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凪ぐ


感情の起伏が乏しくなった。これはあくまで主観的意見なので、他者から見たわたしは恐らく浮き沈みが激しいのだけれど。

なんだか常にうっすら寂しくて、こっそり絶望していて、ちっちゃく疲れている。
それと同時にずっとぼんやり幸せで、なんとなく平和で、とりあえず納得はしている。
希死念慮が遠のいた代わりに、生への渇望や歓びも特に感じない。成し遂げたいとか活躍したいとか何とかしたいとか、能動的な類いの動機が湧いてこない。マイナスに振り切らなくなった代わりに大きな喜びも得にくくなったというか。

たぶんこれが平穏であり普通であり日常生活を送るということなのだと思う。


だけどほんとはわたし、発狂したい。
もっと狂っていたいんだ。

そのことしか考えられなくなって胸いっぱいになって、でもそれが楽しくて、やりたいってなったら歯止め効かないくらい予定詰め込んで、できる限り追いかけて、焦がれて苦しんで溢れかえって吐き出して、そのために時間潰して意味ないようなことやっちゃったりして、頭おかしくなりたい。常識や当然なんて飛び越えて、やりたいことを思うまま、本能のまま、理性なんてぶっ飛ばして、好きなように。


己の中の情熱を長く保てなくなっていることが悔しい。なにかに熱中したい。心に火をともしたい。

自分の気持ちは自分にしか分からないから、忘れないようにこぼれ落ちないように無かったことにしないように、わたしは言葉を書いている。わたしの気持ちはわたしが大切にしておかないと、すぐに消えてなくなってしまうから。だけどやっぱりそれすらも一過性で。苦しい。このままじゃ自分は一生満たされない。さらさら落ちていく砂を必死に掬って入れ直して、でもどんどん落ちるスピードは早くなる。そのうち入れられるものがなくなっていってしまうのかと思うと怖い。いやだいやだいやだ!!わたしはまだ踊り狂っていたいんだ。凪ぐならいっそ完全に凪になってくれ。こんなさざ波程度の葛藤なんざも起こらないくらいに。

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