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舞台作品の感想

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演劇だけでなく、お笑いライブの感想など
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記事一覧

超幻想の果て、令和ロマン/『M-1グランプリ2024』

お笑いに取り憑かれた悪魔がお笑いの力で天使へと舞い還っていく。そんな神話のような物語すら…

月の人
2か月前
40

ダウ90000『旅館じゃないんだからさ』と一緒に聴きたいBase Ball Bearプレイリスト

ダウ90000 第6回演劇公演「旅館じゃないんだからさ」 を配信で観た。2021年に初演され、ダウの…

月の人
3か月前
15

ラブレターズ、愛は光/『キングオブコント2024』

キングオブコント2024、優勝となったラブレターズのネタは素晴らしかった。バリカンのジュビロ…

月の人
4か月前
23

だとしたらどう生きるか/松尾スズキ『ふくすけ2024ー歌舞伎町黙示録ー』

松尾スズキが1991年に書いた演劇作品の4度目の再演。台本ごと書き直しての上演は初演以来初め…

月の人
6か月前
10

街裏ぴんく/虚構の身体性

街裏ぴんくがR-1グランプリを獲ったという嘘のような本当の報せにとてつもなく心が踊った。そ…

月の人
11か月前
13

そこにないものを探す~男性ブランコ「嗚呼、けろけろ」/「マヂカルラブリーno寄席」

男性ブランコが国立科学博物館を会場にして繰り広げたコントライブ「嗚呼、けろけろ」を観た。…

月の人
1年前
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令和ロマン、爆発の夜を終え

あれはそう、とても暑かった日。三密回避でステイホームな日々が続いたコロナ初年、夏にオープンしたよしもとの福岡劇場。間引かれた席の寂しげな光景。チョコレートプラネットを観に行った寄席にて私は出会ってしまう。1組目に出た令和ロマンの漫才「ナンパ」に全くの初見で心奪われたのだ。 競技漫才的な熱量とは無縁の放課後ユートピアのようなニコニコできる楽しさ。おもしろフラッシュ的な感性と「ボボボーボ・ボーボボ」的疾走感。近年のインターネットお笑いの潮流にもハマリ、昨年の敗者復活→今年の初決

対象喪失と思い出の瞬き/ダウ90000『また点滅に戻るだけ』

ダウ90000の第5回演劇公演『また点滅に戻るだけ』を配信で観た。とてつもない面白さである。ネ…

月の人
1年前
18

男性ブランコ『やってみたいことがあるのだけれど』とスピッツ『ひみつスタジオ』

男性ブランコのコントライブ『やってみたいことがあるのだけれど』を配信で観た。繊細な詩情に…

月の人
1年前
20

ロロ『BGM』とスカート × 街裏ぴんく『VALETUDO QUATRO』

ステージというのは、可能性が溢れ続ける空間だ。こんなことも見せれるのか、こんな宇宙も広げ…

月の人
1年前
10

小林賢太郎『回廊』/繰り返せど繰り返す繰り返し

2020年にステージパフォーマーとして引退して以降、作・演出としても劇場での新作公演を行って…

月の人
1年前
23

令和ロマンとウエストランド、反芻に耐える疾走感

M-1ファイナリストと敗者復活戦進出者が全国をサーキットする『M-1ツアースペシャル』。毎年恒…

月の人
2年前
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12月に観たお笑いライブ(よしもと有楽町シアター/ワラムゲ!/THE大喜利/ナゴッパチ/名…

今月は東京に講習会で行ったので、色んな劇場を回りました。M-1に特化してお笑いを語るのもま…

月の人
2年前
10

最近配信で観たお笑い(浦井が一人と「話」が三つ/ダウ90000ドキュメンタリー「耳をかして」)

11.19 浦井が一人と「話」が三つ(アーカイブ11.26まで) 昨年に続いて行われた、男性ブランコの浦井のりひろによる1人芝居×3のコントライブ。脚本家として神谷圭介(テニスコート)、蓮見翔(ダウ90000)、そして浦井自身が台本を書き下ろし。1本目、神谷による作品は理知的なのか狂気的なのか定まらないその揺らぎの表現が絶妙でこの演技力はこういうライブが組まれるに相応しいものだ、と。そしてラストを飾った浦井脚本作は、自身の容姿にまつわるあるあるで着実に笑いを取りながら、その