持つとか

コモンズは暇人のものなのか?

コモンズ(共有資源)や“共”の可能性について語っていると、「それは時間に余裕のある人だから考えられることだよね」なんて声もある。この21世紀、コモンズとか言ってる人は、果たして暇人なのだろうか? 執筆:丑田俊輔(シェアビレッジ代表) 前回の記事はこちら 現代に生きる人々は忙しい?みんな何かと忙しい。仕事、勉強、趣味、子育て。自分の身の回りのこと以外に使う時間なんてない。それ以外のことは、余裕ある人がボランティアでやるか、行政に任せておくしかない。 経済界からは、コモン

複数の経済圏を行き来する力が、未来の必須スキルになる

「経済」って聞くと何をイメージするだろうか?今回は、経済をメタに(俯瞰して)眺めながら、多種多様な経済圏を行き来することについて書いてみる。 執筆:丑田俊輔(シェアビレッジ代表) 前回の記事はこちら いま自分はどの経済圏で生きているか?「経済」と聞いてぱっと思いつくのは、お金のことかもしれない。「金銭のやりくりをすること」というその意味からすると正しい。同時に、経済という言葉には「人間の生活に必要な財貨・サービスを生産・分配・消費する活動。また、それらを通じて形成される

そうだ 一揆、しよう。

2022年、「コモンズ」や「コミュニティ」はどのような変化が起こるだろうか。2021年のShare Villageの動きを振り返りながら、2022年の潮流を抱負も兼ねて書いてみたい。 執筆:丑田俊輔(シェアビレッジ代表) 自律分散的に生まれていくコミュニティ群 Share Villageをリリースして8ヶ月が過ぎた。 お陰さまで2021年には、全国各地で16のコミュニティが公開。住宅・山・飲食・農業・まちづくり・子育て・関係人口から、新たな共同体の社会実験まで、様々な領

「みんなでつくるプラットフォーム」ってなんだ?猫でもわかる!プラットフォーム・コーポラティズム超入門!

シェアビレッジは「プラットフォーム・コーポラティズム」のモデルケースになっていくことを志向しており、2020年4月のリリースからその実践を重ねてきました。 他方、「プラットフォーム」も「コーポラティズム」も日本語になじんでおらず、ほぐしながら発信していく必要性を感じています。 そこで今回は、澤正輝と丑田俊輔の2人で語りあいながら、猫でもわかるように「プラットフォーム・コーポラティズム」のことを翻訳していこうと思います。 シェアビレッジの葛藤とオリジンへの回帰 澤正輝(