マハーバーラタ/6-15.バガヴァッドギーター⑬~知られる者と知る者~

6-15.バガヴァッドギーター⑬~知られる者と知る者~

アルジュナは言った。
「おお、ケーシャヴァ(クリシュナ)よ、プラクルティとプルシャ、クシェートラとクシェートラジニャ、ジニャーナとジニェーヤ、これらについて知ることを望みます」

シュリーバガヴァーン(クリシュナ)は言った。
「カウンテーヤ(アルジュナ)よ、この体はクシェートラと呼ばれる。これを知る人はクシェートラジニャと呼ばれる。

全てのクシェートラ(体)の中におけるクシェートラジニャ(体を知る者)として私のことを知りますように。おおバーラタ(アルジュナ)よ。クシェートラとクシェートラジニャの知識こそがまさに私がジニャーナとして見なしているものだ。

そのクシェートラとは何なのか、どのように現れているのか、どのような変化を持っているのか、どんな源から現れるのか、その源とは誰なのか、その源がどんな栄光を持っているのか、簡潔に話す私の言葉を聞きなさい。

リシ達によってたくさんのヴェーダが多様に、そして明確に歌われている。疑いなく、理論的にブラフマンを明らかにしているものだ。

マハーブータ(五大元素)、アハンカーラ(宇宙の行い手、ヒランニャガルバ)、ブッディ(宇宙の知性)、アッヴャクタ(現れていない源、マーヤー)、10のインドリヤ(器官)、1つのもの(考え)、5つの感覚器官(物理的宇宙)、イッチャー(欲望)、ドヴェーシャ(嫌悪)、スカ(快楽)、ドゥッカ(苦痛)、サンガータ(物理的な体)、チェータナー(認識)、ドゥルティ(決意)、これらすべてがクシェートラであり、その変化とともに簡潔に述べられている。

アマーニットヴァ(驕らない)、アダムビットヴァ(虚勢を張らない)、アヒムサー(傷つけない)、クシャーンティ(忍耐)、アールジャヴァ(真っすぐ)、アーチャールヤ・ウパーサナ(先生に仕える)、シャウチャ(清らかさ)、スタイルヤ(揺らがない)、アートマ・ヴィニッグラハ(考えの統括)、感覚の対象に対するヴァイラーギャ(執着のなさ)、アナハンカーラ(傲慢さがない)、そして生と死、老いと病といった悲しみの問題をはっきりと見ること。

所有の感覚がないこと、息子や妻、家などへの執着がないこと、望むものや望まないものを得ることに関していつも平静であること。

他の何ものではなく『私』へのヨーガによる揺らぐことのないバクティ、静かな場所に身を置く気質、人々との付き合いに対する切望のなさ。

アッデャートマ・ジニャーナ(私の知識の中心をなすもの)にいつも留まり、タットヴァ・ジニャーナ(真実の知識)を目的として視野に入れていること。これらが知識を得る為の方法であり、これ以外のものはアジニャーナ(無知)である。

何を知るべきなのか、それは私がこれから明確に語ることであり、それを知ることでアムリタ(不死、モークシャ)を手に入れる。アナーディマット(始まりを持たない)である究極のブラフマンは物体としてのサット(存在)でもアサット(自立して存在しないもの)でもないと言われる。

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