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【フォト検1級講座】No.6 レンズ-1

みなさん、こんにちは。
フォトグラファーの寫樂斎でございます。
今回は、「フォトマスター検定1級への近道」の6回目です。

本日から「レンズ」をご説明します。
「レンズ」のお品書きは以下です。(太字が今回)

1.レンズ-1
 1)用語-1

2.レンズ-2
 1)用語-2
3.レンズ-3
 1)収差
4.レンズ-4
 1)公式・数値(まとめ)

1.用語-1

レンズに関する用語はとても多いのですが、試験向けに厳選しました。写真を趣味で撮るだけならそこまで知らなくても、という言葉も多いのですが、それだけに勉強した人としていない人の差が出やすいところでもあります。
本講座では、だれも解けないような問題や出題頻度の低い問題は初めから捨てる方針ですが、ここは、難しくても捨ててはいけません。合否を分ける可能性があります。

1)レンズ
レンズの名前の由来を問われることがあります。
由来は「レンズ豆」なのですが、3択問題の選択肢はどれも「○○であるレンズ豆」と書いてあり、由来がレンズ豆であることを知っているだけでは解けないようになっていました。ただ、消去法で正解を導けるのでサービス問題ではあるのですが、一応、レンズ豆が「大きさ5mm程のマメ科の植物の種子」であることとドイツ語では「リンゼ」ということを覚えておきましょう。

2)有効口径
カメラのレンズのスペック表では、フィルターサイズとして口径のサイズが書かれていますが、レンズには絞り羽根などの障害物があり、実際にレンズを通り抜ける光束は口径より小さい部分になります。この実際に通り抜ける光束のレンズ前の直径を有効口径と言います。

3)口径比
口径比は、D/f であらわされる。
 D:焦点距離
 f:有効口径
開放F値は、f/D。

4)口径食
周辺光量が低下する現象の原因の一つ。また、玉ボケが周辺で円形がつぶれるレモンボケの原因でもある。絞りを絞ると軽減する。

5)回折
回折とは、波動が障害物に出会うと障害物の背後に回り込む現象で、写真に関しては、レンズの絞りを絞り込みすぎた時に回折により絞りの背後に回り込んだ光が写真のシャープネスを失わせる原因となる。

6)MTF
レンズの性能を表したグラフ。このグラフは、レンズのスペック表に添えられていたりするので、読めるとレンズ選びの一助になります。

MTFチャート

MTFの指標は4つあります。
 ①1mmあたり10本放射方向の白黒の線が画面の各位置でどの程度のコントラストを得るか。
 ②1mmあたり30本放射方向の白黒の線が画面の各位置でどの程度のコントラストを得るか。
 ③1mmあたり10本同心円方向の白黒の線が画面の各位置でどの程度のコントラストを得るか。
 ④1mmあたり30本同心円方向の白黒の線が画面の各位置でどの程度のコントラストを得るか。

コントラストの最大値は1で、1に近い程よくて、①と③が1に近い程抜けの良いレンズということになります。②と③が1に近い程高解像度のレンズということになります。

「放射方向」と「同心円方向」の意味が分かりにくいので絵を添えておきます。要は、「1mm当たり○○本の線」の向きです。

放射方向/同心円方向



7)フランジバック/バックフォーカス
「フランジバック」と「バックフォーカス」については違いを明確にしておきましょう。フランジバックは、マウント面から撮像面までの距離、バックフォーカスはレンズ後玉後端から撮像面までの距離です。

どちらも短い方がレンズ設計の自由度が高く、高性能化に寄与します。で、ミラーレスはメインミラーを持っていない分、短くできて一眼レフより高性能化しやすいことを押さえておいてください。

8)イメージサークル
レンズの焦点が円形に結像する範囲のこと。
イメージサークルは周辺にいくに従い、光量と画質が低下するので、その点を許容できる範囲をイメージサークルとする。
チルトやシフトができるレンズは光軸がズレる分、一般的なレンズよりイメージサークルを大きくしておく。

9)被写界深度/焦点深度/許容錯乱円

許容錯乱円と○○深度

被写界深度とは、ピントを合わせた場所の前後でピントが合っているとみなせる範囲です。被写界深度のうち、ピント位置からカメラ側を前方被写界深度、反対側を後方被写界深度と言います。

焦点深度とは、被写体の像が結像する焦点面(結像面)を前後に動かしてもピントが合っていると見なせる範囲のことです。焦点深度は、被写界深度が浅いと浅くなり、深いと深くなります。

許容錯乱円(許容ボケ)とは・・・被写体上の点は、焦点面に点として結像しますが、焦点面を前後に移動させると円として結像します。この円のことを錯乱円と言います。ピントが合っていると見なせる錯乱円を許容錯乱円と言います。

許容錯乱円の大きさは、フィルムカメラの時代は、メーカー間で統一されていました。そのサイズは、画面対角線の長さの1/1500~1/1000です。35mmフルサイズの場合は、0.0289~0.0433mmですが、検定試験では、0.033mmと書かれている場合があります。中間の数値で覚えやすいからと思われます。「フルサイズは0.033mm前後」と覚えておきましょう。

この0.033mmは、八つ切りにプリントした場合は0.2mmになることも覚えておきましょう。そして、プリントにおける許容錯乱円は、明視の距離(25cm)で鑑賞してシャープに見える0.2mmがサイズということです。

10)過焦点距離
過焦点距離とは、無限遠が被写界深度に入る最も短い撮影距離のことです。
試験対策としては、過焦点距離を求める公式を覚えておく必要があります。 

  過焦点距離=焦点距離の2乗/(許容錯乱円×絞り値)

例えば、35mmカメラに焦点距離100mmのレンズを付け、絞り値F8で撮影する場合の過焦点距離は、(100×100)/(0.033×8)=37878.787mm≒38mとなります。
ここから、さらに被写界深度の近点と遠点を求める公式もあるのですが、筆者はお腹一杯だったので覚えませんでした。もし、出題されたら捨てるつもりでした。余裕のあるかたは、公式テキストを見て覚えておくといいと思います。

本日は、以上です。レンズは、覚えることが沢山あって大変ですが、覚えておけば確実に点数につながるので頑張りましょう。レンズに関する用語は今回と次回の2回でお伝えする予定です。
皆さんの試験対策の一助になれば幸いです。
それでは、次回もお楽しみに。
しーゆー。

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