マハーバーラタ/5-8.カウラヴァ宮廷でのサンジャヤ
5-8.カウラヴァ宮廷でのサンジャヤ
カウラヴァの宮廷ではサンジャヤによる報告が始まろうとしていた。
ドゥリタラーシュトラはその場に集まった全員に対してウパプラッヴャでの出来事を話すよう頼んだ。
サンジャヤは出来事の全てを詳しく鮮明に話した。
ドゥリタラーシュトラの伝言を聞いた全員の発言を一言も省略することなく、彼らの顔に浮かんだ表情まで正確に伝えた。
そしてクリシュナ、ユディシュティラ、アルジュナからの伝言も話した。
サンジャヤが説明している間、誰一人として口を開く者はいなかった。
ビーシュマがドゥルヨーダナに向かって話した。
「愛する孫よ、あなたは自らを溺れ死にさせようとしているんだ。
ナラとナーラーヤナとも呼ばれるアルジュナとクリシュナが一緒に戦った時の力が分かっていない。
パーンダヴァ達は無敵だ。片手にダルマを持ち、もう片方の手にクリシュナを持っているのだ。
悪魔の考えを持つシャクニや、無礼で罪深いドゥッシャーサナに操られて戦争をするのは止めなさい。
あなたが頼りにしているラーデーヤはクシャットリヤではない。バールガヴァの呪いを受け、ブラーフマナの呪いまで受けている。カヴァチャとクンダラまで手放してしまった。勝てる見込みはない」
ラーデーヤがその言葉に反応した。
「ドゥルヨーダナ。あなたの祖父はいつも私を傷付けようとする。あんな言い方は正しくない。
確かに私はクシャットリヤではないかもしれないが、私の行いはまさにクシャットリヤのものだ。あなたとの友情や忠誠心に関して、生まれは重要ではない。
ビーシュマよ。私はこのドゥリタラーシュトラの息子を喜ばせる為なら何だってできる。一人でパーンダヴァ達を滅ぼすことだってできる」
ビーシュマはラーデーヤを無視してドゥルヨーダナに向かって話した。
「ドゥルヨーダナ、この男の力を見誤ってはならない。彼はアルジュナの強さの16分の1にも満たない。それなのにこの数年間はいつもパーンダヴァ達を殺すことばかり口にしてきた。
その結果はどうだ?
ドヴァイタヴァナでガンダルヴァと戦った時、彼はどんな風に振舞ったかを見ただろう。
私達全員でヴィラータを襲撃した時、彼は惨めなほど立たなかった。
彼の力を頼りにパーンダヴァ達と敵対するのは止めるんだ」
ドゥルヨーダナはビーシュマの方を向き、
目線や眉を上げ、軽蔑を込めて口角を上げた。
するとビーシュマは話すのを止めて座った。
それはドゥルヨーダナが得意とする、老いぼれ達を黙らせる武器であった。
ドゥルヨーダナだけがラーデーヤを愛していた。
いつでも息子の味方をする父ドゥリタラーシュトラを除く宮廷の皆からラーデーヤは嫌われていた。
ドローナが話した。
「ビーシュマの言うとおりだ。パーンダヴァ達と敵対するのは無謀だ。
アルジュナとクリシュナがカウラヴァ達を破壊すると言えば、それは真実となるのだ。
私はアルジュナの師であり、彼の武勇をよく知っている。すでに彼は私を超えている。シャンカラ神からパーシュパタも手に入れたと聞く。
彼らを過小評価してはならない」
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