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小川軒にて「ピオーネのショートケーキ」
--夏のフルーツは、色鮮やかでまぶしい。
フルーツたちも私たちと大きなくくりで同じ“生き物”だからか、基本的には暑さに弱い。今年ももはや定番となりつつある猛暑で、関東圏や盆地だとフルーツは閑散期となる。
しかし、南国や内陸の涼しい気候、緯度の低い地域で育つ果物はうって変わって元気になる。国土全体でうまいこと供給のバランスがとれて、1年中フルーツを楽しめるところが、この国が細長くてよかったと思うところである。
私は約1年前に今の会社に来て、"おじさんの聖地"とも言われる新橋に足を踏み入れることとなった。所狭しと飲食店が立ち並ぶニュー新橋ビル、風俗と立ち飲みやが乱立する新橋西口通り。
そこには「やや整えられたアジア感」があり、なんとも怪しげで魅力的ではあるものの、やはりそこは女子というか、居心地の悪さもあるものだ。
優雅に浸れるサロン・ド・テ
そんな街にも私のメルヘンな気持ちを支えるお店がある。
新橋といえば「小川軒」。小川軒といえば「レーズンウィッチ」の小川軒だ。そして、何より静かに優雅な気持ちになれるサロン・ド・テに、短い昼休憩の間についつい行ってしまう。
茶色と白で整えられた店内装飾、小さなショーケースには少なめではあるが数種のケーキが並ぶ。隣の売店で売っているものがほとんどであるが、その日に喫茶で出すものについては量が決まっているらしく、どんどんとなくなっていく。
ロールケーキやサバラン、シュークリーム、パリブレストといった、正統派のフランス菓子が定番として並んでいることが多いのだが、季節柄か気になるものがいくつかあった。
・桃のパイ
・完熟マンゴーパイ
・杏仁プリン
・ピオーネのショートケーキ
正直どれも魅力的すぎて、選べるわけがない。
とはいえ、つかの間の昼休憩、坦々麺を食べた後の残り35分ほどなので、「全部ください!」というわけにもいかず…。(24歳女子が平日のランチ代にそんなかけられるわけがないのもある)
残り1つとなっていたピオーネのショートケーキをチョイスする。
先ほど辛いものを食べたからか、パイのバター的なこってりよりも、生クリームのがきっとさっぱりしてると思ったからだ。
あとは、ショートケーキの1番の見せ所ともいうべき、スポンジとスポンジの間に挟まるフルーツの断面。
ぶどうは、丸い。
断面も丸く、そのなんとも可愛らしいドット柄にやられた。
育ちのいいお嬢様なショートケーキ
小川軒のショートケーキを食べるのは初めてだったが、期待通り、いやそれ以上にあっさりとした甘さと程よい乳脂肪分感で、ひと口またひと口と手が伸びてしまう。
育ちのいいお嬢様のような上品な味わいは、新橋が銀座の端であることを思い出させる。あわせる食器が白一色なところからも、きちんとした印象を受ける。
金縁の装飾や、釉薬の風合いに助けられることを選ばす、シンプルな内装、シンプル食器、素材が本来持つ色や形だけでできたケーキ。背筋が伸びるようなかしこまり方ではない、本当にただ”そのまま”を整えた空間。
これがあるからこそ、混沌とした新橋でも、私はここに来ることでちゃんと自分の時間を見つけらているのかもしれない。
夏の終わりの甘い誘惑
「ショートケーキが美味しい店は、信頼できる」という持論があるのだが、今回の実食でより小川軒への信頼は増した。他のケーキも早く食べに来なければ、夏は終わってしまう(桃とマンゴーがどうしても食べたい)。
「次はいつ来れるかな」とお腹いっぱいなはずなのに、また食べることを思い浮かべているのだった。
◆巴里 小川軒(新橋店)
食ネタ多めのインスタやってます。
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