#250 戦争、戦い、乱、変、役の違いは?
太平洋戦争、応仁の乱、関ヶ原の戦い、文永の役、本能寺の変・・・一言で言えばすべて「戦い」なのだが、表記の仕方はさまざまである。本記事では、それぞれの表記の違いと主なできごとをまとめていく。
①戦争
日本だと近代国家が成立した明治以降におこった国VS国の武力衝突のこと。
宣戦布告の後に起こった衝突を「戦争」、宣戦布告なしに起こった衝突を「事変」と呼んで区別することもある。例えば、満州事変が代表例だ。
また、「事変」よりも比較的小規模な争いのことを単純に「事件」と表記する場合もある。
しかし、日中戦争が支那事変とよばれたり、ノモンハン事件が実質戦争であったりと、戦争と事変・事件の区別はあいまいなところも多い。
また、明治前期以前は国内での継続的な争いを戦争と呼ぶ場合もある。例として、石山戦争、戊辰戦争、西南戦争などがある。
②戦い(戦)
局地的な戦闘のこと。
古くは白村江の戦いから使われ、源平合戦の壇ノ浦の戦い、戦国時代の桶狭間の戦い、川中島の戦い、関ヶ原の戦いなど多種多様な戦いが行われてきた。
また、単に局地戦をあらわす戦いという言葉は、ガダルカナル島の戦いなど明治以降も使われている。
③乱
乱は、権力(朝廷や幕府など)への反乱に対してつけられる呼称である。
とくに、権力者に鎮圧した戦いの呼称として使われることが多い。
承久の乱、大塩平八郎の乱、油井正雪の乱などがこれにあたる。
また、「壬申の乱」「応仁の乱」「治承・寿永の乱(源平合戦)」など、全国規模の騒乱のことを「〇〇の乱」と表記することもある。
④変
変は、権力者が不意に襲われた事件に対して使われる名称で、本能寺の変(織田信長を殺害)や桜田門外の変(井伊直弼を殺害)・紀尾井坂の変(大久保利通を殺害)などがある。
⑤役
役は民が兵士として徴用されるという意味がある。「前九年・後三年の役」「文永・弘安の役」「文禄・慶長の役」など、対外的な戦いや辺境での争いに対して役という呼称が使われているが、民がその戦いのために徴用されたという意味合いがこめられている。
争いの呼び方にはそれぞれの意味がこめられているが、いずれも区別はあいまいで、複数の呼称がある出来事も多い。この区分は参考程度に。
【目次】
【参考】
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?