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9/15 GOLD SOUNDZ 2018@博多湾パノラマ広場

このイベントタイトル、調べたところ元々は1998年くらいからナンバーガールが福岡でやってたライブ企画を使用してるとのこと。ずっとこの名前のイベントは開催されてなかったけど、2016年にAwesome City Club、LILI LIMIT、SHE'Sの3組で回ったツアー名が「Gold Soundz」。その流れを汲んで、満を持しての野外フェスとして今年初開催となったのがこの「GOLD SOUNDZ 2018」だ。あまりにバリエーション豊かなバンドを取り揃えた結果、客層が散りまくって、皮肉にも混雑のないとにかく過ごしやすい(トップの画像は開演30分前)フェスとなったわけだけど、内容的には充実しまくり。せっかくほとんどのアクトを観たのでほぼ完全レポートを。


10:30
Opening Act:MONO NO AWARE

「ゴールドサウンズ~」の掛け声を観客にゆるく言わせて始まった1組目。どこに着地するか分からない転がり続ける奇妙な曲展開と、飄々とした歌唱でじわじわと祭りのスタートを盛り上げていく。「マンマミーヤ!」とか、珍奇な歌詞に笑いが起きてたほどに。メンバー全員が驚くほどポーカーフェイスで演奏してたのも面白かった。ボーカルの玉置さん、曲中にパントマイム放り込んできたり、クセモノっぷりが凄かった。

setlist
1.機関銃を撃たせないで
2.マンマミーヤ!
3.東京
4.轟々雷音
5.イワンコッチャナイ


11:00-
Opening Act:w.o.d

3人とも濃い顔、機材は真っ黒、明らかに只者ではない感。素っ気ない挨拶、小雨予報の中「雨の曲を」と不吉な言葉とともに、ギリギリとした泥臭いロックンロールをプレイ開始。思いっきりチバユウスケ直系な、粗暴で激しいナンバーを次々と畳み掛けていく一方、MCでは「明日は安室ちゃん引退の日なんで、みんなで沖縄にお祈りしましょう」とのみ発するなど、掴みどころのないキャラクター。どんな風にロックシーンを掻き回していくのか。

w.o.d 1st Album『webbing off ducking

11:40-
フレンズ

ここから本編開始。誰の心にもしっくりくるキャッチーなJ-POPで昨年全国のフェスでダークホース枠から成り上がったフレンズ。2年目となるこの夏も、余裕が加わった堂々たる楽しさをかましてくれた。唯一、小雨がぱらついた時間だったけど、「DIVER」の涼しげな歌はよくマッチしていた。個人的に、この前日にのん(a.k.a能年玲奈)のライブを観ていたので、「あまちゃん」から着想を得てえみそんが詩を綴ったこの曲を聴けたのにはグッときた。

setlist
リハ:NIGHT TOWN
1.夜にダンス
2.DIVER
3.常夏ヴァカンス
4.塩と砂糖
5.Love,ya! 

12:20-
DENIMS 

ラフなのにお洒落な佇まい、だけど人懐っこくて熱さもある、そんな印象。ライブは初見だったけど、聴いてるだけで体を動かさざるを得ないご機嫌なグルーヴが素敵だった。とはいえ、根底にあるのは確かなロックスピリッツで、ゆったり揺らしたリハから一転、1曲目「わかってるでしょ」ではガンガン飛ばしていく一面を見せたし、「DIM」におけるカッティングで引っ張る演奏には興奮。そして名曲「おたがいさま」の温かな祝祭感。

setlist
リハ1:ゆるりゆらり
リハ2:カーテンコール
1.わかってるでしょ
2.DAME NA OTONA
3.DIM
4.おたがいさま
5.fools
6.Goodbye Boredom
7.Alternative 

13:00-
BIGMAMA

普段はモッシュダイブが飛び交うバンドだけど、今回は客数もあってかしっかりと聴く感じの楽しみ方を皆してた。BIGMAMAは、10年程前にこの付近で開催されていた「F-X」という野外フェス、それを引き継いだ5年程前の屋内イベント「FX」にも出演し、そしてこのフェスにも第一弾からラインナップされている。主催会社BEAの絶対的な信頼を引き受け、この夏研ぎ澄ませたセトリで盤石のアクト。MCほぼなしのストイックなステージも、今のモードとして確固たるものになっていた。

setlist
1.荒狂曲 “シンセカイ”
2.Strawberry Feels
3.POPCORN STAR
4.ヒーローインタビュー
5.ファビュラ・フィビュラ
6.秘密
7.MUTOPIA 

13:40-
リーガルリリー

情緒不安定なまでに緩急ありすぎな曲構成、1フレーズ歌っただけで空気を掌握してしまう切迫した歌声はフェスのムードを一変させた。裸足で歌うボーカルたかはしほのか、ゆるふわな雰囲気から想像もできない暴力性を孕んだギターワークは緊張感と美しさを共存させている。曲中と乖離したまったりMCで笑いを誘う中、「1回目なのでいろんなことが想像できていいですね」という発言は芯を食ってた。きっと彼女は色々なことが見えすぎている。

setlist
リハ1:僕のリリー
リハ2:三日月(くるり)
1.the tokyo tower
2.リッケンバッカー
3.overture
4.ぶらんこ
5.スターノイズ 

15:00-
OGRE YOU ASSHOLE

最初から割と懐かしい曲のオンパレード、だけども音源を遥かに凌ぐしなやかでタフな演奏。無表情で不気味な数枚のアルバムを経ながらも、ライブは超肉体的に。徐々に脳が蕩け出して、危険な何かに触れてる気分だった。破壊の限りを尽くした「ヘッドライト」の痛快さ、10分に及ぶ「フラッグ」がメインフレーズへと回帰した瞬間の快楽!ラストは「見えないルール」で天に召されるかのようにして終了。しばし放心状態。真顔なのに狂気的。

setlist
リハ1:真ん中で
リハ2:バックシート
1.ひとり乗り
2.タニシ
3.ヘッドライト
4.フラッグ
5.見えないルール 

15:40-
ZAZEN BOYS

このフェスがこの名前で開催されたのは間違いなくこのバンドのおかげ、This is 向井秀徳。傍らでバニラズ、キュウソなど若手出演者が見守る中、最年長として確かな貫禄とどこまでも意味不明な存在感に圧倒される30分だった。新ベース・沖縄の女の子MIYA、見た目は図書館とかにいそうな感じだけど、そのスラップの数たるや。そんなに?!っていうキメに次ぐキメを弦はじきまくってた。C・O・L・D  B・E・A・Tが志賀島、能古島、背振山から聴こえてくる深淵なる時間だった。

setlist
リハ:Honnoji
1.RIFF MAN
2.HIMITSU GIRL'S TOP SECRET
3.COLD BEAT
4.破裂音の朝
5.Asobi 

16:20-
ドミコ

オウガ→ザゼンときてドミコというジャンル分け不能な謎ブロックはこのフェスが持つ特異なカラーだと思う。初見だったけど、リアルタイム多重録音演奏の足さばきにシビれた。ちゃんと塊のようなバンド感があるのが凄い。それを平然とやってのけてるのもカッコよかった。そういった工夫以上に、コンパクトな楽曲をガシガシやってブチ上げてく正統派な立ち姿が印象深い。あと、ドラムが野性すぎる。前のめりでノンストップ。

setlist
1.マカロニグラタン
2.こんなのおかしくない?
3.マイララバイ
4.united pancake
5.ミッドナイトネオン
6.地球外生命体みたいなのに乗って
7.まどろまない 

17:00-
Yogee New Waves

海を臨むステージ、ヤシの木が立ち並ぶロケーションで、夕暮れ時に聴くヨギー、どんだけ完璧なシチュエーションが揃ってるんだという。タイムテーブルが優秀すぎる。軽やかなダンスビートが印象的な前半3曲、パワフルな側面が強調された「Understand」「World is Mine」からの、ラストに一大アンセム「Like Sixteen Candles」。どんなバンドTシャツの人たちもみんな心地よさそうにしてた。日本の夏に欠かせないバンドになりつつある。

setlist
リハ:Ride on Wave
1.Summer Of Love
2.CAN YOU FEEL IT
3.Bluemin'Days
4.Understand
5.World is Mine
6.Like Sixteen Candles

17:40-
Awesome City Club

ヨギーの多幸感を引き継いで、更にパーティータイムを押し進めたACC。リード曲をずらっと並べた誰もが踊り出す選曲で夏の終わりを彩ってくれた。初見だったけど、PORINちゃんのダンスとかさりげない所作がいちいちヤバい。世の男で落とせない奴はいないという自信が垣間見れる。と言いつつ、バキバキの腹筋を見せながら颯爽とスポブラ姿で登場したドラマー・ユキエさんも大変眩しかった。叩く時の目つきの鋭さ、半端ない。

setlist
リハ:青春の胸騒ぎ
1.ダンシングファイター
2.今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる
3.アウトサイダー
4.SUNNY GIRL
5.Don’t Think,Feel
6.GOLD 

18:20
go!go!vanillas

巨大フェスだとメインステージの1組目、とかになりがちなバンドが終盤に配置されているのもこのフェスの特徴。日が暮れてからのバニラズというのはとても新鮮。「デッドマンズチェイス」ではメンバー4人が順番にボーカルを取っていくのだけど、とにかくフロントの3人が動く動く。唯一動けないドラマー・ジェットセイヤも、「平成ペイン」をやる前にシンバルを一個破壊してた。荒ぶりすぎ。バカなのかな、と笑いながらも気分は最高だった。

setlist
リハ1:バイリンガール
リハ2:サクラサク
1.SUMMER BREEZE
2.エマ
3.おはようカルチャー
4.デッドマンズチェイス
5.カウンターアクション
6.平成ペイン 

19:00-
夜の本気ダンス

このバンド名なのに夜に観るのは初だった。湿度高い夜にこの無心で繰り広げられる熱狂。誰の目も気にならない場所で踊り狂う楽しさはやっぱり人間の根本的なとこに接続してると思い知らせてくれた。後半はノンストップなHONKI DANCE TIME、どこまで行ってしまうのかと思わせるトリップ感があった。あと、2曲目にやった「Magical Feelin'」のキュンとなる美メロも夜ダンの格別なる魅力だと思ってるので、フェスの定番にして欲しい。

リハ:Crazy Dancer
1.WHERE?
2.Magical Feelin’
3.fuckin’so tired
4.B!tch
5. By My Side
6.TAKE MY HAND 

19:40-
キュウソネコカミ

誰もが触れずにいた集客をイジり、「100%赤字」であると断言したヤマサキセイヤ。しかし数じゃない、ここにいる人がどれだけ楽しんだかが重要であると絶叫し、濃密なフィナーレを飾ってくれた。DQNの最終到着地点で、セイヤさんの足を初めて掴んだのだけど、足首まで汗だくだった。アプローチは色々オカしいけど、本当に、全身全霊のロックバンドでありたいだけなんだな、と。腐った日常の独白である「何も無い休日」をアンコールに持ってきたのも強いこだわりを感じる。彼らがトリでほんとに良かった。

リハ1:MEGA SHAKE IT!
リハ2:TOSHI-LOWさん
1.ビビった
2.ファントムヴァイブレーション
3.KMDT25
4.
5.DQNなりたい、40代で死にたい
6.ハッピーポンコツ
7.The band
-EN-
8.何も無い休日 

来年以降の開催を誰もが不安視する客数だったけど、セイヤさんがどれだけ楽しんだかが重要と言っていたので、こうしてレポートを書いてみた次第。運営にはどれだけ関わってるか分かんないけど、BAYCAMPの主催の人も来てたみたいで。確かにメンツ的にはBAYCAMPを思わせる、リテラシーの高いごちゃ混ぜ感があった。会場はキャンプ場も有してる広大な敷地だったので、やろうと思えばオールナイトフェスも出来なくはないはず!やってやろう、深夜3時くらいにキュウソ観たいよ。まずは現実的なところで、とりあえず来年も。ゲスとかクリープハイプとか、あとアジカンとか、その辺りをお願いしたい、BEA様! 


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