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ワインを買った

先日、あるワインを購入した。その産地は、皆に知られたワインの産地ではなく、正直なところ「こんなところで作られたワインがあったのか。しかも葡萄から」と驚いている。まぁ、ちょっとした縁でそのワイナリーを知り、購入した。

そのワインのぶどうは岐阜県多治見市の多治見修道院

そこで作られた葡萄からワインを作っているのは社会福祉法人AJU自立の家 小牧ワイナリー


社会福祉法人が経営するワイナリーだ。このワイナリーの事業内容は以下の通り(引用)

「ななつぼし葡萄酒工房」(就労継続支援B型) 定員34名
ななつぼし葡萄酒工房では、ぶどうの栽培、ワインの醸造と販売、ショップ・カフェの接客、ワインの発送作業、などの仕事で障害のある仲間たちが活躍しています。ワイナリーで生き生きと働き、みなさまに喜ばれるワインができるように、畑での作業を中心に、その他様々な種類の仕事に取り組んでいます。(引用ここまで)

障害者の就労は一般就労・就労移行支援・就労継続支援A型・就労継続支援B型がある。このワイナリーは「就労継続支援B型」と謳っている。これは障害があり一般就労が困難もしくは不安のある人が雇用契約を結ばないで軽作業などの就労訓練をおこなうことが可能な福祉サービスのこと。ここで就労訓練を受けて一般就労や就労継続支援A型への移行を目指すものだ。またB型は雇用契約を結ばないため、工賃は低く抑えられていることが多い。仕事の成果によって支払われるため、月額約1~2万円程度が目安となる。福祉サービスなので世帯収入に応じた利用料が発生する。つまり、障害を持った方々の日中の活動の場なのだ。

最近、街を歩いていてもB型のカフェやパンやお菓子を作る工房が目に付くことがある。仕事柄、目に付くのかもしれないが、明らかに最近になって数が増えたと感じており、実際、2018年に11835か所 となった就労継続支援B型の事業所は前年の7.2%の伸び(出典:社会福祉施設等調査の概況H30)を見せている。利用者も増え、様々な業態の事業所ができて街で障害のある方の働く姿を見るようになったが、そこで働く人たちを見る消費者の目は必ずしも澄んでいるとは言い難いのが現状だと思う。

小牧ワイナリーの商品は、言い方は相応しくないかもしれないが障害者が作ったものだから買ってくださいと言わんばかりのものとは全く異なる。瓶やラベルのデザインも一般の商流に乗せても遜色ないと思う。おそらく味も良いのだろう。

先にも行ったようにB型就労は雇用関係を結ばないので工賃が低いことが多い。だからと言って価格が低くするのではなく、商品のクオリティに合わせた価格設定で売り、消費者も曇りない目で商品を評価し購入することでそこで働く人たちの自立が促されると良いと思う。貿易では「フェアトレード」という言葉がある。対象は変わるが「公正取引」の考え方が障害者の雇用の分野でも広がると良いと思う。