大阪会議 ~やってよかった!具体的施策 ①~
これから先の記事でリンクを貼ってあるものは、
リンク先を読んでもらったら具体的なやり方が書いてあります。
児童虐待防止・DV防止
✅学校に親子が授業に行く。義務教育で子育てを学ぶ。
親の孤立も防げる。乳幼児ふれあい体験。
国も推奨しています。
✅子育て・家庭の悩みを気軽に共有できる場。先輩から子育てのやり方を学べる場。支えてもらった人が、支える人になっていく「支援」ではなく「互助」の関係。
通称「女子会」(男性がいると話せない話題が多いため、あえて女子会という名前に)
✅家庭の困りごとに寄り添う。フードパントリー。
フードパントリーを通した家庭訪問で、ご近所さんのつながりをつくっていく。こちらも「支援」ではなく「互助」。
✅虐待死を防ぐには予期しない妊娠へのサポートが必須。
虐待死最多は0歳児。
子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第18次報告)の概要
妊娠~出産~子育て 1つの施設で行うこれが本当の「切れ目のない支援」
大阪市産前・産後母子支援事業(ボ・ドーム ダイヤモンドルーム)
約2年間で27人の特定妊婦さんが出産をしました。
27人の虐待死を防いだと言っても過言ではないです。
滞在型親子支援
児童虐待から子どもを守る時に、子どもが一時保護をされて、親から離されることがあります。
親の課題が解決しないと、子どもが保護から帰ってきても同じ事が繰り返されます。
親の生活リズム、経済的な安定、精神的な安定、パートナーとの関係、子育て・しつけ…解決しないといけない課題が複合的に絡み合っていることがあります。
そんな時は、たった数時間の相談や家庭訪問では解決しません。
効果があったのは親子丸ごと一緒に暮らして、「暮らし」と「子育て」をサポートすることでした。
子ども食堂
子ども食堂が広がった当初「子どもの貧困」という言葉がクローズアップされました。
10年以上やってみてわかったことは、全ての親子に必要な場所だということでした。
親も話を聞いてほしい。
でも、子どもはそれ以上に話を聞いてほしい。
家庭が閉じてしまうと、孤立します。
孤立すると、価値観が固定化します。
地域の実家のような子ども食堂で、
様々な人と出会い、様々な価値観に触れることにより、人生の選択肢が広がります。
経済的な貧困もそうですが、つながりの貧困、体験の貧困、そして何より心の貧困の方が課題でした。
・親が働いていて家にいない。
・子ども食堂に行きたいけれど、コミュニケーションを取るのが苦手だから大人数の時は行けない。
・親もしんどいから、親子一緒に行きたい。
ニーズにこたえながら、柔軟に場所や開催日時を変えてきました。
食堂に来れない家庭は、お弁当の配達をしています。
フードパントリーです。
こども食堂だけでは解決しないので、ここでも「重なり合う支援」です。
✅子ども食堂のサポートは民間でネットワークをつくって、
企業さんなどから物資が大量に届いた時はシェアしています。
✅官民連携例
茨木市は市役所がこども食堂のサポートをしてくれています。
市と食堂運営者とのやり取りは、LINEのオープンチャットでやっています。
(メールもあり)
第三の居場所(サードプレイス)
子どもの年齢によって、子どもの特性によって、居心地の良い場所は変わります。
「場所」があるから行くのではなく、そこにいる「人」に会いたくて行きます。
小学生だと校区外に一人で行けないので、身近な場所にあることも必要ですが、校区内だからこそ「知っている人に会いたくない」と、行けない場合もあります。
「コミュニケーションが大事」と、よく言われますが、
エネルギーが切れている時は人と会うのも、人と話すのもしんどいです。
そんな時は、そっとしておいてくれる場所。
存在しているだけで認めてくれる場所も必要です。
✅にしなり☆こども食堂 から にしなり☆つながりの家 へ
老朽化して雨漏りがひどかった「老人憩いの家」をクラウドファンディングと寄付でリフォーム。
食堂をこえて、みんなの居場所に。
✅学校の中から、今と未来の居場所をつくる。
高校の中で週1回、居場所(いごこちカフェ)をオープン。
地域の方、他団体のスタッフが訪れることもあり、高校生が定期的に様々な人とつながることができる場でもあります。スタッフは、日々の会話から困りごとを拾いサポートにつなげ、生徒が卒業した後も社会のなかに居場所がある状態を目指しています。
✅通信制・定時制高校のなかに、つながる場をつくる。
クレッシェンド
(音楽用語で だんだん強く という意味)
総合的な学習の時間などの出席に関わる授業の枠組みで、4回の独自プログラムを実施。
対話を通して、ひとりひとりに寄り添いながら関係性を築き、人と関わってよかったと思える経験をつくります。
✅官民連携例
茨木市は 東・西・南・北・中央 5ブロックに分けて、
ユースプラザを設置し、民間委託をしています。
おおむね中学生~39歳の子ども・若者を対象としています。
各ユースプラザが得意分野を活かしたサポートをしてくれています。
茨木市子ども・若者支援地域協議会
ー不登校・ひきこもり・虐待・貧困の子にできることー
ヤングケアラー
児童虐待・DV・貧困、その他様々な家庭の困りごと。
大人でも見ず知らずの他人に、いきなり相談なんてできません。
ほんの数時間の相談で、いきなり信頼関係はできません。
まして、子ども。
就学してから「国語」を習い、ようやく伝える練習が始まります。発達段階によって伝え方も様々です。
大阪府の調査によると、府立高校に通う約1割の生徒がヤングケアラーです。
【学校や大人に助けてほしいこと】
↓
「特にない」 66.8%
前年度の 38.4% から大幅にアップしています。
「相談」したあと、「解決」まで必要なのが家庭の悩みなので、先生に相談しても解決しないと、相談するのをあきらめてしまいます。
ヤングケアラーだけで政策をうっても、効果が出ません。
・居場所
・つながり
・「相談」の前に「雑談」から
・家庭の困りごとを聞いた後は解決につながる社会資源が必須
何よりも、進学や人事異動など、年度で支援を途切れさせないという責任感がないと、「ヤングケアラーを理解する」だけでは、余計に傷つけるおそれがあります。
「関係機関につなぐ」と言われますが、「ここに相談に行って」では、行けません。見知らぬ大人にいきなり相談はできません。
・交通費がない
・時間がない(役所があいている時間は学校がある)
・電話をかけるのもお金がいる
普段から顏と顏の見える関係があれば、相談につながります。
子ども食堂や、校内居場所事業、ユースプラザなどが、児童虐待・DV・いじめ・自殺防止などにつながることが、ここまで読んでいただいたらご理解いただけたと思います。
また、ヤングケアラー事業だけでは、当事者にリーチできないこともご理解いただけたと思います。
ヤングケアラー事業をやってみてわかったことは、当事者が相談できる体制があることと、相談を受けたあとに解決までのスキルがある人、もしくは団体があることが前提でないと当事者をさらに傷つける、ということでした。
相談を受けて終わり…では、やる意味がありません。
若年女性・学生向けシェアハウス
子ども・若者・保護者の声を長年聴き続けてきましたが、毎回悔しい思いをすることがあります。
「未成年の壁」です。
日本は親権・監護権の壁が分厚いため、未成年者が「逃げたい」と感じた時に、契約行為は、児童相談所を通すか保護者の2択しかありません。
家庭に困難を抱えていても、家庭の課題全てが困難なわけではないケースもあります。
父親から暴力を受けているけれど、母親は好き。
きょうだいが好き。
友達が好き。
学校に行きたい。
塾に行きたい。
習い事に行きたい。
部活が楽しい。
行きたい進路が決まっている
だから家庭に困難があっても、家に帰る。
そんな時は、ある日突然児童相談所から知らない大人がやって来て、
家から遠く離れた一時保護所に保護をされるのを嫌がります。
ネットで調べたら情報はいくらでも出てくるので、
子どもたちは一時保護所がどんな場所か理解しています。
家に帰ることができない時は、繁華街など路上に居場所を求めます。
公園などで一人で過ごしていると目立ってしまい大人に声をかけられるので、繁華街に家出をします。
一方で、保護者の事情も様々です。
・ひとり親でダブルワークをしていたら「育児放棄」と判断されてしまった。
・きょうだいっ子の保育所送り迎えと夕方の家事を頼んだら「ヤングケアラー」と判断されて一時保護された。
・「子育てがしんどいです」と行政に相談をしたら「精神的にまいっている」と判断されて、子どもが一時保護された。
などなど。
「こんなはずじゃ、なかったのに!」と、悔しい思いを抱えていらっしゃる保護者からの相談も珍しい話ではありません。
保護者もしんどい。子どももしんどい。
家庭で抱えるか。
児童相談所の措置か。
0か100かの選択ではなく、地域にもっとゆるやかな選択肢があってもいい。
2000年に児童虐待防止法が施行されてから、20年以上が経ちました。
今の時代に合わせたやり方が必要です。
そこで始めたのが、公営住宅を活用した若年女性向け・学生向けシェアハウスです。
保証人、お金、仕事がなくても部屋が空いていたら即日入居可能。
未成年者は親権者の同意さえ取れれば、入居OK。
国交省、大阪府、茨木市の許可を得て、連携を取りながら運営しています。
コミュニティルームも併設しています。
自習室もあります。
一緒にごはんを食べながら、おしゃべりを通して解決策を見つけていきます。
シェアハウスには、中学・高校・大学生・社会人が住んでいるので、一歩先行く先輩が、後輩にアドバイスをしてくれる場面もあります。
子どもたちの「学びたい」ニーズはとても高いです。
保護者も誰かに話を聞いてもらいたいので、
保護者と1対1・保護者みんなで・親子一緒に、
様々なパターンで「雑談」から「相談」につながっています。
リラックスした状態で、いろんな価値観が交わる中で、ぶっちゃけで話をすることで、笑顔に変わるケースをいくつも見てきました。
家庭で話し合っても解決の光が見えないことは、一歩先行く先輩が一番答えを持っています。
「一歩先」がポイントです。
コロナや物価高騰、少子高齢化の急激な変化で「私の時は…」が、数年で通用しなくなっているので、専門職がひとりで話を聞いても、解決が見えない問題ばかりです。
一歩先行く先輩は、2020年代の関係機関を渡り歩いた後なので「今の時代に合う」知識と経験が豊富なので、数名に話を聞くと、解決までの道筋(地図)が読めるようになります。
公営住宅の「目的外使用」で、国交省から許可を得ていますが、
このエリアの府営住宅は入居率約2割です。
空き家対策にもなっています。
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