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5.28 森、道、市場2022@蒲郡ラグーナビーチ&ラグナシア
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世の中にはこれは自分のような嗜好の人間のために用意されたものだ、という強い自意識を喚起させる催しがいくつかあると思うのだが自分にとってのソレは間違いなく「YATSUI FESTIVAL」と「森、道、市場」。毎年のようにその魅力的かつ多彩なラインナップに恋焦がれきたのだが、今回遂に「森道」に行くことができた。やついフェスはニコ生の中継で毎年観れるし何となくもう体験した気になってたけど、森道は完全に初参加。まずは初日の感想!
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10:55- CIRCUS STAGE
Cody・Lee(李)
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今年の最注目株をトッパーに。初見だったしMVとかも観たことなかったんで、ギターボーカルが2人という編成にまず驚く。すっかり夏めいてきた気候にぴったりな1、2曲目。そして雑多な引用と四つ打ちがツボを刺激する3曲目、ミドルメロウな4曲目とてんでばらばらな楽曲たちをまとめあげるグルーヴがすこぶる良い。アコギが醸すフォーキーさも他にない温かみがあるし、リズムのアプローチと比類なき等身大っぽさが広く受け入れられてる理由か、と納得する。フジファブリックの風味を感じる5、6曲目のオリエンタル2連から、どっしりとしたバラードをやりきったあと、最後に無茶苦茶やって終わる流れも痛快そのもの。ネクストブレイクの波動を存分に浴びた。
<setlist>
1.熱帯夜と異星人
2.冷やしネギ蕎麦
3.愛してますっ!
4.I’m sweet on you
5.悶々
6.我爱你
7.LOVE SONG
8.When I was city boy
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いたるところにメシがあり、当然のように食べまくることに。これは朝11:00にキメたトンテキガーリックライス。気合が入る味付けだった。
11:45- 遊園地STAGE
ROTH BART BARON
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遊園地のど真ん中にあるステージに、ロットという大楽団がやってくるワクワク感ったら。シリアスな啓示とともに、圧倒的な祝祭感を放つバンドゆえにこういう場に開かれると「春の嵐」などは凄まじいカタルシスだ。ベースがいる編成は初めて観たが、「Ubugoe」や「あくま」のダンサンブルさはこの座組ならではだ。そして終盤は新たな地平に至ったフェスの空気も相まって涙ぐんでしまった。「BLUE SOULS」の真っ直ぐな切実さ、高揚を蘇らせる「極彩 I G L (S)」、久々にライブの現場で、小さくはあるけど声を出して歌った「鳳と凰」、そしてありのままで約束を果たす「けもののなまえ」。やっほー、と繰り返す三船雅也の軽やかさの奥底にある切なる祈りがあった。
<setlist>
1.EDEN
2.K i n g
3.Ubugoe
4.春の嵐
5.あくま
6.BLUE SOULS
7.極彩 I G L (S)
8.鳳と凰
9.けもののなまえ
海エリアへと向かいOKAMOTO’Sを4曲聴けた。「DOOR」「Sprite」「M」「90'S TOKYO BOYS」。「Sprite」のアンセム感は本当に素晴らしい。スタジアムロックだった。原曲はHipHop感満載の「M」は軽快にスイングするようなアレンジになっていて驚き。最後まで凄まじい腕っぷしのバンド力だ。
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腹ごしらえもする。汁なしのラーメン。福岡のフェスでは豚骨になりがちだけど、これは魚介が効きまくってた。めちゃくちゃ熱かったけど当然美味。
13:55- GRASS STAGE
サニーデイ・サービス
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野外で観るのは初めてのサニーデイ。陽気なサーファーのようなルックの曽我部さん、とてつもなくゴキゲンな様子。年代のばらばらな冒頭3曲で沸々と気分を高揚させ、「コンビニのコーヒー」以降の破滅的な流れは更にその迫力を高め続けていた。温かな歌心や穏やかな気持ち、それだけでは絶対に終わらせないと言うロックバンドとしての気迫がある。こんな青い空の下、あまりにも凶暴なジャムだった。そこから間髪入れず、抑えたドラムプレイと浮遊感たっぷりに夏の情景を歌う「海岸行き」がやってくるのだからクラクラしてしまう。ラストは「サマー・ソルジャー」でメロウの彼方へと意識を飛ばしてエンド。この瞬間をもって夏であると宣言したくなる45分だった。
<setlist>
1.恋におちたら
2.苺畑でつかまえて
3.魔法
4.コンビニのコーヒー
5.春の風
6.セツナ
7.海岸行き
8.サマー・ソルジャー
海エリアにゲートをくぐると、海風が吹いてきてとても気持ちが良い。自然と遊園地、この両方の軸があるからこそ多面的な祝祭感があるのだと思う。
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14:45- SAND STAGE
藤原さくら
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5年半ぶりくらいに観た福岡の巨星。アコギとサポートキーボード(とはいえシンセベースもピアニカも演奏するマルチプレイヤー)による小編成。いきなり懐かしすぎる「500マイル」カバーで始まりルーツを示しつつ、「Waver」や「わたしのLife」など近年のHipHop、ビートミュージック志向な楽曲もアコギの跳ねとエレピの音色で見事再構築。そしてやはり、歌声に酩酊せざるを得ない。「mother」の慈しみ深さ、「ゆめのなか」のじっくりと情感を込める様、絶品。そして「君は天然色」のカバー、浜辺で聴くのはドンピシャすぎて。そういえば大瀧詠一の曲をライブで初めて聴いたけどめちゃライブ向きするな、と。最後は圧倒的な1曲でシメ。名曲としての貫禄が溢れてた。
<setlist>
1.500マイル
2.Waver
3.わたしのLife
4.生活
5.mother
6.ゆめのなか
7.君は天然色
8.Super Good
9.「かわいい」
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市場の賑わいの様子。所せましと並べられたお店に目を奪われてしまう。妻は早速、イヤリングを確保していた。見尽くせないという贅沢さがあった。
16:05- CIRCUS STAGE
Daichi Yamamoto
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ラッパーのアクトの充実もこのフェスの特徴と思うのだけど、結果的には彼だけしか見ることができなかった。しかしでも大満足!ストイックかつ素朴なイメージだったのだけどもステージでマイクを持ったらやっぱりマジモンのスターだ、、と。歌メロの良さ、ロートーンで乱れ打つ言葉たち、トークボクサーとDJを携えたセッション感、非常にエキサイティング。1曲目の後に挟まれた出自や生まれつきの髪型にまつわるスキットにはやはり突き刺さるものがあったし、リリックの端々に強く残る言葉が刻まれていて好きだ、、、となった。FRESINO経由で彼のことは知ったのでやはり「Let it Be」にはブチアガリ。しばらく〈シャンパンの泡〉って口ずさみ続けちゃった。
<setlist>※未確定
EVERYBODY PEOPLE
MYPPL
Cage Birds feat.STUTS
maybe
Netsukikyuu
Blueberry
Wanna Ride(The Breeze)
Ego feat.JJJ
Let it Be FRESINO
Paradise
きのこ帝国を最後に観た宗像フェス2018以来に佐藤千亜妃の歌声を聴く。4曲で出ちゃったけど、本当に別人かのようにすっきりと、そして開け放たれた歌を聴かせていた。「You Make Me Happy」の楽しさったらない。そしてバンドアレンジを効かせた「Summer Gate」も季節と重なって美しかった。
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遊園地ステージは本当にめちゃくちゃ遊園地。ライブ中、時折ジェットコースターに乗った客の叫び声が聞こえてきたり、どうかしてる楽しい空間。
17:15- GRASS STAGE
ゲスの極み乙女。
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フェスでは3年ぶりに観るゲス。「ロマンスがありあまる」のイントロで歓声があがる様とか、ヒット曲とその見せ方に長けているバンドだ、と思っていたのだが4曲目に初出がカップリング曲である「サイデンティティ」が飛び出してきた驚いた。その後も1stアルバムから「ラスカ」を放ち、終盤には「ぶらっくパレード」が君臨して仰天。ゲスが初めて世に出した10年前の楽曲であり、その不穏で危ういリリックと言葉運びは今なお切味鋭くフェス的な享楽性は皆無過ぎて、その異質さに興奮してしまった。「私以外~」も「猟奇的~」も封じた、近年では攻めたセトリだがこのフェスだからこそどんな音楽性もフィットすると判断したに違いない。ゲスが解放される様、痛快。
<setlist>
1.星降る夜に花束を
2.パラレルスペック
3.ロマンスがありあまる
4.サイデンティティ
5.はしゃぎすぎた街の中で僕は一人遠回りした
6.マルカ
7.ラスカ
8.キラーボール
9.ぶらっくパレード
10.もう切ないとは言わせない
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遊園地エリアは入ってすぐにこんな光景が広がってるので遊具で遊びたい気持ちを抑えるのも必死だった。本当に、楽しみ尽くすための時間が足りない!
18:25- 遊園地 STAGE
藤井隆 on the パソコン音楽クラブ
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この日初お披露目となったスペシャルユニット。まずはパ音の2人がDJセットで煽りまくり、期待がピークに高まった所で待望の隆、降臨である。この溢れ出るカリスマ性、2週前に観た岡村靖幸を彷彿とさせる。ダンスのキレも年齢を感じさせないし、瑞々しい。何より愛嬌があってこちらもニコニコしてしまう。これぞ根っからのスターだ、と。そして音楽性も素晴らしい。西寺郷太、堀込兄弟、川瀬智子、松本隆によるウェルメイドJ-POPをアイドルとしてではなく歌い踊れるという彼にしかなしえない立ち位置とプロダクトなのだ。パ音のリアレンジもキレキレで、隆も「若き才能に拍手を!」と絶賛していた。勝手にアンコールをしちゃう感じとか含め、あまりにも達者だ。
<setlist>
1.Oh My Juliet!
2.カサノバとエンジェル
3.OLDNEWTOWN(パソコン音楽クラブ)
4.14時前にアレー
5.未確認飛行体
6.ナンダカンダ
en1.ヘッドフォン・ガール-翼が無くても-
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夜はイルミネーションが灯り、市場もまるでナイトマーケットの様相。ライブ終演後も22:00まで開いているのだという。もう”暮らし“じゃん。
19:15- CIRCUS STAGE
擬態屋
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この日は最後に山盛りのカレーとタイBBQチキンを食べながら、曽我部恵一と写真家・佐内正史によるポエトリーリーディングユニット擬態屋のライブを観ながらシメた。みんな静かに座って観る、静かに奥深くに入り込んでくるような時間だった。アンコールでは即興で新曲が生まれてたり、詩の可能性を知る夜。こういう表現の振れ幅が受容されるフェスティバルは素晴らしい。ライトアップされた遊園地は華やかだけど、どこか人が去っていく寂しさもあって。そこにぴったりとハマるチルアウトだった。
初日は遊園地と海、どちらも忙しなく動くながらも非常に充実した時間だった。おしゃれフェスだと思っていたら、過去にはキュウソとかクリープハイプも出てるし、ベボベやアジカンも呼んでるフェスって一体何??と思ってたけど、行ってみると“音楽を分け隔てなく好む人たちへ開かれた場所”という説得力がすごくて。こりゃどんなバンドもアーティストもハマるわけだ、ととても納得する1日だった。
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