
【投資家対談】投資家が考えるシェアシマの成長性(イワキ株式会社)
今から遡ること3年、2021年のクリスマス・イブ。シェアシマとイワキ株式会社は資本業務提携を結び、新たな一歩を踏み出しました。以来、食品業界の革新を目指して共に歩んできた両者。その背景や成果を深掘りするべく、今回のインタビュー企画では「シェアシマの成長性」をテーマに、投資決定の裏側や未来への展望を伺いました。

金融業界における法人営業を中心に、企画業務、事業再生業務、M&A業務等を経験。その後、旧イワキ(現アステナホールディングス)に入社し、財務部門、管理部門を所管するとともに、IR、M&A、グループの持株会社化等を推進。現在はイワキの代表取締役会長として事業戦略の舵を取っている。
老舗企業とスタートアップ、運命の出会い
ーまずは、イワキ株式会社について教えてください。
門倉: 当社は、東証プライム上場企業アステナホールディングスの100%子会社で、同グループのHBC・食品事業というセグメントの統括事業会社になります。食品原料や化粧品原料の販売を中心に事業を展開しており、業界内でも重要な役割を担っています。創業1914年と、長い歴史を持つ企業として、食品業界の課題を解決する新しい道を模索してきました。
ーシェアシマを知ったきっかけを教えてください。
門倉: ベンチャーキャピタルさんからの紹介です。もともと複数の投資候補を提案されましたが、特に可能性を感じたのがシェアシマでした。オンラインの面談を通じて、『食品業界に新しい可能性をもたらしてくれるのでは』と感じました。小池社長の熱意と食品業界への深い知識が印象的でした。

小池: コロナ禍でのオンライン交渉が続いたことで、直接会えない不安もありましたが、イワキさんのような老舗企業が、私たちのプラットフォームに可能性を感じてくださったことは大きな自信となりました。交渉には大変なこともありましたが、いまではお互い良い距離感の中で、信頼関係が築かれていると感じます。
投資家視点で見るシェアシマの強み
ーシェアシマへ出資を決めた理由はなんでしたか?
門倉: 大きく分けて3つあります。まず、アステナグループとして私たちが取り組む「Astena 2030 “Diversify for Tomorrow.”」の戦略との親和性です。この戦略では、持続可能なビジネスモデルを構築するとともに原料プラットフォームを目指しており、シェアシマのプラットフォームはまさにその中核を担える存在だと確信しました。特に、食品ロス削減やアップサイクル原料の活用を通じた社会的インパクトには、大きな可能性を感じています。
小池: 私たちのプラットフォームを評価していただけたのは光栄でした。特に、食品ロスというテーマに注目していただけたのは、これまで取り組んできた方向性が間違っていなかったと感じましたね。
門倉: 2つ目は、効率的にクローズドプラットフォームを構築できる点です。当初は自社で似たような仕組みを作ることも検討しました。しかし、開発には時間もコストもかかり、専門人材の確保も課題でした。それがシェアシマに出資し、そのノウハウを活用させていただくことで、約1年という短期間で「i-Platto」という独自プラットフォームを立ち上げることができました。この成功体験が、私たちの期待をさらに後押ししました。
小池: シェアシマの失敗例も含めて、プラットフォーム立ち上げで培った知見をすべて共有したんです。失敗例もあったほうが、次の立ち上げは上手くいきます。実際、アイデア段階から約1年で「i-Platto」が立ち上がったのは、シェアシマのノウハウを活用いただいたことに加え、イワキさんの実行力によるところも大きかったと思います。
門倉: 3つ目ですが、これはビジネス機会の拡大です。シェアシマのプラットフォームには、すでに食品業界の多くの会員が集まっています。これにより、私たちも新しい顧客層との接点を得られるという大きなメリットがあります。また、持ち込み素材や原料の情報提供を通じ、大手メーカーとの連携がますます活発化しています。
出資に際しては、これらの要素が重なり、シェアシマが単なる投資先ではなく、重要なビジネスパートナーとして位置づけられることが明確になりました。特に、小池社長が持つ業界に対するビジョンと、その実現に向けた具体的な戦略が非常に説得力を持っていました。
小池: 私たちも、イワキさんのネットワークがプラットフォーム全体の成長をさらに加速させてくれると期待しています。双方が持つリソースを活用しながら、より大きな価値を提供できると感じております。
「社長は前を向いて走れ」投資家の支援の在り方
ー普段はどのようにコミュニケーションしてるんですか?
小池: 主要株主の皆さんとは現在、モニタリング会議を通じてコミュニケーションを図っています。具体的には、経営状況の共有や今後の計画について話し合う場です。門倉さんをはじめとするイワキの皆さんには、日常業務に深く関与いただいていており、中でも財務や管理部門のサポートが大きな助けになっています。
門倉: 私たちの目標は、小池社長が全力で営業に集中できる環境をつくることなんです。会社の中でもっともお客様を理解し、営業ができるのはやはり社長なんです。そのため、管理部門に関する業務は、私たちイワキや他の出資会社が連携して引き受けています。これにより、小池社長がより重要な意思決定に集中できる体制を整えています。
小池: 門倉さんはじめ出資会社の皆さんがいなかったら、ここまでスムーズにはいかなかったと感じています。管理業務の割合が一部軽くなったことで、私は営業戦略の策定及び、お客様の支援などに全力を注ぐことができています。特に門倉さんの「社長は前を向いて走り続けてください」という言葉が、非常に印象的でした。

門倉: 私たちも一緒にビジネスパートナーとして関わっているという意識を持っています。シェアシマが成長すればするほど、それが私たちにもポジティブな影響を及ぼす。だからこそ、管理面でのバックアップを惜しみません。最近では、当社の営業担当もシェアシマの取り組みを理解し、より具体的な協力体制を築くための取り組みを進めています。
食品業界のDX、現在地と未来を語る
ーシェアシマのミッションでもある「食品業界のDX化」について、どう思われますか?
門倉: まず食品業界は、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)の進展が遅れている業界の一つだと言われています。その理由の一つに、食品が「口に入るもの」であることから、非常に慎重な姿勢が求められるという背景があるのかもしれませんね。特に新しい技術の導入には、多くの企業が躊躇している現状があります。

小池: 確かに、慎重であるべき部分も多いですが、それだけでは成長は難しいと思っています。私は普段から、生成AIの技術を積極的に取り入れていますが、データ分析や提案資料の作成が劇的に効率化されています。以前は数時間かかっていた作業が、数分で完了することもあります。タイムリーな事にじつは今、このノウハウを食品業界に広めたいと思っていて、生成AIを活用した新たなサービスモデルの構築に取り組んでいます。
門倉: それはいいですね。シェアシマが食品業界全体のDXを牽引する存在になることを期待しています。我々が動くよりも、シェアシマのような企業から発信したほうが、広がりが出ると感じています。
シェアシマのリーダーシップに寄せる期待
ー最後に、シェアシマに期待することを教えてください。
門倉: シェアシマには、おもに3つのことを期待してます。まず一つ目は、先ほどにもあったDX化です。特に、食品開発のプロセス(情報収集や商談、OEM検討)がDX化することで、人手不足の解消にもつながると思うんです。二つ目は、アップサイクル原料の活用をもっと広げていくことです。食品ロスを減らして、サステナブルな経営やSDGsにも貢献できる仕組みを充実させてほしいですね。
そして三つ目は、シェアシマ売り手企業の情報発信をサポートすることです。例えば、約4,800人ものシェアシマ会員に向けて、一斉に原料や製品の情報を広げる機能があると、宣伝や営業がもっと効率的になりますよね。結果的に、食品業界全体の課題解決にも貢献してくれたらいいなと思っています。
小池: 食品業界のDXはまだ始まったばかりですが、これから多くの企業がその重要性に気付き、新しい技術を取り入れていくはずです。その中で、シェアシマがリーダーシップを発揮したいですね!
食品業界におけるシェアシマとイワキの挑戦は、食品業界のDXやサステナブル経営といった新たな可能性を生み出しています。シェアシマの持つ革新性とイワキの経験が交差することで、今後さらに食品業界への発展に寄与していきます。これからの展開に、ぜひご注目ください!