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SENSAにSACOYANS『Gasoline Rainbow』のレビューを寄稿しました

SENSAに2回目のレビューを寄稿しました。福岡オルタナの至宝・SACOYANSの2ndアルバムについて。久々にかなり自由に書きました。想像力をじんわりと広げていくようなアルバムだったので、好き勝手に妄想してみました。


以下、ボツにした部分を勿体ないのでこちらで公開します。色んな切り口で書ける作品は、最終的にどこを残すかすごく悩みますね。今回は、作品を妄想まじりに自由に語るレビューに舵を切ったので記事のようになりました。



本作の収録曲は10年以上前からSACOYANの宅録楽曲として存在していたものが中心だという。かつての生活感情が書き残された日記であり、当時彼女が目にしていた情景の記録だが、そこに刻まれた”心の動き”は決して濁らない真理だった。そして2019年、福岡で出会ったメンバーの演奏が楽曲をより重厚なものに変えた。過去の記憶たちの解像度を上げるかのように、幾重もの音の層によってメロディの美しさを際立たせたのだ。1stアルバム『Yomosue』と比べ、ライブでのサウンドをフィードバックしたような強靭で迫力のある録音にも成功し、ずっしりとした聴きごたえを獲得している。SACOYANがじっくりと書き溜めたパーソナルな物語は、時を超えてバンドSACOYANSの歩みに直結したのだ。
1人の音楽家がロックバンドとして歩みを進める、そんな流れはラスト2曲が端的に表現しているように思う。穏やかな時間で親密なやり取りが紡がれる「まぼろし」は《すぐには立てないけど/ちゃんといままでに戻れるから/見えたまぼろしは乾かない》というなけなしの期待を最期に歌い残す。そして長いギターソロが明けて訪れる最後の1曲「のみものを買いにいこう」。《だいじょうぶ》のリフレインと軽快なリズムは、ここまでの10曲と手触りが違う。どこまでいっても諦念はある、だけども希望だって消えてはくれない。ならば《だいじょうぶ》と繰り返すことを選び、次のステージを踏みしめたい。そんな決意が滲んでいるように思えるのだ。


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