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若手社員に選ばれる組織
皆さん、こんにちは。シェイクの吉田です。
先日、大手食品メーカーの中堅社員研修を実施していた際に、「もっと、若手社員が自社のことを好きになる会社にしたい」と想いを語っている社員がおられ、心を打たれました。
背景を聞くと、最近、若手社員の離職が増えてきていて、そのことを残念に思っているとのことでした。
恐らく、不平・不満を持ちながら退職していく人も多くいるのでしょう。
もはや、「離職=悪」の時代ではなく、転職は人生の選択の一つではありますが、それでも、入社してきた後輩や部下が、簡単に転職してしまうのは、残念なものです。
今回のテーマは、転職時代における「若手社員に選ばれる組織」です。
2022年4月に新社会人の転職サイトへの登録数は、
2011年比で28倍になったとのデータもあります(doda調べ)。
また、よくも悪くも見切りが早く、「即、見切り世代」と言われることもあります。
仕事や上司が合わないと思ったら、我慢することなく、すぐに転職を考える人も増えているようです。
本当に合わない場合や、明確にやりたいことが異なる場合の転職であればいいのですが、漠然とした不安や不満があるときに、何となく登録していた転職サイトの言葉に流されるように、転職してしまうのは、会社にとっても、本人にとっても、残念なことかもしれません。
会社が個人を縛ることが出来ない現状において、
会社が、個人から選ばれる会社になっていくことが必要になっています。
これから、人材不足が加速していく中、個人に選ばれない会社が人材不足により、倒産するということも起きてくるでしょう。
そのような中、個人、特に若手社員から選ばれる会社になるために、組織として、どのようなアプローチが有効でしょうか?
鍵となるのは、「会社への信頼を高める対話」だと感じています。
私自身、経営をするうえで、過去に多くの退職者を出してきました。
退職する際に、多くの不平、不満、批判、諦めを聞きました。
それは、過去のシェイクのみならず、程度の差こそあれ、多くの組織で起きていることではないかと思います。
「即、見切り世代」「不平・不満」といったことを言うと、一見、若手は、ドライだと感じる人もいるかもしれません。
でも、最近、思うのは、若手社員は決してドライではなく、むしろ、温かいということです。
温かさを求めているといってもいいかもしれません。
人との繋がりや、組織との繋がりをとても大切にしているように思います。
だからこそ、組織風土や人間関係に違和感を持ちやすいとも言えます。
例えば、
組織都合で人をモノのように扱っていると感じた場合
自分たちが伝えようとしていることを聞いてくれないと感じた場合
人を育てようという意思が見えない場合
自分の居場所がないと感じた場合
等々
若手社員が不平・不満を言うと、上司の立場では不平・不満を抑え込みたくなるかもしれません。
「それは、視野が狭いだけだ」とか「他責ではなく自責で考えろ」「批判をせずに主体者として行動せよ」といったことを言ってしまう上司もいらっしゃるでしょう。
でも、結局、若手社員が信頼を置く会社とはどのような会社であるかを考えたとき、それは、自身の不満を抑え込まれるのではなく、不満も含めて、自分たちの話を聞こうとしてくれる会社だと思うのです。
一見、他責、不満、批判と思えるような言葉においても、その背景を聞こうとしてくれ、何を訴えようとしているのかを、真剣に聞こうとしてくれる会社こそが、「自分のことを大切にしてくれる」会社だと思います。
会社や上司がいくら聞き続けても、ずっと不満を言い続ける社員もいるかもしれません。
私はそれでもいいと思っています。
その狙いは、若手の不満解消ではなく、「相互に意見を尊重する風土」づくりだからです。
若手社員の、ネガティブな言葉の背景にある感情に心を向け、訴えたいことを聞こうとする姿勢。それこそが、会社への信頼を高める対話であり、若手社員に選ばれる組織に向けた活動ではないでしょうか。
もちろん聞くだけではなく、聞いた課題に対して
解決に向けて行動することも必要だと思います。
私たちはビジネスにおいて、根本的な要因を突き詰め、効果のある施策、解決策を打つことを大切にしていると思いますが、若手から聞いた課題に対して、アジャイルに、小さくても取り組んでいくことを意識していただきたいと思います。
組織は変わりづらくても、自分のかかわり方や若手社員への姿勢はすぐに変えることができるのではないでしょうか?
若手社員に迎合することが大事だと言いたい訳でもありません。
できないこともあると思いますし、本人に厳しいことを伝える必要もあるでしょう。
でも、まずは、相手の話を、聞くことから、若手から選ばれる会社になるための対話が始まると思います。
不平・不満・批判を、ネガティブなことととらえるのではなく、改善のためのフィードバックととらえることから始めてみては如何でしょうか?