マハーバーラタ/5-おまけ「準備の章」あらすじ、こぼれ話、個人的な感想

この章はとても大事な章だと思っています。
なぜか?
マハーバーラタの中心であるバガヴァッドギーターで、
クリシュナがアルジュナに「立ち上がって戦え!」と言います。
この部分がどうやらクリシュナは「戦争を肯定している」と解釈されてしまうのです。
その真意は6章のバガヴァッドギーターの中で明かすとして、
この5章では、いかに戦争が避けることができなかったか、
避けるためのあらゆる方法を試してもダメだったということを納得するためのエピソードとなります。
「それでも戦争だけはしてはならない」
その意見にも賛成です。
しかし、悪事を働く者を見て見ぬふりする警察官は失格です。
力なき正義はただのきれいごとでしかないと。

約束を果たしてくれないドゥルヨーダナ。
それどころかこっちが戦争を仕掛けていると言われる始末。
「私は悪人なので悪の道を進みます。
あなたは善人なので戦いなんてやめておきなさい」
そんな風に言われたらどうします?
しかもその悪人の為に世界の人々が苦しんでいるとしたら。

最後まで戦争を避けたがっているユディシュティラの気持ちも分かりますが、世界中の期待を背負って戦いに向かっていきます。

長いマハーバーラタのお話ですが、
なんと、やっと半分です!

[5章のあらすじ]
12年間の森での追放生活と、
1年間のかくれんぼ期間をなんとかやり遂げたパーンダヴァ達。
アルジュナの息子アビマンニュの結婚式という束の間の喜びを終え、
いよいよ約束の時。

世界中の王達がどちら側につくのか、
各国の事情やら因縁やらで二分されていく。

そんな中、最も勝敗を決定する力を持つのが、
クリシュナと彼が率いるナーラーヤナ軍。
ドゥルヨーダナとアルジュナが同時にクリシュナの元へ急ぐ。
先に到着したのはドゥルヨーダナ。
でも眠っていたクリシュナ。
起きた時に先に目に飛び込んできたのは、
後から部屋に入ってきたアルジュナ。

さてどうするクリシュナ?
「戦わないクリシュナ」と「クリシュナの軍隊」を選ばせることに。
この分け方がちょうど半分ずつを意味すると。
年下のアルジュナに選択が委ねられる。
アルジュナが選んだのは「戦わないクリシュナ」。
こうしてクリシュナはアルジュナの御者(戦闘馬車の運転手)となった。
ナーラーヤナ軍を手に入れたドゥルヨーダナは大喜びしたが、
他の皆は知っていた。
「クリシュナがいる所にダルマあり。ダルマある所に勝利あり」
ドゥルヨーダナ以外の者は心の中で「ああ、これで負けが決まった」と悟る。

戦争に向かって準備が進んでいく両軍。
それと同時進行でユディシュティラはドゥルヨーダナに対して約束を果たす(国を返す)よう交渉する。使者クリシュナに全てを委ねる。
クリシュナの予想通り、ドゥルヨーダナは国を返還する気は無かった。
それどころかクリシュナを捕まえて捕虜にすれば、
パーンダヴァ軍は腑抜けになると言い出す。
全世界の人々によって神の化身として知られていたクリシュナ。
彼を捕えるなんて、そんな恐ろしいことを考えるなんて。
クリシュナはヴィシュヴァルーパ(真の姿)を見せた。
大地震が起き、海が干上がり始める。
そこでクリシュナは元の姿に戻り、パーンダヴァ達の元へ帰っていく。

クリシュナは帰り際にラーデーヤと面会する。
ラーデーヤはこの時、自らの出生の秘密を知る。
なんと彼はクンティーの最初の子供であった。
つまりパーンダヴァ五兄弟の長男はユディシュティラではなく、
ラーデーヤであった。
ラーデーヤこそが世界の王となるべき人であった。
クリシュナはそれを明かし、パーンダヴァ達の元へ連れて行こうとする。
しかし、ラーデーヤは拒否。
ドゥルヨーダナとの友情を選んだ。
そしてクリシュナに対してお願いをする。
パーンダヴァ達にはそれを秘密のままにしておいてくれ。私が死ぬまで。

クリシュナの報告を聞いたユディシュティラ、ついに戦争を決意。
もう他に方法はないを腹をくくる。
彼の戦争の宣言により、パーンダヴァ軍の士気向上!
正義の戦いを全員が決意した。

一方ドゥルヨーダナは総司令官にビーシュマを任命する。
ビーシュマはその大役を引き受けるが、ドゥルヨーダナと同じく自分の孫であるパーンダヴァ兄弟と戦うのは気が進まないと正直に話す。
でも最善は尽くすと宣言。
総司令官を引き受ける条件として、ラーデーヤと一緒には戦わないことをドゥルヨーダナに了承させた。

そして母と子の再会の名場面。
クンティーがラーデーヤに会いに行く。
自分が母であることを明かし、
パーンダヴァ側に行くよう説得するが、
ラーデーヤは拒否。
(とても感動的な場面ですが、超省略しています)

クリシュナと母クンティーが頼んでも
ラーデーヤのドゥルヨーダナへの愛は揺らがなかった。

そして迫ってきた戦争。
バララーマはどちらかというとドゥルヨーダナに味方したいが、
弟クリシュナを敵に回すことはできないので、戦争から身を引くことにした。

シャクニの息子ウルーカがドゥルヨーダナからの伝言をユディシュティラ達の元へ運ぶ。
ひどい挑発。
最後まで決心が揺らいでいたユディシュティラも、
これにて戦う決意を固めた。

そして、戦争が始まる。

[こぼれ話]
勝手な想像ですが、
もしバララーマがドゥルヨーダナ側について
ナーラーヤナ軍を率いたとしたら、きっとユディシュティラ達は勝てなかったんでしょうね。
バララーマも神の化身とみなすという説もあるくらいですし。

(六章へ)

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マハーバーラタの第5章 約束通り国を返してもらおうとするパーンダヴァ達。 争いを避けようと全力を尽くすが・・・。

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