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#366 ピカチュウが日本に抗議デモ?
「国民的なキャラクターが日本に対してデモを行っている」
そんなニュースが流れたことがある。
舞台となったのは、2020年にCOP26が開かれたスコットランド。
COPとは、気候変動枠組条約締約国会議の略で、毎年世界各都市の持ち回りで開催されている。
COPでは、環境団体が毎回「化石賞」という賞を発表しており、化石燃料に依存する国などを発表している。
日本は化石賞の常連で、国際的には化石燃料に依存した国だというイメージがもたれているようだ。
COP26では、20か国以上が石炭火力の段階的な廃止を表明した。
しかし、日本は発電量の多くを石炭火力に頼っており、近年では東南アジアに対して火力発電の技術を提供していることで知られている。
ピカチュウの着ぐるみを着た活動家によるデモは、そうした石炭火力を普及させていることに対して行われた。
ピカチュウは電気を生み出すキャラクター。
日本のキャラクターの中でもピカチュウが選ばれたのは、電気を石炭に頼る日本への強烈な皮肉だ。
しかし、日本政府にも言い分がある。
資源エネルギー庁「なぜ、日本は石炭火力発電の活用をつづけているのか?~2030年度のエネルギーミックスとCO2削減を達成するための取り組み」
上記の資源エネルギー庁のHPでは、
日本では再生可能エネルギーのコストが高く、地政学的なリスクも低いことから石炭火力に頼らざるを得ないとしながらも、技術の進歩によって発電効率が上がり、CO2の排出量は少なくなっていると主張している。
石炭火力発電を輸出していることに対しても、「新興国にとって、安く、安定的に採れる石炭は、引き続き、重要なエネルギー」であるとした上で、高効率の発電方法の導入を支援することの重要性が語られている。
ピカチュウがデモをする様子は日本国民にとってはひじょうにセンセーショナルな映像だが、化石賞や一連のデモについては一方的な見方なのではないかという指摘もある。
少なくとも、日本政府の主張は踏まえてニュースを見る必要があるだろう。
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