環境債で調達した資金の使途
環境債を発行した企業について、資金の使途を集計した。企業リストは、下記。
使途で多かったのは、リファイナンスで、その次に返済資金等への充当、再エネ事業、太陽光事業などが続く。
リファイナンスとは、「同一の資産を担保に新規のローンを組み、その資金で従来のローンを完済すること」を意味する。
私は、環境債の資金の使途は、再エネや太陽光等の事業や調達が主なものだと思っていたが、調べた結果はそうではなかった。リファイナンスや、既に取得した資産の返済の充当に、資金が振り向けられていた。
環境債といっても、全てが直接、環境保護のために使われるのではないのが意外だった。
調べる前から、海外と資金の用途の比較を行おうと思っていたが、海外の事例がなかなか見つからなかった。そこで、環境省のサイトを参考に、一部企業ではあるが用途を確認した。
すると、グリーンビルディング・再エネ・リファイナンス・生物多様性・汚染防止など、使い道は海外でも似ていた。
海外でも同じだとしても、やはりモヤモヤが残る。
例えば、オリエントコーポレーションが2019年4月に発行した利率0.5%、額が50億円、償還期間が5年の環境債。
資金使途は「太陽光発電システム、蓄電池、エコキュート等省エネ設備の設置に関するリフォームローンに活用」とされている。
これは、別に環境債じゃなくてもよいのでは?と思ってしまう。
また、明電舎が2019年7月に発行した、60億円・利率0.26%・償還期間5年の環境債の用途は、「電気自動車用部品の量産設備増強資金の一部に充当」である。
一方で、直方ソーラーファーム合同会社が2019年9月に発行した62.8億円・利率非開示・償還期間20.9年の環境債の用途は「太陽光発電所の建設資金」だ。
たしかに、オリエントコーポレーション・明電舎のどちらも、その用途は環境保護に貢献していると思うのだが、直方ソーラーファーム合同会社の方が貢献度が分かりやすく、私が想像していた環境債に近い。
一口に、「環境債」と言っても、中身は多様である。
環境債を購入したから良いというわけではなく、大事なのはその資金用途がどの程度、環境に良い影響を与えているかを見ることだと考える。
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