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オンラインライブを観た⑯(8.29 蓮沼執太フィル/8.30 King Gnu)

8.29 蓮沼執太フィル・オンライン公演 #フィルAPIスパイラル

蓮沼執太率いる大楽団によるオンラインライブ。会場のスパイラルホールに木々を持ち込み異空間を創出。円形に楽器が配置され、音をチェックしている様子を映し出しながらゆっくりと本編へ入っていくというナチュラルな出だしは新鮮。14人が放つ音の積み重なりが豊かに広がっていく演奏はもちろんのこと、名曲「RAW TOWN」ではダンサーのAokidが会場へ向かいながら踊っている様子を挟み込んでいくという演出が。その後はAokidも加わって舞踊と共に音楽を見せていくのだから画面の見所が多すぎる。贅沢な悩み。

照明が暗く落とされ、副音声解説によるとかなり複雑な新曲(途中で拍子が変わる)「#API」を披露。ゲストボーカルxiangyuの歌声は無国籍で楽曲のムードを更に未解明な森へと押しやっていくよう。リモート制作された「COO」なる新曲もxiangyuをフィーチャリングして披露。言語もまた音の一部となり届く気持ちよさ。さらに届く新曲「ECHO ECHO」は一転して美しいバラード。蓮沼執太はなんせ素晴らしいボーカリストでもある。この日も温かい歌声を聴かせつつ、ボイスパーカッションやスキャットも魅力的に届けた。

ここで2組目のゲスト、RYUTistが登場。夏に出たアルバム(超傑作)より、蓮沼執太フィルでプロダクトした「ALIVE」を披露。これが名演である。トリッキーな展開を取り入れながらも、上質なアイドルポップスとして完璧な楽曲を完璧に歌いさばく4人。楽団と対峙する形のRYUTistという構図も見事で、クロスカルチャーが著しい。続いて柴田聡子を招いてRYUTist「ナイスポーズ」をコラボ。柴田が提供したこの楽曲、自身はアコギでそっと彩り、4人は可憐に踊り舞う。何が何だかな豪華編成だが多幸的なのは確かだった。

最後は大曲「FULLPHONY」を披露。14人のプレイの熱がどんどん折り重なって作り出される至上のグルーヴをひたすらに味わえた。めちゃくちゃリッチな音楽でありながら、めちゃくちゃ踊り出したくなる肉体性、これぞ蓮沼執太フィルだな、と。副音声解説によると、水を反射させた映像を投影していたという演出など見せ方の面でも充実しまくり。アンコールでは疾走感たっぷりに「SoulOsci」を演奏。爆発力とともに涼やかな余韻、この編成でならどんな感情でも引き起こせるんじゃないか。人が集まる強さって凄い。

<setlist>
1. 起点
2. NEW
3. RAW TOWN
4. Imr
5. #API (with xiangyu)※新曲
6. COO(with xiangyu)※新曲
7. ECO ECHO ※新曲
8. ALIVE(with RYUTist)
9. ナイスポーズ(with RYUTist and 柴田聡子)
10. FULLPHONY
-encore-
11. SoulOsci


8.30 King Gnu Streaming Live

King Gnu、初のオンラインライブ。年始の大ヒット作『CEREMONY』のツアーが全公演開催見合わせとなったので、リリース後初のワンマンライブである。実際はアルバムの世界観を見せる、というよりかなり網羅的でここまでのキャリアを総括するようなセットリスト。60分の持ち時間を与えられた大型フェスのヘッドライナーとしての役割を果たすような最高の選曲と流れでだ。日程や時間も、失われた2020年夏フェスの夜帯に捧げられているよう。

シンボルマークを中心に置いて4人が向かい合うセッティング。地下格闘技場かのように組まれた鉄骨、演出もスモークや火柱はあれども基本はシンプルそのもの。あらゆるライブ配信の中でも、いつものライブを極力そのまま配信向けに変えた、というような。実際、ステージ映えの凄さこそがこの4人のチャームポイントなわけだから、余計なものは必要ない。そこに間違いなく圧倒的な音が乗っかれば、今できうる最大限のライブ表現になるのだ。

「Flash!!!」や「Sorrows」ではスピーディーで迫力溢れるカメラワーク、「傘」や「It’s a small world」ではロングショットやスローを用いるなど、楽曲と連動する演出も4人のステージングをまざまざと映す。また、「白日」や「Player X」など慣れ親しんだ曲も、細部まで聴き取れる音響関係のおかげで新鮮に届く。常田大希のボーカルも大きめにミックスされており、いつもの聴き心地とはだいぶ違う。練り上げられたアレンジの数々を再確認。

最初は無観客の場における「センキュー」に照れまくっていた井口理であるが、徐々に楽曲へと没頭していく様が見て取れ、「Hitman」「The Hole」には名歌唱。その後は「Slumberland」「飛行艇」と彼らの存在感をカチ上げた不敵なアンセム群では常田も一線を越えた感。最後までMC部分にはたどたどしさがあったものの、最後は「どろん」と「Teenager Forever」と最新系の必殺ナンバーを投下しエンド。粗暴さと品が同居する70分であった。


-setlist-
1. Flash!!!
2. Sorrows
3. Vinyl
4. 傘
5. It’s a small world
6. Overflow
7. ⽩⽇
8. Player X
9. Hitman
10. The hole
11. Slumberland
12. ⾶⾏艇
13. どろん
14. Teenager Forever


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