想い出の寺 秩父郡小鹿野町 曹洞宗奈倉山大徳院 私の百寺巡礼223
子どもの頃によく遊んだ場所なのにすっかり忘れていた。Googleマップにて、こんな所に寺院があるのか、とそんな存在でいたことを申しわけない!
曹洞宗大徳院は、秩父郡小鹿野町にある。秩父氏から分家した奈倉家の菩提寺であり、奈倉山となっている。この辺りの集落も奈倉という。
奈倉氏は、畠山重忠の後裔加賀守行家が、この地に来て館を構え、小字の奈倉を氏としたそうで、八幡沢と赤平川の合流地点に有り、赤平川沿いに石垣が残っている。左端には八幡祠跡が残っている。 永禄12年の武田軍の侵入の時、5代下野守重則がこの館から出陣し、二度と館に戻る事がなかったと言う悲しい 話が残っている。
秩父氏は八幡大菩薩を氏神様としており、ここ奈倉氏館にも八幡祠の跡がある事から、やはり秩父氏の一族だと言う事が分かる。
歴代住職の墓もあり、過去には住職や小僧さんもいたのだが現在は無人で、近くにある札所33番の方で管理している。
庭も丁寧に手入れされているが、これは町内会メンバーのボランティアだろう。
今月初めに従弟が亡くなった。精神的な弱さからアルコール依存症になり、何年も苦しんでのことだった。
葬儀には行けなかったが、お悔みに。従弟の住んでいた家(娘と共に実家に住んでいた)のすぐ裏にある大徳院が叔父一家の菩提寺とのことで10年も前に亡くなった叔母の墓参りにと来たのだ。
母も一緒だったのだが、全然関係ない苗字のお墓に手を合わせてるもんだから、認知症婆さんになったか?そろそろ介護認定をせなアカンか?と考えてしまったのだ。
だが、そこは、昭和の時代に亡くなった叔父(父の妹の夫)の墓であった。
なんでも、突然亡くなったものの、次男だか三男だかで埼玉県南部に出てきた叔父には菩提寺がない。というか、叔父の実家は有名な神社の総代を務めるような神道家系であるから墓も神社に。叔母は、どこかお墓をと探すも、都心部は高いのと簡単に菩提寺として受け入れてくれるお寺がない。ということで、こちらの墓地を購入したらしいのだ。
母よ、すまん!
昭和の終り、私は熱心なクリスチャンであった故、お墓に行くこと、神社の鳥居をくぐるのは、偶像崇拝に当たるとして、大好きだった叔父のお墓の場所も知らないでいたのだ。父の姉、妹はキツイから怖いけど、叔父は温和で好きだった。
お寺の墓地は初めてであったが、境内に足を踏み入れた時、子ども時代、従弟妹らと、ここで遊んだことを想い出したのであった。
すぐ裏にある妙見宮は、町内会館も併設されており、この辺りの人たちは仲が良いな、まとまっているな、という印象を抱いたのを覚えている。
多分、それは「小鹿野歌舞伎」という祭があったからかもしれない。
数年間、ずっとアルコールのみ摂取の日々、父親に当たり散らした従弟。
彼の苦しみは今はなくなったのだろうか。
49日が終わったら、母の眠る土に共にいくのだろう。
安らかに・・・と願わずにはいられない。
地面には目立たぬようにスミレの花が咲いていた。心弱き従弟のようであった。
無人寺 走りし過去に スミレ咲き
曹洞宗奈倉山大徳院
埼玉県秩父郡小鹿野町下小鹿野212
西武秩父駅より西武バス小鹿野車庫行きにて、松井田下車徒歩15分