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6人から200人を超える場へ。「議論メシ」の黒田さんと語る、コミュニティのつくり方。

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コミュニティをつくりたい。
そんな思いを抱える社会人・学生の人は、多いはず。
しかし、単発なイベント止まりになって、持続が難しかったり。
課題と日々向き合うテーマでもあります。

今回のコミュニティラボでは、
問いでつながるコミュニティの「議論メシ」を主宰し、
6人で始まった輪が200人を超える参加者に。

「ライフピボット」の著者でもある、
黒田悠介さんから、学んでいきます!

黒田 悠介

黒田悠介さん
議論メシ代表│FreelanceNow発起人│ディスカッションパートナー│フリーランス研究家│「文系フリーランスって食べていけるの?」編集長│他
元キャリアコンサルとして2,000人以上のキャリア相談を経験。

「フリーランスを実験し、世に活かす」という活動ビジョンを掲げて自分自身を実験台にしているフリーランス研究家。新しい『事業』と『働き方』を推し進めることが生業。『事業推進』としては、スタートアップから大企業の新規事業までディスカッションパートナー(プロの壁打ち相手)として年間30社の事業立ち上げを支援。思考の枠組みを提供したり、逆に壊したりズラしたり。いわゆる文系フリーランスやビジネス系フリーランスと呼ばれる存在。

そもそも、今どうしてコミュニティが必要なのか。

人生100年時代。
生き方が長期化し、変化が激しい21世紀において。
1つの目標のみで生きることは難しくなりました。

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ライフスタイルが短期化し、転換しつづける。
ひとつの人生に10個詰め込むような、幕内弁当化した時代。
黒田さんは「ライフピボット」と名づけました。

では、「転換」が日常になった時代において、何が求められるのでしょう?
蓄積」です。

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蓄積は、3つに分けられます。
1つは「スキルセット」... 実践的な能力を培う。
2つは「人的ネットワーク」... 多様な人との交流を結ぶ。
3つは「自己理解」... 自分は何をしたいのかを考える。
そのために、多様な「コミュニティ」を上手に活かすことが求められてきます。

黒田さんも、20代の頃はピボットに何回か失敗したといいます。
自己理解が足りず、人生経験も少ない。不安に苛まれることも多々あった。
けれど、この3つを意識すれば、ひとつの安心になる。

ただ何も考えずにいれば ジョブホッパー(職を転々と変える人)になってしまいますが、「蓄積」を胸に抱けば、前進している感覚を持てる。

そのための具体的な6つのアクション...
新しい 「人と出会う」「場に出向く」「機会を生む」等もありますが、
気になる方は、ぜひ著書をご覧ください!

「議論メシ」... 6人から、200人を越すコミュニティに

では黒田さんは、どのようにコミュニティを創設したのでしょうか?

始まりはもともと、経営者の壁打ちも兼ねて議論をしていたとのこと。
例えば、東急電鉄の方と都市開発について話したり。
パナソニックの人とAI・家電の融合を語ったり。

そのうち知り合いの中に、議論内容に興味を抱く人たちが...!
隣の空いている席があるから、Facebookイベントにもしてみる。すると、
専門家の人から高校生までが参加し、気がついたらみんな喋り出す。むしろ、本人を置いて熱中しだすほどに。

「私ひとりと話すより、ごちゃまぜにしたほうが価値があるのでは?」
黒田さんはそう思い、一歩引くことに。ファシリテーターの役回りへ徹するようになりました。

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コミュニティで議論を生む価値を実感した黒田さん。
ある深夜の2時に思いつき。4,000人いる友人の中から8人 (500分の1!)に絞り込んで、声をかけました。議論メシのコンセプトを懇々と伝え、一緒にやってみないかと誘う。

すると、6人が応えてくれました。その初期メンバーとともにスタートし、今では毎月20回ほどの議論イベント、200人を超える参加者のコミュニティへと拡大しました。コラボレーションの相手はスタートアップ、大手企業、行政、コミュニティなど多岐にわたり、約120団体にも及んでいます。

どうやって広がっていった?

重要なのは、「人に言いたくなるようなコミュニティになる」こと。
自然と連れてきたい人が連れていくという、口コミの力。コミュニティの魅力は一見、外からは見えづらいけど、あえて「外に伝わらなくもいい」と。

まずは少人数から始めていき、核 (=メンバーで何をしたいのか)を固めていく。メンバーと1on1でじっくり話をしたり。あとは、雪玉を転がすようにして大きくなっていく。

またそのためにも、黒田さんは「自分で」やることにこだわりを抱いている、といいます。もちろん、ファシリテーターの役割には徹します。しかし、根本のルール作りに関しては自分で決めておいて、その上でメンバーに自由に選ばせていく。土台づくりまで合議制で決めると、似たようなものが出てきてしまうため、とのこと。

イベントの本質は尖らせておきながら、参加者を主役に。舞台装置をトップダウンで作り、舞台ではメンバーが踊る。これが、コミュニティが自走し続け、広がっていく仕組みとなりました。

コミュニティを支え続けるための工夫。

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大きなコミュニティへと進化をした「議論メシ」。では、一度作ったコミュニティを持続的にするために、どんな工夫がなされているのでしょうか?気になった参加者の方たちから、質問がありました。

Q. コミュニティ内で新しいことを始める際、メンバーへどう広げたらいいのか?
(黒田さん) : 熱を持った人から声をかけています。熱が伝導するように。全て均等に1℃ずつあげるよりも、局所的に沸点に到達させる。そこから伝導させていっています。

Q. いきなりコミュニティを創設するのはハードルが高く感じます。何から始めたらいいのでしょうか?
(黒田さん) : ひとりでもいいと思うけれど、つらいこともあるので仲間がいるといいのではないでしょうか。共同主催的な形で、不安を分かちあえると心強いと思います。また、まずは単発でもイベントをやっていくことから始めてみて、次第にそのイベントをコミュニティ化していくといいのではないでしょうか。

Q. 共同主催を考えているのですが、報酬はどう分けたらいいのでしょうか。
(黒田さん) : 基本的には均等を頭に入れつつ、対話してお互いが納得するまで話したらいいのではないかと思います。

Q. コミュニティは、トップダウン型とボトムアップ型はどっちがいいでしょうか?
(黒田さん) : 目的によると思います。トップの人が持っている特別な知識や経験を広めていくには、トップダウンがいいかと。蓄積の話でいうと、「スキルセット」の面ですね。一方、「人的ネットワーク」を深めるためなら、ボトムアップがいいのではないでしょうか。いろいろな人たちの経験やアイデアが湧き出て、多様性を楽しめるのならそちらの方が。前者はメルマガのような形で、他の人と深くつながることがあまりなかったりもするので。

Q. ボトムアップ型でメンバーからアイデアを募るときの工夫はありますか。
毎回、イベントが終了した後のアンケートを全部読み込むようにしています。また、そういう声をウェルカムである、ということを常に発信し続けています。いつでも黒田までご連絡ください、ということを伝えるようにしています。

Q. 200人を超えると、声を拾い上げていくのが難しくなりませんか?
(黒田さん) : 何百人という単位なら、意外といけます笑 まだ限界は来ていないと思っています。私はメッセンジャーで1日何百通とやっていて。深く話したい人とは1on1で話したり。1,000人が壁かな、とは何となく思っていますが...笑

Q. ゆかりのある土地でコミュニティ作りをしたいと思っています。その際、オフライン(現地にいる人)とオンライン(現地にいないけど愛着を持つ人)でどう融合させたらいいか、何かヒントはあるでしょうか。
(黒田さん) : これはシェア街ですね...笑 どういうコンテンツでやるか次第だと思います。現地の人が主役になりやすいけど、現地にいない人が外野になったり。現地にいない人が企画したりイベントやったりしながら、どちらも主役になるように、バランスを取るのが一番いいと思います。

Q. 8人に声をかけて6人は打率高いですね。メンバーに提案する前は特に相談していなかったのでしょうか?
(黒田さん) : はい。思いついたら行動する、という形で。実は全部のプロジェクトを、やめるつもりでやっています笑 私自身、コミュニティを4つくらい立ち上げて、潰していて。その中でたまたまうまくいったのが議論メシでした。やめる計画、撤退戦略を事前に決めておく。そのために、必ずプロトタイプ・実験であると言ってスタートさせています。達成できなかったらやめて、いくつか目標を超えてきたらいかに続けるかを考えています。

コミュニティとは、自己実現欲求を満たすもの

議論メシを立ち上げ、200人以上の集まる場として成立させた黒田さん。
そんな黒田さんにとってのコミュニティとは、「自己実現欲求を満たす」ものである、と言います。

アメリカの心理学者・マズローが唱えたものに、「欲求五段階説」という考え方があります。人は、食べたり寝たりといった基本的な欲求からスタートして、徐々に高い次元のことを求めるようになる、と。

「自己実現欲求」とは、その中でももっとも高い次元にあるもの。
自分にしかできないことをしたり、自分らしく生きたいと願い。
そんな思いを支援するのが、コミュニティだと。

まさに、ライフピボット (ライフスタイルの転換) が求められる今の時代においてこそ、だと感じさせられます。他者と関わり、自分を培い、理解する。3つの蓄積を実践しながら、コミュニティに関わりを持ちたいと思いました...!

-----------------------------------------------------------------------------コミュニティラボとは...
毎週月曜日21:00-22:00に、コミュニティの理論と実践を考える会です。「コミュニティ」に関心がある方は、どなたでもご自由にご参加いただけます。ぜひお待ちしています!

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