マハーバーラタ/5-21.息子との別れ
5-21.息子との別れ
クンティーは言った。
「おいで、一緒に弟達の所へ行きましょう」
ラーデーヤは苦悩で泣きじゃくっていた。
「お母さん、私は行きません。行けません」
「なぜそんなことを言うの?
自分がパーンダヴァだと分かってもドゥルヨーダナの所にいると言うの?」
「ええ、そうです。私はドゥルヨーダナの元を離れません。
彼が私の唯一の友達だから。
あなたに捨てられ、私はスータプットラの汚名が着せられ、世界で独りぼっちだった。
ドローナは私に弓の技術を教えてくれなかった。
バールガヴァは弓の技術を教えてくれたが、私がブラーフマナではないことを知ると呪いをかけた。
私は生きる意味を探して対抗試合が行われているハスティナープラへ行ったんだ」
そこまで話した時、クンティーの体は何かを思い出したかのように動揺し、震えだした。再び涙が流れだした。
ラーデーヤは話し続けた。
「お母さん、あの時、会場にいたのでしょう?
私が闘技場に入った時、私のことが分からなかったの?
自分の息子を認識できない母などいないはずです。
しかも私はカヴァチャとクンダラを身に着けていた。
分かっていて、何もしなかったのでしょう?
その理由を尋ねる気はありません。愛するあなたを傷つけたくないから。
今あなたは私を愛していると言ってくれている。それで満足です。
・・・そう、あの日、私がスータプットラであることを理由にビーマとアルジュナが侮辱してきた時、救ってくれたのがドゥルヨーダナなんだ。
見ず知らずの私を友人だと言い、アンガ国の王にまでしてくれた。
その見返りとして私は心を差し出した。彼の為なら何でもすると約束したんだ。だからたとえ不可能な仕事であってもそうするんだ。
ドゥルヨーダナは私を愛しているし、私も彼を愛している。
お母さん、私の心が荒れ狂っているのが見えるかい?
最愛の友人ドゥルヨーダナ以上の愛情は考えられないんだ。
だから、ユディシュティラが弟であると口にすることは心が痛むんだ。
これまでずっと憎んできたアルジュナが、あの憎々しい敵が、
私の心の目の中では愛しい子供のように見えてしまう。苦しいんだ。
長く失われていた母への愛情と、新たに芽生えた弟達への愛情で私の心は張り裂けそうなんだ。
あなたのそばにいる為なら、どんなことでもしたいと思っていた。
でも、それはできない」
ラーデーヤの険しい顔を見たクンティーは涙で喉を詰まらせた。
「なぜできないの?
私はずっとあなたを愛していました。
アルジュナがあなたのことをスータプットラと呼んでいる時、私の心は張り裂けそうでした。
でも、もう大丈夫です。
人々が言うことなんてもう気にしません。
世間から軽蔑の目を向けられても大丈夫。勇気が湧いたから。
六人ではなく、五人の英雄の母としてのこの年月の間、私の心は空っぽでした。
お願い。一緒に来てこの心の穴を埋めさせて」
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