「ゲームらしい」体験の本質とはなにか?『シリアスゲーム』
最近、ゲーム風アプリの開発について考えることが増えたので、シリアスゲームについてあらためて認識を持っておこうと読んだ。
「ゲーム」と聞くと、それだけでモチベも楽しさもガンガン上がっていく魔法の杖のような印象を受けてしまうけど、実際のところそう簡単な話ではないのは、既存のシリアスゲームを見ればよくわかる。シ
リアスゲームは性質上、エンタメ用のゲームと異なり、ゲーム要素が外発的動機づけになりやすい。ゲームのフレイバー部分が、コンテンツの本質部分に関わっていないと、ガワの部分だけがゲームで、内容は全然変わっていないということが平気で起こりうる。たとえば、RPG風に進んでいるのに、敵に攻撃するときだけ計算が必要になるゲームとか。こういうのはゲームの文脈を無視しているので、いまいちやっていて没入感が削がれるらしい。
自分が作ろうとしているのはゲーム風のコンテンツ、いわゆるゲーミフィケーションとかゲームフルデザインとか呼ばれるものなので、厳密にはシリアスゲームとは異なると思うんだけど、そのあたりの注意点は共通しているはずである。
ゲームを教育に利用するメリットとして、本書では以下の5つを挙げている。
ひょっとすると「ゲーム風の体験」を与えるためには、ゲームらしいガワとかストーリーはそこまで本質的じゃなくて、上記の条件を達成するものが本当の意味で「ゲーム的」と言えるのかもしれない。
もちろん、モチベーションを喚起・維持したり、全体像の把握や活動プロセスの理解を促したりするうえで、ゲーム的な見た目やナラティブが大事になる、ということは考えられる。
ゲームは多くの人にとって、ポジティブな体験を与えているはずなので、それを惹起させるような見た目にしておくことは基本的に好ましい。UI的にも、有名ゲームは相当積み重ねがあって作られているはずなので、それを模倣したデザインにしたほうがいい。
ただ、「見た目だけゲーム風にして、中身は……」というのは砂糖をまぶしただけのなんちゃらになりがちなので、見た目とかナラティブはむしろ後回しで、上記の5項目を中心に設計を考えたほうが良さそう。
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