[健康] オーツの何がすごいの - βグルカンの働き -
前の2つの記事で、オーツを日常に取り入れることで期待される効果を取り上げた。今回の記事ではもう少し深掘りして、水溶性食物繊維に含まれるβグルカンという成分にフォーカスしたい!
βグルカンとは?
冒頭でも書いたように、オーツに期待される効果を前の記事で書いたが、それらのほとんどがこのβグルカンという成分が引き起こすものだと研究でわかってきている。グルカンはαグルカン(いわゆる糖質、デンプンで体内の消化酵素によって分解・吸収される)とβグルカン(人間の消化酵素が分解されず、体内で様々な働きをする)に分類される。
このβグルカンはオーツの他に、大麦やキノコ類、海藻、酵母などに含まれていて、日本健康・栄養食品協会において①食後の血糖値の上昇を抑制する、②満腹感を維持する、③血中コレステロールを正常化する、という機能性が認められている。
βグルカンの作用機序
糖尿病予防・改善に対して
βグルカンが胃で水分を含みゼリー上になって腸に送られたのち、小腸(空腸・回腸)に存在する「L細胞」を刺激し、「GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)」というホルモンの分泌を促進する。
このGLP-1がインスリンの分泌を促し、血液中の糖がスムーズに細胞へ取り込まれるのを助ける。またインスリンによって下がりすぎた血糖値を上げるのがグルカゴンという、インスリンとは反対の作用を持つホルモンも膵臓から分泌されるんですが、GLP-1の作用の一つに、このグルカゴンの分泌をコントロールする効果も確認されている。
→このインスリンとグルカゴンの両方の分泌をコントロールし、血糖値を正常な範囲に保つ働きから、βグルカンは糖尿病の予防・改善に効果があるとされているんですね〜。
満腹感の維持に対して
βグルカンの刺激によって、L細胞から分泌されたGLP-1は脳の視床下部にある満腹中枢に働きかける作用があり、食欲を抑え空腹感を減らしてくれる効果も認められている。
→セカンドミール効果:朝食や昼食にβグルカンを摂取することで、次の食事への食欲を抑え、食べ物から得たエネルギーを効率よく消費してくれる効果。
腸内環境の改善に対して
βグルカンが消化・吸収されずに腸まで届き、腸内細菌のエサになることで善玉菌を増やすことができます。善玉菌が増えることで悪玉菌の増殖を抑え、腸の活動を活発にしてくれます。(ちなみに健康成人の腸内細菌の割合は善玉菌:悪玉菌:日和見菌が「2:1:7」と言われていて、この日和見菌、善玉菌が多ければ善玉菌の味方になるが、悪玉菌が多いとなんと悪玉菌になびいてしまう、なんと日和見。またこの腸内細菌の話は別で書きたい!!!)
コレステロール・中性脂肪を下げる効果に対して
そもそもコレステロールとは、血中内ではHDLコレステロール(良いやつ)、LDLコレステロール(悪いやつ)という形で存在。肝臓では胆汁酸として変換され、胆汁として十二指腸内に分泌される物質で、脂肪の消化・吸収をサポートする役目があります。そして、この胆汁は便と一緒になり排泄されるか、大部分が再吸収されまた肝臓に戻ります。
βグルカンが胆汁酸に結合することで肝臓への再吸収を妨ぎます。胆汁酸はコレステロールから変換されているため、胆汁酸が肝臓へと再吸収されないことで、血液中のコレステロールを新たな肝臓へと取り込むことで、胆汁酸を合成します。
→血液中のコレステロール値の低下に繋がる。
免疫力の向上に対して
βグルカンが大腸で善玉菌によって分解される際に短鎖脂肪酸が生み出されます。この短鎖脂肪酸には、酪酸・酢酸・プロピオン酸などがあり、これらが大腸の免疫細胞に作用し免疫力を高めたり、IgAの産生を促し細菌やウイルスの侵入を防いでくれます。
美容効果に対して
免疫力の向上と共に、活性酸素への抵抗力も高まるため、βグルカンには抗酸化作用があるともされている。そして、ヒアルロン酸を超える保水力やバリア機能のサポート、日焼け後などの炎症緩和などの効果も知られている!
注意点
ここまでオーツやβグルカンについての良い面をつらつらと書いてきましたが、デメリットな点もあることに注意が必要です!
オーツは食事として摂取されると体内で膨れるため、食べ過ぎるとかえって腸内に便が溜まってしまい、おなかが張りやすくなったり、便秘や下痢を引き起こしたりすることがあります!
そしてオートミールばかりでおなかを満たしてしまうと、他の食品を食べる余地が少なくなり、栄養バランスが崩れてしまう事もあります!
なので、適切な量(一食で30g程度が推奨されているよ!)を取ることを心がけ、バランスの取れた食事をしたいですね!!!
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