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【息子について】涙をシャワーで隠す

8歳の息子とは、なんというかパートナーみたいな関係だ。

小さい頃から色んなところに行き、色んな経験をさせてきた。

海外で働くことになってから、英語もままならない中、インターナショナルスクールへ通わせたりした。

「大きくなったら冒険家になる。オーストラリアで新種の生物発見する。英語が必要ならがんばる!」

と自分で納得して、通い始めた。

今、一時的にその海外へ来ている。
癌治療のための日本への正式な帰国引越しだ。

そんな中、

「今日ね、ママ友からちょっとの間、お子さん預かってほしいって。いいいよね?」

と妻から。
息子の友達を夕食の間見ることになった。

海外赴任中は多忙につき、息子の現地の友達との関係性をよく見ることはなかった。

ただ、今日一緒に晩御飯を食べている彼らを見ていると涙が出そうになってきた。

というのも、日本での息子の様子を知っているから。

日本では、息子は近所の子たちと色々とトラブルを抱えながらも遊んでいるようだ。息子からトラブルの内容を聞いたり、様子を見たり。
家に帰ってきた時の表情があまり明るいものではない。
息子の話だけど聞くと、いじめの数歩手前にあるかもしれない状況。

「ねぇ、帰ったらすぐ出かけようとするよね?皆んなから置いてけぼりにされないように焦ってるんじゃない?」

と聞くと、

「そうだよ、あの子とあの子とあの子はいつも僕を置いていこうとするの。でも一緒にいなきゃダメなの」

なんて会話をしたこともあった。

息子は社交的で、どちらかというと、中心的な存在。みんなとうまくコミュニティを作りながら輪を作って広げていくタイプ。
そういう認識だったし、日本に戻る前は少なからずそういう感じだった。

ただ、病気を患い在宅していることで、僕自身、息子のことをよく見る機会が増え、観察し、彼が抱えている悩みを理解できるようになった。
そしてそれをパートナーとして話すこともできるようになった。
癌をきっかけに知ることができたそとの一つだ。

そんな日本での彼の悩みを知っているから、こっちの友達と、一緒にご飯を食べ、キス距離くらいでゲームをしながら、日本で見たこともないような笑顔を見せたり、手を繋ぎながら、Creepy Nutsを歌ったりしている様子を見ると泣きそうになってきた。

恋人の距離でマインクラフトやってる
「ブリンバンバンー」と手を繋いで歌ってる


夕食中、ピザを食べながら、

「ねぇ、うちは日本に帰っちゃうけど、ずーっと友達でいてくれる?たまには、スプラでオンラインの相手してあげて」

とお願いすると、

「うん、もちろん!」

と返事をしてくれた。

「うちはさ、田舎だから山も川もあるし、バーベキューもできるから、日本帰ってきたら、家族で泊まりきなよ、迎えいくから!」

「え!行っていいの?行きたい」

と。

食事から帰り、息子とシャワーを浴びながら

「パパ、あんなに楽しそうに笑ってるところ、久しぶりに見たよ、ずーっと友達でいるんだぞ」

「当たり前じゃん、早くパパもガン治さなきゃね。ここの傷も早く落ち着くといいね」

と埋め込んだポートの傷跡をさしながら、言ってくれた。

もうね、最近涙脆くて、息子にバレないように涙をシャワーで流すのに精一杯だったよ。

癌にならなかったら、知る由もなかった息子のこと、家族のこと。

ありがとう気づかせてくれて。


備忘録)
息子から学んだこと。
それは、人は「経験」こそ価値であること。経験をすることで視野が広がり、いろんな視点で考えることができるということ。

息子は僕に付き合わさせれ、時にアメリカに行ったりベトナムに行ったりした。その中で、多民族他人種の友達ができるとともに、現地の文化や歴史、格差を知り、それを日本と比較する視野を持った。小学生ながら羨ましいほどの視野だ。

一方で、日本の彼のコミュニティは、語弊を恐れずに言うと、クローズドかつ限定的な視野で形成されているんだと思う。日本における「ムラ」社会が子どもの中でもできてるんじゃないかと。

その中で、息子は苦しんでいる。
でも、これまでの経験や視点を否定的に見て欲しくないし、むしろ大切にしてほしい。迎合する必要はない。

じゃあ何を親としてするか。
それは、一つ上のレイヤーの視座を伝えることだと思う。

大人にもよくある。
一個上から見れば、大したことないってこと。
究極的には宇宙視点では自分の悩みなんてみじんこレベルってやつ(ごめんみじんこ)

一緒にやったこと

息子の経験の数を一緒に数えあげ、今いるコミュニティ(日本のコミュニティ)はその一つでしかないし、そのコミュニティの友達はその視点しかどうやらなさそうだと言うことを理解してもらうということが大切なんだと。

息子はかわいい。
誰よりも。
だから常に息子の味方でいたい。
もしかして、この考えが鼻に付く人がいたとしても。

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