積聚治療の”なぜ”(5)
積聚会副会長 加藤 稔
『積聚会通信』No.6 1998年5月号 掲載
2022年11月 筆者加筆修正
いよいよ、積聚治療の天王山ともいえる背部の兪穴への施術となる。
左右の志室のチェックは実に面白い。というよりは不思議という方が事実かもしれない。
軽く触るだけで痛がる人、硬い人、軟らかい人、コリコリしている人、ゴリゴリしている人、くすぐったいと言う人、気持ちが良いという人、硬くて何も感じないという人など、いろいろな症状を訴える患者に遭遇する。さらに、志室を強く押してはじめて、これらの症状を訴える人もいる。
志室の変化とはどのような状態になれば効果がでているのか?
志室の変化で効果が出ていると判断する理由は、腹積が変化しているためだろうと考えられる。
志室の部位にある臓器は腎臓と考えられる。腎臓だけは腹膜の外側にある。患者がうつ伏せのためすぐに腹積を調べることが出来ないもどかしさがある。
しかし、積聚治療ではこの不安材料をより少なくするためのテキストとして、”基礎2コース”にヒントがある。このテキストには経穴名はなく、判断材料としての考え方を示している。ここで特別に効果のある特効穴を知りたいと悩むこともある。この段階でどのような陰・陽・補・写を組み立てれば良いのであろうか?小林詔司先生に聞きたかったところである。
しかし、技術面という問題になると、ことさらに難しくなるし、技術の向上を考えると想像するのが難かしい。”なぜ”と疑問を持つことは簡単であるが、その答えを掴むことや方法を探ることは大変ではある。
陰陽とは何者なのか?