【オナワザ】#5 ご当地グルメ食うべからず
「え、福岡行ったの?博多ラーメン食べた?」
「大阪といえばたこ焼きでしょ?どこが美味しいの?」
私はこの手の会話が好きではありません。
なぜなら、「ご当地グルメ」というものを信用していないからです。
もっといえば、ご当地グルメはマズいと思っています。
何言ってるんだ?と思ったかもしれません。
「固定観念をはずす」ことを意識して、読み進めてください。
まず誤解しないでいただきたいことが2点あります。
1.「ご当地グルメ」と「ご当地有名店」は異なる
「ご当地グルメ」とは、ある特定の地域で名産や名物となっている料理の種類を指します。つまりお店を特定しない概念です。一方で「ご当地有名店」はお店を指す言葉であり、今回の屁理屈から対象としては外れます。
2.あくまで一般論である
今回の屁理屈はあくまで一般論であり、具体的な地域を指していません。そのため「いやいや、うちの地域はだな!」などと言われても一切うけあいません。一般論なので。
さて、前提が揃ったところで屁理屈をこいていきます。
まず、みなさんはなぜご当地グルメが美味しいと思うのでしょうか?
それは「ご当地バイアス」という厄介な潜在意識があるためです。
おそらく、みなさんがご当地グルメを選ぶきっかけは
・評判がいいから
・有名だから
・〜が美味しいって言っていたから(書いていたから)
ですよね。
つまり、独立した料理単体の味を評価している以前に、「ご当地」というブランドのバイアスが多分にかかっているのです。
そして、この「ご当地バイアス」は大したことない料理も美味しく感じさせてしまいます。
なぜなら訪れるまでのコストがかかっているからです。このコストがかかっているせいで、食べた人には「美味しくなければ損をする」という厄介な潜在意識が働くのです。
飛行機もホテルも予約して。
休日なのに休まず外を歩いて。
会社、学校へのお土産も買って。
なのに「マズかった」「失敗した」なんて嫌じゃないですか。
マズかったのであればまだ話のネタになるかもしれませんが、「普通だった」なんて最悪ですよね。だから旅行先でご当地グルメを食べた人に感想を聞くと8割方「うん、美味しかったよ」と曖昧な返事が帰ってくるのです。
また、厄介なことにご当地グルメは比較対象が多くありません。
何かと比べて美味しいマズいの優劣がつけられないのです。
すると「基準なき絶対評価」になり、どんどん評価基準が曖昧になります。
だから簡単に「美味しい」と言ってしまうんですね。
ここまでの話で、ご当地グルメを食べる人には普段以上に美味しく思ってしまう「ご当地バイアス」がかかっていることはお分りいただけたと思います。
ご当地グルメが信用できない理由はまだあります。
それはご当地グルメを出す店が抱える「ご当地アドバンテージ」です。
ご当地には同じグルメを出す店がそこかしこに並んでいます。
特に大阪の新世界に行くと串カツの店しかありません。
一見、競争が激しくて、その中で残っているお店は美味しそうですよね。
これは大きな間違いです。
ご当地は競争が激しい自由市場ではなく、競争のない寡占市場なのです。
ご当地グルメが出来た地域では美味しくなくても、そのグルメを看板に掲げておけば客が来ます。しかもその客は「ご当地バイアス」にかかっているので、ある程度マズくないものを出しておけば文句は言わず、いそいそとインスタにアップするでしょう。
その結果、対して実力がないのにその土地で商売が成り立ち続けるのです。
また、ご当地のグルメは「長年その地域に根ざしている」ということが非常に価値を持ちます。
そのため新規参入をしてもあまり勝ち目がなく、古い店だけがその歴史にあぐらをかいて生き残り続けるのです。
要するに、ご当地アドバンテージがある店は企業努力をすることなく、その地域で生き残ることが出来るため、美味しさの発展が無いのです。
だからこそ私がオススメするのはこんなお店です。
・ご当地グルメがある地域なのに、全然違う料理で生き残っている店
・全然違う地域のご当地グルメを出している店
という訳で、今回のことわざはコチラ。
ご当地グルメ食うべからず
【意味】
世間の評判が良いものほど大衆が盲目的なり、結果的に実体を伴わなくなるという意味。
【例文】
ダイソンの掃除機はやめておいたほうがいいよ。
吸引力は落ちないけど弱いらしいし、ご当地グルメ食うべからずさ。