マハーバーラタ/5-3.アルジュナの御者クリシュナ
5-3.アルジュナの御者クリシュナ
ドゥルヨーダナが部屋から去り、クリシュナはアルジュナに尋ねた。
「あなたは馬鹿だ。なぜあなたは私の軍を敵に回し、武器を持たない私を選んだんだ? 考えが曇ってしまったのか?」
アルジュナは声高に笑った。
「クリシュナよ。私は何も心配なんてしていない。誰がどちらの側で戦うかなんて心配する必要はないんだ。
クリシュナ、あなたが欲しいんだ。私達を導く船頭であり、友達であるあなただ。分かっているでしょう? 私を試そうとしているのかい?
武器を持たないあなたには、私の白い馬達の鞭を握ってほしいと思っているんだ。戦闘馬車の御者として常に一緒にいてほしい。
この罪深い世界で、ダルマがどのように成し遂げられていくかを世界は目撃するでしょう。
おお、クリシュナ神よ。あなたの至福の手に持つべきものはは鞭ではなく、ダルマの笏です。あなたは人の姿を装ったダルマそのもので、パーンダヴァ達にとっての偉大な栄光です。
あなたがパールタサーラティ(アルジュナの御者)となってくれるなら、私は神に戦闘馬車の手綱を握ってもらった人として世界中に知られることになるでしょう。
私の馬達の手綱があなたの手の内にある時、何の心配がいるでしょう?
ダルマがあるところに勝利あり。
そして、クリシュナがいるところにダルマあり。
それをよく知っています。私はあなたのことを知っています。どうかからかわないでください。
あなたはこのバラタヴァルシャと呼ばれる大地を耕すでしょう。
そしてこの大地にダルマの、真実の、思いやりの種を蒔くのでしょう。
大地は毒から守られ、あなたによって癒されます。
あなたによって春はより青々とするでしょう。
あなたによって雨雲はより濃くなるでしょう。
あなたによって秋の色合いはより黄金色になるでしょう。
あなたによって冬はより澄んだものとなるでしょう。
あなたが一緒にいてくれればそれで幸せです。
私達の敵はあなたの片腕でも倒せますが、私一人で十分です。
世界はクリシュナがパーンダヴァ達の味方についたことを知るでしょう。
あなた以外に私が欲しいものなんてありません」
クリシュナは彼の言葉にとても喜んだ。
アルジュナを宮廷の中に連れて行った。
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